資源循環
関連するSDGs目標
循環型社会の実現に向けて、自社の事業活動とバリューチェーンが環境に与えるインパクト、環境から受けるリスクと機会を把握し、適切な管理のもと、資源の有効活用、廃棄物の削減をすすめるべく、資源循環に関する方針・基本的な考え方を策定し、取り組みをすすめています。
方針・基本的な考え方
世界的な人口増加や経済成長に伴い、天然資源の枯渇や海洋プラスチックによる環境汚染などの問題から、持続可能な社会の実現に向け、企業には資源の消費を減らしながら事業の成長を図るサーキュラーエコノミーへの転換が求められています。
当社グループでは、製品材料となる鉱物資源やプラスチック、オフィスでの紙資源など、多くの資源を利用しており、資源循環は重要な経営課題です。「循環型社会の実現」をマテリアリティの一つに定め、原材料採取から廃棄・リサイクルまでの全ライフサイクルにおいて、資源の有効活用と廃棄物の削減に努めています。
製品設計の段階から、長寿命化や小型軽量化を図るだけでなく、顧客企業や消費者におけるリサイクル推進に寄与する設計を行っています。製造工程では、資源を効率的に利用するとともに、再生材やリサイクル・再生可能な材料の使用を推進し、可能な限り再利用・再資源化し、廃棄物の最小化に努めています。
製品以外でも、電子化による紙資源の削減、梱包材の削減などもすすめ、環境負荷低減に取り組んでいます。
販売後の取り組みとしては、アフターサービスを強化し、販売店や業界団体などを通じた使用済み製品や消耗品の回収と再資源化に取り組んでいます。
サプライチェーンへの対応としては、「セイコーグループ調達方針・調達ガイドライン」に基づき、資源循環や廃棄物に関わるマネジメント体制の強化をすすめています。
今後は、資源循環の重要性について社員への教育および啓発活動に努め、設定した目標に沿って進捗状況を把握・管理するとともに、取り組みの深化を図っていきます。
推進体制
資源循環に係る重要事項は、当社グループのサステナビリティに関する方針の策定や、それに基づく活動を円滑に行うことを目的として設置されたサステナビリティ委員会で議論のうえ決議され、取締役会に報告されます。取締役会はサステナビリティ委員会の監督機能を担っており、定期的に資源循環を含むマテリアリティに係る重要事項について議論を行います。
目標
当社グループは、循環型社会の実現に向けて、資源の有効活用と廃棄物の削減に努めています。
今後は、設定した目標に沿って廃棄物削減の進捗状況を把握・管理するとともに、各事業拠点における廃棄物管理の実態について更なる調査をすすめ、取り組みの改善を図っていきます。
再資源化に関する目標
2030年度 再資源化率(国内) 90%以上
2023年度総括
2023年度もライフサイクルの視点で資源循環に取り組みました。環境配慮型製品の企画開発においては、プラスチックの削減を含めた3Rの項目を評価し、材料からの取り個数の向上、製品の小型化を推進しました。製造段階においては、継続的な取り組みとして洗浄工程での洗浄剤のリユース、樹脂類のリサイクルに努めました。また、廃棄物として排出する際は、可能な限りの減量化を図り、同時に廃棄物処理に関する遵法を確実にしました。
この他、オフィス業務では、電子化を進めることでペーパーレスを促進しました。これらの取り組みにより、廃棄物の排出量は4,987トンとなり、前年度より677トン削減しました。
また、お客様にご利用いただく製品においては、保証書や取り扱い説明書の電子化、FSC®認証紙の採用拡大などに取り組みました。
廃棄物排出量と再資源化率4,987 t

※再資源化率には熱回収を含んでいます。
用紙使用量60 t

ライフサイクルにおける取り組み
開発・設計
製品開発、設計段階において、部品材料の応力状態や成形部品の樹脂流動状態など、肉眼では見ることのできない物理現象をコンピュータシミュレーションすることで、設計や製品性能の検証に活用しています。また、製品や部品のみならず、インクジェットプリンターのヘッドから吐出されるインク(液体)の流動解析にはスーパーコンピュータと並列計算ソフトウエアを組み合わせた3次元解析を利用しています。これらの解析により、製品性能の向上や設計期間の短縮に加え、試作レスによるエネルギー・材料使用量の削減などの環境負荷削減にもつながっています。

歯車の樹脂流動(左)やインクの吐出状況をシミュレーションした画像
製造
製造事業会社では3Rの考えを基本に継続的に資源循環に取り組んでいます。製造工程での化学物質使用量の削減や代替化、再利用や再資源化は日常的な活動になっています。
また、水は貴重な自然資本であるという認識のもと、水資源の循環利用にも取り組んでいます。
生産設備の保守・再生
当社グループでは、老朽化した生産設備のオーバーホールを行っています。消耗部品の修理や交換により、設備を廃棄することなく継続的な利用、資源の有効活用を実現しています。
また、併せて「レトロフィット」と呼ばれる現代の技術を古い生産設備にマッチングさせ、機能やメンテナンス性の向上・省エネ化を実現する取組みも積極的に行っています。主要設備であるカム式自動旋盤における試作モデルでは、最大で20%程度の省エネ化が期待できます。


輸送・販売
梱包の小型化や軽量化、発泡材使用抑制、通い箱の利用、法規制にもとづいた分別・リサイクルを促進する表示などに取り組んでいます。
回収・リサイクル
販売店や業界団体などを通じて使用済みの製品や消耗品の回収と再資源化に取り組んでいます。
製品など | 参加団体 |
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ボタン電池の回収 | ボタン電池回収推進センター(一般社団法人電池工業会) |
小形二次電池 | 一般社団法人JBRC |
容器包装 | 公益財団法人日本容器包装リサイクル協会 |