心動かす時を共にSEIKOHEART BEATMagazine

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文 村上アンリ
写真 近藤 篤

1974年4月から大人の音楽番組として1981年3月まで放送されていた『サウンド・イン“S”』。
34年の時を経て2015年4月18日から『Seiko presents Sound Inn “S”』として新たに放送を開始。
番組が復活に至る経緯、制作秘話や番組の見どころを、プロデューサーの服部英司さんに聞いてみた。

まずは服部さんと『Sound Inn “S”』の関わりを教えていただけますか?

『Sound Inn “S”』の復活は2015年になりますが、その少し前からSEIKOさんが音楽番組を作りたいという噂は何度かお聞きしていたんです。

私はもともと音楽に関わりたくてテレビの世界に入った人間なのですが、その当時は、なんだか本物の音楽番組ってないなあ、という気分の時があったんですね。そんな頃に、小田和正さんと『クリスマスの約束』という番組を制作する機会があって、やはり音楽に深く関わっていきたいという願いを再確認させてもらったんです。以来、サウンドにこだわる番組作りを心掛けてきました。そして、5年前、SEIKOさんの新しい音楽番組に携わらせてもらうことになりました。
SEIKOさんとしてはやはり、かつて70年代に一時代を築いた『Sound Inn “S”』の復活、というイメージがあったと思います。

服部さん 写真

しかし当時と今では、音楽番組を制作する環境、社会のニーズ、そういったものも大きく変わりましたよね?

そうなんです。私も以前の『サウンド・イン“S”』を見直して、今の時代ならどういったものが作れるのか、を探りました。当時の『サウンド・イン“S”』はビッグバンドが丸ごと入っていて、それはそれは予算も規模も大きなものです。時代も違えば、好まれる音楽のジャンルも違いました。私としては当時の音楽性の高さを意識しながら、21世紀にあった新しい『Sound Inn “S”』をやらせてもらえないだろうか、と提案させていただきました。

その新しい『Sound Inn “S”』とは具体的にどういうものだったのでしょうか?

”セッション”をテーマに据える事でした。トップクラスの歌手とミュージシャンとアレンジャー、その人たちに実際にスタジオに集まっていただいて、その瞬間にその場にしか生まれない音楽を作り出してもらう、というものです。それを1回の番組に3曲、それぞれの曲に異なるアレンジャーが関わる、というものです。

そんなに手の込んだ音楽番組って、他にあるんですか?

もちろん今の時代はほとんどありません(笑)

服部さん 収録中風景 写真
番組収録中アレンジャー、ミュージシャンたちと進行について確認する服部さん

番組を始めるにあたって、苦労されたことはありますか?

苦労という感覚は一度も味わったことはありませんよ。毎回、どんな音楽が出来上がるのか、楽しみしかないですね。ただ、新しい番組を始めるにあたって、最初は旧知のアーティストの方々に出演をお願いする、という事情はありました。というのも、ミュージシャンの方というのは新しく始まる番組に出たがらない傾向があるんです。

それは不思議ですね。見る側としては、最初に出た方が注目されるのに、というイメージがあります。

ミュージシャンの方、というよりは、彼らの所属している事務所やマネージャーの方が敬遠する、といった方がいいかもしれません。まだ始まっていない番組だと、実際に出演するアーティストに、これはどういう番組なのか、というのを説明できないわけですから。

スタジオ風景 写真

なるほど。それはそれで理解できる状況ですね。アーティストの方にもそれぞれ自分の音楽に対するこだわりもあるでしょうから。

とはいえ、番組がオンエアーされてからは、私も出たい、俺も出たい、という雰囲気になりましたよ。そりゃあそうですよね、だって最高のアレンジャーと最高のスタジオミュージシャンが揃った音楽番組に、参加したくないという理由はありませんから。

番組では、皆さんご自身の歌だけではなく、過去の有名な洋楽ヒット曲も歌われてもいます。スタジオでのセッションということで、音楽家同士で意見が食い違ったりすることはないのですか?

そこはさすがに一流同士なんですよ。一流の人たちって、そこに集まった瞬間、互いに理解しあって、最高の音楽を作り上げるんです。意見が異なることはあるかもしれませんが、ぶつかることはありません。すごくプロフェッショナルな方々です。

スタジオ風景 写真

きっと出演される方たちも最高に楽しめる番組なんでしょうね?

先日、渡辺美里さんに出演していただいたのですが、3曲の収録が終わったあと私の方に駆け寄ってきてくださって、こうおっしゃってくれました。「この番組、最高よ、ずっと歌ってたいわ」と。普段はテレビが苦手だという彼女が、自分を囲むミュージシャンやスタッフのクオリティにものすごく満足してくれていましたね。もう30年近く活動されているベテランの方があそこまで興奮してくれるって、この番組ならではですし、この番組が進んでいた方向が間違っていなかったんだなと思わせてくれた瞬間でしたね。

ベテランと言われる方だけではなく、若手の歌手の方も積極的にキャスティングされている印象もあります。

そうですね。普段はシンセサイザーでしかやれないような音楽を、実際に生のストリングスや管楽器が入ってやってもらえる、こんないい環境で音楽をやれる機会って、若手の方々にはあまりないと思いますし、彼らにとってものすごく大きな刺激になるんです。確実に彼らは覚醒して帰っていきますから。

『Sound Inn “S”』がある意味で革新的な番組になるわけですね。

これも最近の話ですが、上白石萌音さんに出演していただいた際、「レ・ミゼラブル」の中の「ON MY OWN」を歌ってもらったのですが、歌っている最中に彼女がどんどん変貌していくんですよ。そういう時って、カメラマンの撮る映像を見ているとよくわかるんです。全部、寄りのカットばかりになっちゃうから(笑)。私もつい見とれて、気がつくとステージの手前まで近寄っていました。

スタジオ風景 写真

お話を伺えば伺うほど、音楽番組がかつてとは違う位置付けの今の時代にあって、素敵な番組を制作されているんだなあ、という印象が強まります。これからも進化する『Sound Inn “S”』、楽しみにしております。

実際に、出演なさったミュージシャンの方がリリースする際、番組に音源を貸してもらえないかと問い合わせがくるくらい、『Sound Inn “S”』で作り上げる音楽の質は高いわけです。そんな番組は他にありえないです。自分たちが作りたいものをちゃんと任せ切ってくれる、SEIKOさんの音楽への理解の深さには本当にいつも感謝していますし、この場を借りて改めてその気持ちをお伝えできればと思います。

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