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人権

関連するSDGs目標

  • 8:働きがいも 経済成長も
  • 10:人や国の不平等をなくそう
  • 16:平和と公正をすべての人に

近年、経済活動のグローバル化に伴い、人権を尊重する企業の責任は一層拡大しています。企業は、企業自らが直接引き起こしている長時間労働やハラスメントなどの問題に加え、間接的に負の影響を助長・関与している国外サプライチェーンでの児童労働や強制労働などの問題まで、様々な人権侵害に対応することが求められています。

人権方針

グループパーパスにある「世界中が笑顔であふれる未来」の創造と、「社会に信頼される会社」という企業理念を実現するため、すべての人が生まれながらにして持つ人権を尊重する責任を果たすことを目的に、2022年5月に「セイコーグループ人権方針」を策定し、取締役会にて承認されました。人権方針は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を基に策定され、当社グループの全役職員を適用範囲としています。自らの事業活動において他者の人権を尊重し侵害しないよう、ステークホルダーと協力することや、人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切に対処することを定めています。

セイコーグループ人権方針

セイコーグループは、グループパーパスにある「世界中が笑顔であふれる未来」の創造と、「社会に信頼される会社」という企業理念を実現するため、すべての人が生まれながらにして持つ基本的権利である人権を尊重する責任を果たします。

1.位置づけ

本方針は、グループパーパスおよび企業理念に基づいた、人権尊重の取組みの推進を示すものです。

2.人権尊重の責任

セイコーグループは、自らの事業活動において他者の人権を侵害しないこと、また人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切に対処することにより、人権尊重の責任を果たします。サプライヤー、ビジネスパートナーによって人権に対する負の影響が引き起こされた場合、適切な対応を促します。

3.適用範囲

本方針の適用範囲は、セイコーグループの全役職員(役員・正社員・契約社員を含む、すべての社員)とします。
さらに、セイコーグループは、影響を及ぼすことができるビジネスパートナーおよびサプライヤーに対して、本方針を支持し、同様の方針を採用するように継続して働きかけ、人権尊重を推進します。

4.規範や法令の尊重・遵守

セイコーグループは、「国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)」、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、「国連グローバル・コンパクトの 10 原則」等の人権に関する国際規範を支持、尊重します。
また国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を基に、本方針を定め、人権尊重の取組みを推進していきます。また、セイコーグループは、企業活動を行うそれぞれの国や地域で適用される法令を遵守します。国際的に認められた人権と各国や地域の法令の間に矛盾がある場合には、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求します。

5.人権デュー・ディリジェンス

セイコーグループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施していきます。
人権デュー・ディリジェンスには、事業活動に関係する人権への負の影響を特定、予防、軽減すること、さらに是正措置を講じ、人権に関する取組みを外部に開示することが含まれます。

6.是正・救済

セイコーグループが人権に対する負の影響を引き起こした、または助長したことが明らかになった場合、適切な手段を通じて、その是正、救済に取組みます。
また、セイコーグループのサプライヤーやビジネスパートナーにおいて人権への負の影響が引き起こされている場合には、人権を尊重し、侵害しないよう、ステークホルダーと協力しながら改善に努めていきます。

7.情報開示

セイコーグループは、本方針に基づく人権尊重の取組みの推進状況について、セイコーグループのウェブサイトや各種公開資料等にて報告していきます。

8.教育

セイコーグループは、本方針が事業活動全体に定着するよう、関連する方針やガイドライン、その他必要な手続きの中に反映するとともに、役職員に対して適切な教育・研修を継続して行っていきます。

9.ステークホルダーとの対話・協議

セイコーグループは、本方針の一連の取組みにおいて、人権に関する専門知識を持つ第三者機関と連携するとともに、誠意をもって関連するステークホルダーと対話・協議を行っていきます。

制定年月日 2022年5月10日
セイコーグループ株式会社
代表取締役会長 兼 グループCEO 兼 グループCCO

服部真二

推進体制・システム

代表取締役社長を委員長とし、常勤取締役、各事業会社社長および監査役を構成メンバーとするサステナビリティ委員会を設置しています。
人権に関する取組みの推進責任者はサステナビリティ推進担当役員が担い、人権デュー・ディリジェンスなどの取組みを行っています。人権に関する取組みの進捗状況は、サステナビリティ委員会が定期的に取締役会に報告し監督を受けています。今後も、人権方針に基づく活動を円滑に推進してまいります。

サステナビリティ推進体制

人権デュー・ディリジェンス

当社グループでは、「セイコーグループ人権方針」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築・運用しています。人権デュー・ディリジェンスには、事業活動に関係する人権への負の影響を特定、予防、軽減すること、さらに是正措置を講じ、人権に関する取組みを外部に開示することが含まれます。
2022年度に実施した「人権リスクアセスメント」(人権への影響評価)では、特に注意すべき重要人権リスクを特定し、これらの重要人権リスクに対する予防・是正に向けた対応方針を定めました。
当社グループは、今後も特に注意すべき重要人権リスク(潜在・顕在含む)の予防・是正に向けて、継続してステークホルダーとの対話の機会を確保し協議を行ってまいります。
また、今後も各事業会社で改善に向けてのPDCAを継続的に実施し、当社グループ全体の人権デュー・ディリジェンスの取組みを強化し、潜在的なリスクの低減に努めていきます。

人権対応状況 図

苦情処理メカニズムの整備状況

当社は、企業倫理・コンプライアンスに関する社員の相談・通報窓口として「企業倫理ヘルプライン」を設置しています。社内窓口のほか弁護士事務所に外部窓口を設け、利用者が相談・通報しやすい環境を整えています。当社では、公益通報者保護法で定められた内部通報制度の対象範囲よりも広くコンプライアンスに関する相談・通報を受け付け、問題の解決に取り組んでいます。利用者が相談・通報したことを理由に不利益な扱いを受けないよう、利用者および相談・通報内容に関わる情報を厳格に管理しています。

内部通報制度

また、当社グループはサプライヤーとともに持続可能な調達活動を推進するため、サプライチェーン上の救済メカニズムの構築に向けて、「お取引先向け通報窓口」を設置しています。

サプライチェーンを対象とした相談窓口

人権リスクアセスメント

「人権リスクアセスメント」では、セイコーグループのサプライチェーン上(自社/サプライヤー・委託先/原材料の調達先/販売先等)で発生しうる人権リスクの重要度の初期的な評価を行うため、ステークホルダーとの対話・協議(各事業会社に対するヒヤリングやアンケートを用いたリスク認識の調査)に加え、国際機関・NGOからの指摘事項や業界内のリスク顕在化事例をもとに、当社グループとして考慮すべき人権リスク(潜在・顕在含む)の全体像を洗い出しました。その後、「深刻度(リスクが顕在化した場合に人権に与える被害の深刻さ)」と「発生可能性(当社グループでの顕在化のしやすさ)」の観点から、特に注意すべき重要人権リスクを14項目特定し、各重要人権リスクに対する予防・是正に向けた対応方針を設定しました。14項目のうち、とりわけ早急な予防・是正が必要な重要人権リスクへの対応については、当社グループとして特に注力して取り組むと同時に、定期的なモニタリングを実施しその進捗状況をWebサイト上で開示しています。

重要人権リスクの特定と対応方針 図

重要人権リスクへの取組み

Ⓐハラスメント関連研修の拡充・強化

「セイコーグループ人権方針」に基づき実施している人権デュー・ディリジェンスにおいて、特に注意すべき重要人権リスクとして特定された「自社従業員間でのパワー/モラルハラスメント」を予防・是正するため、以下の研修を実施しました。

【2024年度取組み実績】

  • セイコーグループ(株)社員を対象に「ビジネスと人権」に関するEラーニングを実施
    • アジェンダ(抜粋)

    • 企業に求められる人権尊重
    • 「ビジネスと人権」に関する国内外の動向
    • 企業活動に関係する人権
      賃金・労働時間、ハラスメント、差別とアンコンシャス・バイアス、サプライチェーン上の人権課題(強制労働、児童労働、等)、プライバシー・表現の自由
    • 企業が人権に取り組む意義

【2025年度取組み内容】

  • グループ各社役員および従業員を対象に「ハラスメント(カスハラ、パワハラ、セクハラ)」に関する録画配信形式の研修を実施
  • グループ経営幹部向けにアンガーマネジメントに関する研修を実施

Ⓑ自社BtoB商材の間接的人権リスク/経済安全保障リスクの把握・是正

当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、各地域の政治・経済情勢を取り巻く多様なリスクを慎重に考慮する必要があります。
そこで、経済安全保障リスクの中でも特に、「自社製品の利用による紛争・人権侵害への加担」を重要人権リスクの一つとして認識し、自社BtoB商材の間接的人権リスクの把握・是正のため、2023年度に経済安全保障デュー・ディリジェンスを実施しました。

  • 【2024年度取組み実績】

  • 2023年度に実施した経済安全保障デュー・ディリジェンスの結果に基づき、対応方針の検討を開始
  • 【2025年度取組み内容】

  • サプライチェーン全体での人権リスク管理をより一層強化するため、当社グループ全体に及ぶ体制構築を検討し、適切な推進に向けて準備を進める

Ⓒ顧客対応に係るDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)の推進

  • 【2024年度取組み実績】

  • 銀座・和光におけるDE&I対応

  • 銀座・和光において、LGBTQ+に関する基礎知識と、適切な接客スキル習得を目的とした研修を実施
  • セイコーウオッチにおけるDE&I推進

  • 海外の直営GSおよびSEIKO Boutiqueを対象に、サービス提供時の顧客への接客対応に関するヒヤリングを実施し、課題を洗い出し
  • 国内において、LGBTQ+の外部専門家や当事者とともに、基礎的な知識や接客時に求められる対応について相談・協議した
  • 今後、LGBTQ+を含む全てのお客様を対象とした接客に関するハンドブックを作成予定
  • 国内において、障がい者対応の外部専門家や当事者とともに、障がい者へ配慮した接客のあり方を相談・協議した
    今後、障がい者に配慮した接客に関するハンドブックを作成予定
  • 【2025年度取組み内容】

  • 銀座・和光におけるDE&I対応

  • サービス提供時の課題を洗い出し、作成した手引書「配慮が必要なお客様への対応について」を売場スタッフ中心に周知徹底し、継続して運用
  • DE&Iに関する知識習得のため、継続してセミナー等の受講を奨励
  • セイコーウオッチにおけるDE&I推進

  • LGBTQ+を含む全てのお客様を対象とした接客に関するハンドブックおよび障がい者に配慮した接客に関するハンドブックを作成
    社内および関連会社の社員に対して、LGBTQ+や障がい者を含むすべてのお客様が安心して時計選びを楽しめるような接客対応のヒントとして周知し、サービス品質の向上を図る

Ⓓ女性管理職増加を目指すプログラムの拡充・強化

  • 【中期経営計画KPI】

  • 2027年4月に女性管理職比率を20.0%とするKPIを設定(2025年4月時点での実績は16.0%)
  • (集計範囲:セイコーグループ株式会社および国内事業会社19社)

  • 【2024年度取組み実績】

  • 女性社員が前向きにキャリアアップを目指すための施策として、「Seiko Woman Academy」を開講
    2024年度は2024年5月~12月に計6回のプログラムを開催し、グループ13社から次世代を担う女性リーダー28名が参加
  • 管理職候補者層に対するキャリア面談、研修等のキャリアアップ支援策の実施
  • ライフステージに応じて柔軟な働き方が選択できるよう環境整備を推進
  • ロールモデルとなる社内外の人材の紹介・情報提供
  • 女性特有の健康課題に関するセミナー等実施

【2025年度取組み内容】

  • 2024年度より継続して、第2期「Seiko Woman Academy」を開講
    2025年5月~11月に計7回のプログラムを開催し、グループ14社より30名が参加
  • 第1期Seiko Woman Academy卒業生を外部研修へ派遣
  • 育児中の社員が仕事と家庭の両立をテーマに交流するキャリアカフェを実施

人材戦略

Ⓔ多様な人材の採用・活躍推進に向けた施策の充実・強化

2023年度より、グループに集う多様な人材が物理的にも精神的にも組織の壁を越え、自由闊達に議論し、失敗を恐れずにチャレンジできる組織風土・文化形成を目的に、組織風土改革「SWING Project」をスタートしました。
2023年度は「カタチを変える(物理的・心理的なカベを壊す)」取組みとして、以下を実施

  • オフィスでの服装の自由化
  • グループ内での役職・敬称の廃止
  • コミュニケーションを活性化する新たな職場づくり
    (座席のフリーアドレス、リフレッシュエリアの設置、役員の個室廃止、サテライトオフィスの導入)
  • 【2024年度取組み実績】

  • 2024年度は「カンケイを変える(互いを知り、話してみる)」取組みとして、以下を実施

  • 経営幹部と社員の対話会
  • 上司と部下のコミュニケーション活性化プログラム
  • タレントマネジメントシステム(カオナビ)の導入
  • 【2025年度取組み内容】

  • 2025年度は「コウドウを変える(自ら考え、行動に移す)」取組みとして、以下実施予定

  • キャリアプランニング支援プログラム
  • グループ内公募制度の導入
  • キャリアチャレンジ制度(グループ自己申告制度)の導入

Ⓕ調達ガイドラインに基づいたサプライヤー管理スキームの構築

サプライチェーン全体における指針として、「セイコーグループ調達ガイドライン」を策定し、サプライヤーへ賛同いただくことを求めています。
2023年度からは「サステナビリティ委員会」の下に「責任ある調達連絡会」を設置し、サプライヤーエンゲージメントを推進しています。

詳しくは、「持続可能な調達」ページをご覧ください。

持続可能な調達

Ⓖ高リスク原材料の特定・排除に向けた取組みの強化

紛争地域や高リスク地域で採掘される鉱物資源(錫、タンタル、タングステン、金など)には、武装勢力の関与や人権侵害、環境破壊、汚職などのリスクが潜在しています。
当社グループは、紛争や人権侵害等を助長することがないよう、経済協力開発機構(OECD)が定めた「OECD 紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に基づき、責任ある鉱物調達を推進します。

  • 【2024年度取組み実績】

  • 責任ある鉱物調達を推進するため、2025年1月に責任ある調達連絡会のメンバーを対象に勉強会を開催。
  • 当社グループにおける鉱物の調達状況とサプライチェーンの把握状況をもとに、3TG(錫、タンタル、タングステン、金)・コバルト・ダイヤモンド・カラーストーン(ルビー、サファイア、エメラルド)を調査対象の鉱物として選定。
  • 【2025年度取組み内容】

  • 2024年度に策定した調査方針にそって、責任ある鉱物調達デュー・ディリジェンスを推進中。

紛争鉱物に関する取組み

その他の活動

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