取材・文 やなぎさわまどか
写真 落合直哉
サステナブルな商品を選びたいけれど、自分の好きなファッションやときめきも諦めたくはない。
ブランド誕生から31年を迎えた「セイコー ルキア」は、現代を生きる方々の想いにごく自然なかたちで寄り添っています。今回は、廃棄されるりんごの芯や皮を原料の一部として使用した合成皮革や、生成過程で発掘を伴わないラボグロウン・ダイヤモンドの採用、そしてedenworksとの協業、セーブ・ザ・チルドレンへの支援など、ルキアが実践する具体的な取組みについて、商品企画・宣伝/販促チームの武内真央さん、吉田七菜穂さん、塚谷理佐さんにお伺いしました。
ルキアとして取り入れてきた、サステナブルな施策について教えてください。
― 武内さん:ルキアは、お客様の心をときめかせるような腕時計をお届けしたいという想いと同時に、未来につながる取組みも非常に重要だと考えています。2022年頃からは、ルキアに合ったサステナブルな素材を採用しながら、ブランドとしての姿勢を示すことに取り組んできました。
現在、一部モデルのストラップには、リンゴ由来の合成皮革を採用しています。加工食品を作る工程でどうしても出てしまう、これまでは廃棄されていたリンゴの芯や皮を原料の一部に使用した合成皮革です。石油由来の化学原料の含有率を減らし、水の消費やCO2排出量を抑えながらも、従来のレザーと変わらない質感や耐久性が実現できています。
商品企画を担当する武内真央さん。「リンゴ由来の合成皮革は、様々なライフスタイルに馴染みやすい落ち着いたアースカラーの発色もきれいです」
― 武内さん:また、ストラップにはもうひとつ、国際基準であるLWG認証のレザーも採用しています。製造拠点の環境配慮やトレーサビリティ、従業員の労働環境といった点で大変厳格な審査をしている認証で、ルキアとしても皮革業界の持続可能で責任あるビジネスの推進に貢献したいと考え、導入に至りました。
2022年からはラボグロウン・ダイヤモンドも導入しています。ラボ(研究室)で作られたダイヤモンドのため、不純物が少なく、クリアで美しい輝きが魅力です。採掘に伴う紛争や児童労働など、新たな社会問題を生み出さないエシカルな素材として注目されている点も採用した理由です。
左:リンゴ由来の合成皮革 右:ラボグロウン・ダイヤモンドが使用されたウオッチ
今後発売されるルキアの商品にはラボグロウン・ダイヤモンドが使用される予定です。
― 塚谷さん:2024年からは、ノベルティ製作にも環境配慮の視点を取り入れました。時代の変化に伴い、ごく自然な流れとしてサステナブルなアイデアが形になっています。
例えば、LUKIA Growというコレクションの撮影では、たくさんの生花を使用したので、撮影後にドライフラワーや押し花などに加工し、ノベルティを作りました。ルキアの撮影に使用する装花は、花のロスを最大限に無くすクリエイションをするedenworks(エデンワークス)さんにご協力いただいています。
販促を担当されている塚谷理佐さん。「実際に撮影に使ったお花なので、店頭ではポスタービジュアルと時計のつながりも感じてもらえたら嬉しいです」
― 塚谷さん:公式Instagramでキャンペーンを行った際には、ドライフラワーを詰め込んだフラワードームを抽選でプレゼントさせていただきました。現在、製作から1年経っていますが、色はきれいに残っていますし、経年による色合いの変化も自然な美しさを感じられます。
また、押し花にしたお花を使って昨年、ブランド30周年記念としてブックマーク(しおり)をつくりました。お取引先を対象としたセミナーなどで参加者へのお土産にしたので、お取引先の皆様にもルキアの取組みをご紹介できたと思います。東京・銀座にあるショールーム兼ショップである“セイコードリームスクエア” でのイベントでは、小さめの押し花をそのまま閉じ込めた手鏡をプレゼントし、大変ご好評いただきました。
左は、きれいな自然の色味を見せるフラワードーム。右は写真プリントではなく実際の押し花を使用した、どれも一点ものの手鏡。表面には微かに、お花の凹凸が感じられます。
― 吉田さん:edenworksさんと一緒にお仕事をするようになってからは、私たちも日々たくさんの刺激を受けています。初めはLUKIA Growが誕生した2023年でした。当時、まっすぐに成長するカラーリリーというお花をテーマにしたモデルを開発していて、ご一緒いただけるフローリストさんを探していました。edenworksさんは「花を棄てずに未来に繋げる」という理念を掲げていて、お花を大切にする想いや、自然の循環に対する考え方にとても共感しました。
宣伝を担当されている吉田七菜穂さん。
― 武内さん:限定ボックスも、edenworksさんに装花を手がけていただきました。ガラス蓋は再生アクリル素材を使用し、中が見えるようになっているものです。パッケージは開封したら捨てるものという考え方もありますが、時計のケースとしてだけではなく、ジュエリーケースや小物入れとしてなど、暮らしのなかで長くお使いいただけるように設計しました。
― 塚谷さん:透明なので、お気に入りの時計やアクセサリーがそのまま確認できるんです。時計をケースに戻して蓋をするとわからなくなってしまうことがありますが、これはすぐに分かるので私自身も便利に感じて使用しています。
― 吉田さん:蓋のデザインが非常に華やかなので、店頭でもお客様の目を引き、すぐルキアを見つけていただけるようです。私自身は普段、玄関に置いていて、鍵などを入れるのに使っています。
LUKIA Growの限定ボックス。「『きれいだな』と心がときめくものが、当たり前に環境配慮されていて、違和感なく毎日の生活に溶け込んでいる。それが理想です。」と話す皆さん
ジュエリーボックスにもなるミニバッグ型のスペシャルボックス(左ネイビー・中央ピンク)はアーティストの三浦大地さんがトータルデザインを担当
― 塚谷さん:店頭ツール(ディスプレイ)にも2023年から再生素材を導入しています。ディスプレイの一部素材には家電の廃材が使われていて、中央のウオッチスタンドの台座も同じく、家電の廃材をリサイクルしたプラスチック素材です。リサイクル技術の進歩もあり、廃材と言われなければ全く気づかないほど、洗練された仕上がりになっています。
現在多くの店頭にて導入しているのですが、リサイクル素材は一般的な素材と比べて高価なため、2023年当時に導入を決めた際はかなり思い切った施策だったと思います。それでも当時の担当者が製作を決めたのは、ルキアとしての積極的な姿勢を示したかったのだと思うので、その想いをこれからも繋げていきたいです。
塚谷さん「こうしたツールがあると、店頭で販売されている方々にも、ルキアというブランドの想いが伝わり、お客様に自信を持って勧めやすくなったと伺っています」
社会貢献の観点では他に、どのような活動をされていますか。
― 吉田さん:2025年からは、子ども支援専門の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」への協力として、ルキアの売上の一部を寄付しています。また、私たちもボランティアとして、長期休暇中の子どもたちを支える「子どもの食 応援ボックス」の箱詰め作業に参加しています。
― 塚谷さん:食料品や文房具、お菓子などを詰めて、発送するための梱包作業でした。他の企業の方々も参加しているので、各社のサステナビリティ活動に関する情報交換の時間も作っていただき、それがすごく参考になります。
― 武内さん:応援ボックスを受け取ったご家庭からの声もお聞かせいただきました。子どもたちが喜んでくれただけでなく、ご家庭の皆様の心の支えになれていると知ることができました。毎年みんなで参加しようと思っていますし、他にもボランティアの機会があれば積極的に参加したいと考えています。
吉田さん「NGOのお仕事を直近で見て、真摯にがんばる方々の存在を知れたことも、貴重な機会と感じています」
サステナビリティに関して、ルキアの今後のビジョンをお聞かせください。
― 武内さん:腕時計への価値観が移り変わる中でも、その時代における女性の気持ちに寄り添った商品開発を進めていきたいです。商品としても美しく、さらに社会課題への配慮や貢献といった背景を持つストーリーがあることで、選んでいただける理由のひとつになれたらと考えています。
― 吉田さん:すでにルキアをご愛用いただいている方々とはこれからも、それぞれの暮らしの中でこのブランドの姿勢を共有していけたらと考えています。これからルキアに出会う次世代の方々には、ルキアを通じて、edenworksさんや三浦大地さんといった方々の活動に触れるなど、その価値観や想いから前向きな影響を受け取っていただければと願っています。 また、親子で取り組むワークショップの開催など、世代にあった心地よさを醸成し、ご提供していきたいと考えています。
― 塚谷さん:リアルイベントは機会を増やしていきたいですね。コロナ禍以降はなかなか、皆さんと直接ご一緒できる機会を増やせずにいるので、今後はもっとファンの皆さまとコミュニケーションを深め、サステナブルな社会や暮らしの実現に向けた未来を一緒に考えることができたら嬉しいです。
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