文 堀部真由美
「なる早で」と言われたとき、あなたはいつまでを想定しますか?
「5分」なのか、「30分」なのか、それとも「今日中」なのか。同じ言葉でも、人によって驚くほど違いがあります。
実際、現代人の約9割が「他者との時間感覚のズレ」を感じており、その約5割がケンカや言い合いになった経験をしていることが明らかになりました。
ではなぜ、こうしたズレは起きるのでしょうか?
時間効率を重視する 「タイパ(タイムパフォーマンス)」の価値観が定着する一方で、私たちは知らず知らずのうちに、周囲との時間感覚のギャップにモヤモヤを抱えているのかもしれません。
この記事では、そのヒントをデータとともに紐解きながら、人それぞれによって異なる「時間感覚タイプ」があることを紹介します。「私ってどのタイプなんだろう?」と気になった方は、ぜひ「時間感覚タイプ診断」を受けてみましょう。
「『資料作成、なる早でお願い!』と言われたけど、これっていつまで?」
「少し早めに集合って言っていたのに、どうしてあの人はギリギリに来るの?」
「なぜ仕事相手とこんなに時間の感覚が合わないんだろう……」
「なる早(なるべく早く)でお願いします」と言われて、「結局いつまでにやればいいのだろう」と迷った経験はありませんか?「なる早」という言葉には明確な期限がなく、人によって解釈が分かれます。
「セイコー時間白書2026」(対象:高校生から69歳までの男女1,400人)の調査によれば、「なる早と言われてどう思うか」という問いに対して次のような回答結果が得られました。
「なんとなくこれくらいかな」と感覚的に捉えている人が多い一方で、具体的な期限が分からず戸惑う人も少なくありません。
「具体的にいつまでなのかわからず判断に迷う」「急ぐべきなのか余裕があるのかわからない」「自分のスケジュールをどう調整すべきか悩む」「相手に確認しづらい」という4項目に一つでも該当する人は、35.9%にのぼりました。
つまり約3人に1人が、「なる早」をめぐる時間感覚のズレに戸惑っているということです。あなたはどちらの感覚に近いでしょうか?
続けて、時間感覚のズレを具体的な数字で確認していきましょう。
「少し早めに集合」と言われたら何分前に到着するかという問いに対し、最も多かったのは「10分前」という回答でした。しかし人によって認識には差があり、「15分前」と答えた人が全体の3割弱、「5分前」や「20分以上前」と答えた人もそれぞれ1割程度いることがわかります。
自分は「10分前」のつもりで伝えたとしても、相手は「5分前」や「20分以上前」を思い浮かべているかもしれません。「『少し早めに』と言われたら、普通、もっと早く来るべきでは?」などと考える人もいるでしょう。
しかし、自分が考えている「普通」は、意外に「他の人にとって同じとは限らないこと」を覚えておく必要があります。
このように時間の捉え方は人それぞれですが、私たちが持つ「時間に対する意識や価値観」にはどのような傾向があるのでしょうか。
人それぞれの時間感覚の違いを理解するきっかけとなるよう、「セイコー時間白書2026」では、時間学の専門家、一川誠先生(千葉大学大学院 人文科学研究院教授)監修のもと、「時間感覚タイプ診断」を公開しました。
この診断では、「時間を他者に合わせるか/自分基準か(共有型・個人型)」「予定をきっちり守るか/柔軟に変えるか(固定型・可変型)」の組み合わせから、時間感覚を大きく4つに分類しています。詳細は、調査レポートセイコー時間白書2026をチェックしてみてください。
※境界型:1つのタイプに固定されず、複数タイプの特徴を持つ人
まずは診断で、自分がどのタイプかをチェックしてみましょう!
時間白書における調査では、約3人に1人(34.3%)を占めた「2.バランス型」が最も多い結果に。また、年代によっても時間感覚タイプの傾向には違いが見られました。
高校生や10代では人や場に合わせて柔軟に対応する「バランス型」が約4割と多い一方、50代や60代では自分の裁量で時間を使う「マイペース型」の割合が高くなっています。年代によって時間感覚の傾向が異なるからこそ、職場や家庭で時間感覚のズレを感じる場面が生まれるのかもしれません。
また、時間感覚の違いは前向きに受け止められていることもわかりました。「セイコー時間白書2026」の調査では、「全員が同じ時間感覚を持つ必要はなく、違っていて当然だと思う」と考える人が約8割にのぼっています。「人によって時間感覚タイプが違う」という前提を押さえておくことで、然るべき場面で上手にすり合わせながら、互いに心地よい時間の使い方ができるようになるのではないでしょうか。
効率や満足度を追求する「タイパ」という言葉に代表されるように、現代人の時間に対する意識や価値観は非常に多様化しています。
時間感覚は人それぞれ異なり、どれが正しいというものではありません。だからこそ、その違いを知ることが、仕事や日常で感じるズレを理解するための第一歩となります。
まずは、自分がどのような時間感覚を持っているのかを知り、周囲との違いを前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。
【出典】
セイコーは、6月10日の「時の記念日」にちなみ、生活者に時間についての意識や実態を探る調査を2017年から実施し、毎年『セイコー時間白書』として発表しています。
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