関連するSDGs目標
脱炭素社会実現に向けて、長期目標を策定し、全事業活動を通じた温室効果ガス排出量削減にグローバルに取り組んでいます。
基本的な考え方
自然災害の多発など、気候変動による事業上のリスクは年々高まってくる中で、「脱炭素社会」の実現に向けて企業が果たすべき役割や責任はますます大きくなっています。
当社グループはパリ協定をはじめとした気候変動対策に関する各種合意に基づく政策や、日本政府のネットゼロ政策を支持しています。国の気候変動に関する法規制である「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」や「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき、エネルギー使用量、省エネルギー目標の達成状況、温室効果ガス排出量などを行政に報告しています。
脱炭素化に向けて、当社グループは、第8次中期経営計画「SMILE145」で定めたSDGs戦略において、「気候変動・脱炭素への取り組み」を掲げ、温室効果ガスの排出量削減に努めています。
温室効果ガス排出量の削減には、CO2、およびCO2以外の温室効果ガスも対象にした「省エネ活動」の他、「再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入」、「バリューチェーンでの削減」を主軸に取り組んでいます。 また、製品・サービスについては、環境配慮項目のひとつに消費電力をあげて、省エネ性に配慮した製品の創出に注力しています。
省エネ活動では、各種設備の効率的な運用管理、高効率設備への更新、身近な省エネ活動などを推進していますが、これらの活動は継続的に取り組むことが必要だと考えています。 再エネ導入には複数の種類や手段がありますが、事業所の立地、特性に応じた最適な方法を採用することが肝要だと考えています。バリューチェーンでの削減については、サプライヤーをはじめステークホルダーと共に推進していく所存です。
長期目標
当社グループは、2023年11月、温室効果ガス排出量削減を前倒ししてすすめる長期目標に改定しました。各拠点での電力については、2024年度中に国内拠点の100%再エネ化、2040年度中に海外拠点も含めた全拠点の100%再エネ化を達成します。省エネや燃料転換、Scope3の削減を進めた上での残留排出量は除去系クレジットの導入により相殺する計画です。
この長期目標に則り、引き続き再生可能エネルギー導入を加速し、さらなる温室効果ガスの排出量削減に努めていきます。
なお、2030年度に向けた目標については、パリ協定で定める1.5℃水準に整合した目標であるとして、SBTi (Science Based Targets initiative) からSBTの認定を取得しました。
温室効果ガス排出量削減の長期目標
【温室効果ガス排出量削減目標】
2030年度
Scope1、22022年度比で42%削減
Scope32022年度比で25%削減 対象:カテゴリ1、11
2050年度
ネットゼロを目指す
2023年度総括
2023年度は、省エネ活動として主に空調設備の高効率設備への更新、照明器具のLED化に継続的に取り組みました。再エネについては、再エネ由来の電力への切り替えなどに取り組み、再エネ比率は18.9%に向上しました。これらの取り組みにより、Scope1,2における温室効果ガス排出量は79,965t-CO2となり、前年度比で約17%減となりました。
バリューチェーンでの温室効果ガス削減では、製品の輸送時の温室効果ガス排出に着目し、一部の製品の輸送については航空便から船便に変更するなど、モーダルシフトを進めています。2023年度のScope3の総排出量は568,674t-CO2となり、前年度比で約0.7%減となりました。
Scope1, 2 温室効果ガス(GHG)排出量
79,965t-CO2

- Scope1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)
- Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出(マーケット基準)
- ■集計範囲
- ・セイコーグループ(株)および全事業会社
・CO2以外の温室効果ガスを含む
・生物由来のGHG排出は該当なし - ■排出係数
-
- ・電気:
- 日本は地球温暖化対策の推進に関する法律「電気事業者別排出係数」を使用
海外はIEA(International Energy Agency)の各国の排出係数を使用
- ・燃料:地球温暖化対策の推進に関する法律「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用
- ・CO2以外の温室効果ガス:地球温暖化対策の推進に関する法律「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用
※端数処理の関係でGHG排出量と内訳の合計値は合わない場合があります。
Scope3 温室効果ガス排出量
カテゴリ | 項目 | GHG排出量 (t-CO2) |
% |
---|---|---|---|
カテゴリ1 | 購入した製品 ・サービス |
366,505 | 64.4% |
カテゴリ2 | 資本財 | 36,082 | 6.3% |
カテゴリ3 | Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | 12,399 | 2.2% |
カテゴリ4 | 輸送、配送(上流) | 35,093 | 6.2% |
カテゴリ5 | 事業活動から出る 廃棄物 |
2,464 | 0.4% |
カテゴリ6 | 出張 | 4,506 | 0.8% |
カテゴリ7 | 雇用者の通勤 | 5,380 | 0.9% |
カテゴリ8 | リース資産(上流) | 122 | 0.0% |
カテゴリ9 | 輸送、配送(下流) | 3,476 | 0.6% |
カテゴリ10 | 販売した製品の加工 | 12,469 | 2.2% |
カテゴリ11 | 販売した製品の使用 | 84,896 | 14.9% |
カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | 4,573 | 0.8% |
カテゴリ13 | リース資産(下流) | 708 | 0.1% |
カテゴリ14 | フランチャイズ | - | - |
カテゴリ15 | 投資 | - | - |
合計 | 568,674 | 100.0% |
※数値については端数処理の関係で合計が合わない場合があります。


エネルギー使用量
216,313MWh

集計範囲:セイコーグループ(株)および全事業会社
フロン類の排出
当社グループでは、製造工程におけるオゾン層破壊物質の使用は全廃していますが、空調機器や冷凍機器などの冷媒としてはまだ保有しています。各事業会社ではフロン排出抑制法※にのっとり、廃棄時に加え、簡易点検や定期点検などを通じて、使用時における漏洩防止に努めています。
※日本の法律
取り組み事例
Green Industry Level 4に認定
2023年、Seiko Instruments(Thailand)Ltd.の2つの工場ではタイ国工業省が主催するGreen Industry ProjectにおいてLevel 4の認定を受けました。Green Industry Projectは、環境問題や社会問題に対する産業界の意識向上と持続可能な産業の発展を目指した制度で、環境への貢献度によりLevel 1からLevel 5までの5段階で認定されます。Level 4(Green Culture)では、企業文化として、工場で働くすべての人が環境および社会への責任を持ち行動することが定着していることが求められています。Seiko Instruments(Thailand)Ltd.ではLevel3の取得後も社員が一丸となってLevel 4(Green Culture)認定を目指してさまざまな活動に取り組んできました。審査員からは「社員ひとり一人の環境に対する意識が高く実践できている」と高い評価をいただきました。

再生可能エネルギーの導入
当社グループは再エネの導入を加速しています。
2023年度は新たにシンガポールの製造拠点であるSeiko Manufacturing (Singapore) Pte. Ltd.にて太陽光発電を導入しました。
年間発電量は約155万kWhで全電力の約10%をカバーします。

Seiko Precision (Thailand) Co.,Ltd.では、社屋の屋根に太陽光パネルを設置し、2023年1月より第1工場、2023年8月より第2工場の太陽光発電システムを稼働開始しました。第1工場のシステム容量は723.2kW、第2工場のシステム容量は869.4kWです。

Seiko Instruments(Thailand)Ltd.はグループの中でCO2排出量が一番多い事業会社です。2022年よりGateway工場にて社屋の屋根に太陽光パネルを設置し、2023年2月より太陽光発電システムの稼働を開始しました。
当社グループは今後も再エネ導入を推進し、CO2排出量の削減に取り組んでいきます。
