TNFD提言に基づく情報開示
TNFDは、自然資本に関する事業のリスク・機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的なイニシアティブであり、2023年9月に最終提言を公表しました。当社はTNFDの理念に賛同し、2025年10月にTNFD Adopterへ登録しました。
まずはTNFDの最終提言に沿った初期的な調査と開示を行いましたが、今後は、主要拠点における生態系の重要性に関わる調査を進め、特定したリスク・機会への対応策を検討のうえ推進していきます。
さらに、取り組みの進捗について適宜評価を行い、開示情報の拡充を進めていきます。
ガバナンス
生物多様性保全を目的とした自然資本に係る重要事項は、当社グループのサステナビリティに関する方針の策定や、それに基づく活動を円滑に行うために設置されたサステナビリティ委員会で議論のうえ決議され、取締役会に報告されます。取締役会はサステナビリティ委員会の監督機能を担っており、定期的に自然との共生を含むマテリアリティに係る重要事項について議論を行います。
推進体制
各役割
取締役会
サステナビリティ委員会からの決議内容について年1回以上報告を受け、課題への取り組みや進捗状況の監督機能を担います。また、定期的に自然資本に係る重要事項について議論を行います。代表取締役社長(自然資本に係る統括者)
自然資本に係る重要事項は、代表取締役社長が統括します。代表取締役社長は、サステナビリティ委員会の委員長を担い、自然資本に係る重要事項を含む、当社グループのサステナビリティに関わる方針の策定や、それに基づく活動全般に関する経営判断の最終責任を負っています。サステナビリティ委員会
自然資本に係る統括者である代表取締役社長を委員長とし、サステナビリティ推進担当役員をはじめとした常勤役員、グループ各社代表取締役がメンバーとなり構成されています。自然資本に係る重要事項を含む、当社グループのマテリアリティに関する事項につき、原則年2回の定例会、必要に応じて開催される臨時委員会で議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。サステナビリティ委員会で決議された内容に基づき、担当役員が中心となって活動を進めています。
戦略
当社グループの主な事業分野について、バリューチェーン全体を対象として、自然資本への依存・影響とリスク・機会を俯瞰的に評価しました。
今後はLEAPアプローチに従い、「優先地域」の特定・評価を行うなど、より深化させていきます。
依存・影響の特定・評価
ENCORE(組織が自然関連のリスクや影響を把握するための分析ツール)を活用し、対象とした主要な製造関連事業の活動と関わりの深い生態系サービスを特定し、依存と影響を5段階で評価したうえで、中程度以上の3段階を抽出しました。可視化したヒートマップは以下の通りです。
その結果、依存の観点では、バリューチェーン上流の金属鉱物の採掘や原材料の製造・加工において、降雨パターンの調節、浄水などに、また下流の輸送・廃棄において、降雨パターンの調節、固形廃棄物の浄化といった生態系サービスに依存している可能性があることを把握しました。
影響の観点では、上流の金属鉱物の採掘において、淡水域・海域に対する土地改変や、廃棄物による水と土壌の汚染などの影響を及ぼしている可能性があることを把握しました。
リスク・機会の特定・評価
自然資本への依存・影響の評価をもとに、当社グループの事業活動において、財務的な影響度が高いと考えられるリスクと機会を以下の通り特定しました。今回は、主な事業についてバリューチェーン全体を俯瞰的に評価した結果、主に規制への対応や調達コストの高騰などの移行リスクが確認されました。機会では、原料や水などの資源の効率化が有効であることが示唆されました。今後は自然資本への依存・影響度が高い事業拠点を特定し、リスク・機会への具体的な対応策を検討のうえ推進していきます。
| リスク区分 | リスク内容 | ||
|---|---|---|---|
| リスク | 移行 | 政策・規制 | ・水使用量の制限、汚染に関する規制強化、温室効果ガス排出規制強化、RoHS指令強化などによる調達品コストの上昇や代替品への切り替えに伴う商品開発費用の発生 |
| 市場 | ・環境負荷低減を求める消費者の購買行動の変化に対応できない場合の収益減少 | ||
| ・顧客の環境志向変化を背景とした、調達品の変更に伴うコストアップや商品開発費用の発生 | |||
| 技術 | ・自然への負荷が少ない技術への移行のための技術開発、導入等の費用の増加による調達品コストの上昇 | ||
| ・自然への負荷が少ない技術等、研究開発の対応の遅れによる収益低下 | |||
| 機会区分 | 機会内容 | |
|---|---|---|
| 機会 | 資源の効率化 | ・リサイクル原料の利用、3Rの徹底、温室効果ガス排出削減に資する生産技術の導入によるコストダウン
・節水や水の循環利用促進につながる設備の導入による安定した生産とコストダウン |
| 市場 | ・森林保全や海洋保護の活動等、生物多様性保全に関連付けた製品による市場評価の獲得および収益の増加 | |
リスクと影響の管理
当社グループでは、グループの事業に重大な影響を与えるリスクを一元的に管理すべく、当社の代表取締役社長を委員長とするセイコーグループリスクマネジメント委員会(以下「当社リスクマネジメント委員会」)が中心となり、グループ全体のリスク管理体制の整備・強化に取り組んでいます。また、当社およびグループ各社の相互において、緊密な連携、協調の下でグループリスクマネジメントを円滑に推進するため、グループ各社の代表取締役で構成するグループリスクマネジメント委員会を設置し、グループ全体のリスクを確認・共有する体制としています。
自然関連の依存・影響とリスク・機会の評価については、TNFDのLEAPアプローチに基づいて実施しています。特に重要な依存・影響とリスク・機会についてはサステナビリティ委員会で特定・評価し、決議を行ったうえで、その決議内容については取締役会に報告する体制となっています。加えて、サステナビリティ委員会で決議されたリスクを、当社リスクマネジメント委員会に報告しています。今後は依存・影響とリスク・機会に関する具体的な対応策についても検討のうえ、サステナビリティ委員会にて決議し、推進していきます。
グループリスクマネジメント推進体制
各役割
セイコーグループリスクマネジメント委員会 ※1
代表取締役社長を委員長とし、グループ横断で対処すべきリスクへの対応に取り組んでいます。また、当社およびグループ各社のリスクオーナーより報告を受け、各社のリスクマネジメントの推進を支援しています。グループリスクマネジメント委員会 ※2
常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成され、グループ全体のリスクの確認・共有、グループ重要リスクへの対応のモニタリング・情報共有を行っています。グループ各社リスクマネジメント委員会 ※3
グループ各社は、各社リスクマネジメント委員会を中心に、自律的にリスクマネジメントを推進しています。サステナビリティ委員会
自然関連の依存・影響とリスク・機会を含む、当社グループのマテリアリティに関する事項につき、議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。加えて、リスクへの対策や進捗をセイコーグループリスクマネジメント委員会に報告します。
指標と目標
当社グループでは自然関連の指標として、取水量、温室効果ガス排出量や廃棄物の排出量、再資源化率等を定量的に把握しています。
取水に関しては、2026年度に2021年度比で取水量を5%削減、取水量売上高原単位を維持するという目標を定めています。
温室効果ガス排出量に関しては、2030年度をターゲットとして、Scope1,2は2022年度比で42%削減、Scope3(カテゴリ1,11)は2022年度比で25%削減という目標を設定しており、2050年度にはネットゼロの実現を目指しています。
再資源化に関しては、2030年度に国内拠点の再資源化率 90%以上という目標を定めています。
目標達成に向けた活動を進めながら、今後はTNFDの開示指標に沿った追加的な指標・目標の設定について検討していきます。








