取材・文 やなぎさわまどか
写真 落合直哉
子どもたちの成長を応援する、セイコーグループの「時育」。2026年2月、SEIKO HOUSEで開催された「時育ウィーク」では、ウインドウディスプレイとの連携や、複数教室の開催など、一段と幅広く展開しました。進化を続ける「時育」はどのような思いで企画されているのか、広報部時育チームから、冨田 斉(とみた・ひとし)さん、渡上 裕香(わたがみ・ゆうか)さん、作村 麻子(さくむら・あさこ)さんの3名に伺いました。
セイコーが次世代育成を大切にする理由と、「時育」発足の背景を教えてください。
― 冨田さん:セイコーは、「革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる未来を創ります。」というパーパスの実現を目指している企業です。子どもたちの可能性を応援する活動こそ、私たちが目指す未来のために欠かせないことだと考えています。
冨田さん「業務を通して子どもたちのためになる活動ができることが嬉しい」
― 作村さん:もともと2017年から、社員が学校などへ出向いて行う活動をしてきました。時の大切さを知る「わくわく時計教室」の他、プロフェッショナルから直接教わる「わくわくスポーツ教室」や「わくわく音楽教室」、環境保護について学ぶ「わくわく環境教室」、さらに、探求学習用のSTEAMライブラリーや、音楽では本格的なサマージャズキャンプの開催など、さまざまなかたちで次世代育成の取り組みを続けています。
そうした活動をひとつにまとめて、本当に子どもたちのためになるには、私たちがどんなゴールを定めるといいのか、たくさん話し合って決めたのが「時育」の原点です。
作村さん「毎回、子どもたちのためにと思って開催していますが、こちらからご提供する以上に、いつもお子さんたちから元気をいただくんです」
わくわく時計教室では先生としてお話されていますね。子どもたちに伝えるにあたって、どんなことに気をつけていますか。
― 渡上さん:なるべく子どもたちが楽しんでくれることを考えています。集中しやすいように、座学の時間が長すぎないことや、伝える順番は意識しています。親子参加のときは親子で一緒に楽しめる内容にしたり、学校開催の時はなるべくグループワークにするなど、その都度いろいろ工夫をするようにしています。
子どもたちから「わたちゃん先生」と呼ばれ、親しまれている渡上さん。「時計はメカニックな側面もあるので、わかりやすい言葉を選んだり、実際に触ってもらうようにしています」
― 作村さん:私はなるべく参加者の皆さんに声掛けをして、いい思い出を持ち帰ってもらえるように努めています。お子さんたちはもちろんですが、保護者の方や先生方にも、普段とは違う時間を楽しんでもらいたいですね。
また、参加者の皆さんに毎回アンケートをお願いしているので、お子さんたちの感想を元に、良かったことや改善点について、毎回3人で話し合っています。
時育は、文部科学省が主催する「いーたいけんアワード(青少年の体験活動推進企業表彰)」(以下、「いーたいけんアワード」)を2年連続受賞されていますね。どんなところが評価されたと思いますか。
― 渡上さん:令和6年度は奨励賞、令和7年度は優秀賞をいただくことができました。最初の受賞から、教材をリニューアルしたり、開催地を広げたり、対象年齢に合わせたプログラム内容にするなど、たくさんの改善を重ねたことが評価につながったのかと思います。
例えば小学生向けには「セイコーわくわく教室」として、広くいろんなお子さんに新しい視点や体験をお届けし、中高生には「セイコーアカデミー」として、より真剣に取り組んでいる活動に刺激を入れられるような内容を考えています。
時育のプログラムは全て「わくわくして楽しい」「時に関わる」「本物に触れる」「記憶に残る」の4つのキーワードを満たし、セイコーだからこそ提供できる本物の体験を意識しているという時育チーム
― 作村さん:「いーたいけんアワード」に応募することで、私たち自身も意識が高まりますし、参加している他の企業や関係者、教育関係者などにセイコーの時育を知っていただける機会になりました。ぜひうちの学校でも開催してほしいなど、いい反響も多かったです。
― 冨田さん:応募にあたり改めて、青少年の体験学習では何が重要なのか、3人でたくさん勉強し、議論を重ねました。文科省の方針を確認すると、子どもたちには自主性や自分で考える力を求めていることがわかったんです。どうすればそうした”生きる力”がつくのかを話し合い、まずは子どもたちに「もし時計がなかったらどうなる?」と問いかけることにしました。その質問で初めて、正確な時間を共有できる大切さを実感してくれますし、時間というものを意識できるようです。7,000年前の日時計から始まる時計の歴史にも、すごく興味を持って聞いてくれます。
今回の「時育ウィーク」はどのような背景で開催されたのでしょうか。
― 渡上さん:以前セイコーが行ったアンケート調査では、小学生の3人に1人は、平日の自由時間が2時間未満、その自由時間もゲームや動画に費やしていることがわかりました。
多くの保護者が「子どもと一緒に時間の大切さについて学ぶ機会が欲しい」と答えており、時育チームとして、「時育に参加することで、少し立ち止まる時間をつくりたい」と考えました。
時育ウィークでは、SEIKO HOUSEのウインドウに「時の学び」クイズと、時計の歴史にまつわる銀座時景図が登場。6Fホールでは巨大まちがいさがしや、イラストレーターTHE ROCKET GOLD STARさんのトーク、わくわく時計教室は「うで日時計を作ってみよう編」と「時計職人登場編」の2つが開催された
今後はどんなことにチャレンジしたいですか。
― 冨田さん:時は、万人に平等に与えられた宝物。時育の体験をした子どもたちが、自分の夢をかなえるために未来に向かってくれたら、こんなにうれしい事はありません。そういう子どもたちを一人でも多く増やせるようにするのがこれからのチャレンジですね。
時育のプログラムをより良くしたいと思っていた時、「いーたいけんアワード」をきっかけに、文科省の社会教育主事講習に出会いました。そこで社会教育士という資格を取得するため、会社にも相談した上で2ヶ月間集中して勉強したことは、時育の内容を考える上でとても役立っています。
― 作村さん:私は、海外の拠点で開催される時育活動にも携わらせていただいているので、いつかいろいろな国の子どもたちが集う、国際的な時育が開催できたらいいなぁと思っています。開催国によってお子さんたちの個性はいろいろで、お国柄も感じるんです。アジアでは時育の活動がだいぶ浸透してきたので、次は北米か欧州か、いつか大きな展開ができたら良いですね。
― 渡上さん:私は、いろいろな場所で時育の活動を開催したいです。2017年から現在までの体験者数は16,000人ほどですので、もっと多くの方に体験いただけるように、開催地域を広げていきたいですね。出張に行けることも楽しみのひとつなので、47都道府県の全てで時育の活動ができたら良いなと考えています。
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