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「時」について学び子どもたちの可能性を広げる「セイコーわくわく時計教室」は、2021年もたくさんの小学校にお伺いしました。

「セイコーわくわく時計教室」は、時間の大切さや時計の技術について小学5〜6年生が楽しく学べる内容に組み立てられています。講師を担当するのは日々、時計や時間と向き合うセイコーの社員たち。子どもたちに、「時間は世界をつなげる共通言語」であることを伝えています。

2021年11月に開催された墨田区東吾嬬(ひがしあずま)小学校での様子とともに、「わくわく時計教室」を担当するセイコーグループの安井稚葉(やすいわかば)さんに、取り組みについてお聞きしました。

時の概念について学ぶ 「時間って、なんだろう」

5年生の三時間目と四時間目が「セイコーわくわく時計教室」になったこの日、東吾嬬小の理科室には、陸上世界大会でおなじみのセイコースポーツタイマーが登場しました。時間になると元気な30名の子どもたちと担任の倉田先生が来てくれて、元気なあいさつで「セイコーわくわく時計教室」の始まりです。

この日の授業を担当した”ワカマル先生”こと安井さんは、毎日の生活における時間のことや、時計の誕生についてわかりやすく解説。何かを問いかける度に、元気な手がたくさん挙がります。また、みんなが暮らす墨田区が国産初の腕時計が誕生した街であることや、いくつもの技術が開発された話には、特に目を輝かして反応してくれました。

時計教室の様子

「もしも時計がなかったら、どうやって時間を知ることができるでしょうか?」という問いを受けた実験タイムもあります。ひもや砂、ハンドスピナーなど限られたアイテムだけを使って、10秒を計測。ああでもないこうでもない、と各グループが知恵を出し合っていました。

時計教室の様子

タワシと紐を使い、振り子の原理で10秒を計測。どのグループからも、「こうすればいいんじゃない?」「そうだね、やってみようよ」といった声が飛び交います。

初めて触れた、時計の技術

前半でしっかりと時間の概念を学んだ後は、時計の技術に触れる後半へ。ひとりに1つずつ、セイコーの機械式腕時計が手渡され、ずっしりと重みのある本物を使いながら、細かい部品や腕時計が動く仕組みを観察します。

時計教室の様子

ルーペを使って、腕時計の内部を観察。専用シートに気づいたことを書き込みます。

時計教室の様子

みんなで気づいたことを共有し、時計の仕組みについて理解を深めます。セイコー社員からもたくさんのアドバイスがありました。

終盤では時計職人の世界へ足を踏み入れました。ピンセットで腕時計に使われている小さなネジを掴み、文字板に空いた小さな穴へ入れていく作業です。そのサイズ、実に0.9ミリという難易度。時間内に何個のネジを入れることができるのか?みんな真剣そのもの、教室全体が程よい緊張感に満ちていました。

時計教室の様子

「どこを掴めばいいか、難しかった」「練習はうまくいったのに本番で落としちゃった」など、真剣だからこその感想が多かった時計職人体験。専用ケースに入った体験セットは参加者全員にプレゼントされました。

「1秒1秒を大切にしたい」 子どもたちが学んだ時間の有限性

終了後に感想を聞くと、「楽しかった!」と第一声に笑顔で応えてくれた生徒さんたち。「墨田で腕時計が発明されたことを知れて嬉しい」「もっと時計について知りたくなった」「時計の部品の多さにびっくりした」と、これまで意識せずにいた時計や時間に対して、新しい価値観を実感してくれたようです。

時間の大切さについても「1秒1秒を大切にしたいと思った」「自分だけの時間を大事にしたい」「朝の落ち着いた時間が好き」「やる気が出るまでの時間も無駄にしないようにする」など、時間の有限性を考えることで、自然と夢中になることを意識したようです。

時計教室の様子

本を読む時間が好き、という4人。「時間の大切さもわかったけど、時間を忘れるくらいお話の世界に入り込みたい」という本質的な思いにこちらが感銘を受けました。

担任の倉田先生も「子どもたちが楽しそうでした」と言ってくださいました。

倉田先生「この授業のことが決まった時、『時間はスマホで見られる』という声もありましたが、今日、何度も腕時計の中を観察したり歴史を学んだことで、『時を刻む』ということを体感したようです。デジタルは便利だけど、実際に針が時を刻む時計の良さを知る機会になりましたね。

生徒たちはそれぞれ得意な科目や苦手な科目もありますが、決められた時間の中で自分の力を出し切って、時間を有効に大切に使えるようになって欲しいです。」

倉田先生画像

社会のために全社型でコミットする。セイコーが大切にする企業文化

この日1日”ワカマル先生”として子どもたちに親しまれていた担当の安井さんに、セイコーの取り組みについてうかがいました。

安井さん「セイコーわくわく時計教室を開催すると、授業の前と後で子どもたちの変化を感じることができます。未知のことに触れて目を輝かしたり、夢ができたり、世界観が広がっている様子を目の当たりにして、セイコーが140年の歴史で培ってきたさまざまな財産を子どもたちに手渡せたように感じますね。子どもたちの成長や変化こそが未来を変える力になると信じています。

この経験を通じて『未来は自分で変えていけるんだ』という希望をもってもらえることを目指しています。今、世界の最先端として海外のテック企業などをイメージする子も多いと思うんですが、そうした基盤にも日本の技術があることや、実は身近に世界初の技術革新に成功した企業があることなどを伝えたいです。当たり前の毎日が成り立つためには、それを支えた技術や歴史があるんだと知ることで、夢のもち方も変わっていくと思うんです。」

安井さん画像

コーポレートブランディング部企業文化チームの安井さん。音楽活動や社会貢献活動を通してセイコーの想いを日々発信しています。

時計教室の様子

「スイミングプールのタッチするところに使われてるのもセイコーの時計ですか?」と、休憩時間にも積極的に質問してくれる子も。「そうですよ、タッチ板。よく知ってるね」と安井さん

現在、多くの企業が国際目標のSDGsや社会課題解決に積極的ですが、セイコーは今も昔も、創業時から変わらずに社会貢献や公共性を大切にしてきました。安井さん自身も「社会のみんなのために、という精神性は自然と染み付いている」と言います。

安井さん「『セイコーわくわく時計教室』の中で、セイコーによる世界初のクオーツ式腕時計の技術が世界に広まった歴史に触れています。もしも当時のセイコーが特許を公開せずに独り占めしていたら、これほど世界中に正確な時計が行き渡っていたかどうかは分かりません。というのも、セイコーが開発した音叉型のクオーツ技術が使いやすかったからこそ、技術公開とともに使う会社が増えたんだと思うんです。その結果として、それまで高級品であった時計は一般の人も持てるものになり、現代では選べるものになりました。そしてこのクオーツ式腕時計の開発技術は、時計だけでなく、現在使われている多くの電子デバイスにも応用されていて、ネットワーク社会にも貢献しています。このような産業の礎を作りあげ、技術公開されたことの意義は、セイコー社員はみんな実感して仕事をしていると思います。」

時計教室スタッフの皆さん

東吾嬬小学校にて安井さんと共にわくわく時計教室を担当されたスタッフ。次世代の教育支援は、セイコーグループ、セイコーミュージアム、セイコーウオッチなど、グループの枠を超えて横断型で取り組んでいる。

安井さん「『セイコーわくわく時計教室』も今後、開催地域を広げていきたいと思っています。お問い合わせは多くいただいており、2021年度はそれまでの3倍以上の小学校から開催リクエストがありました。今まではどうしても、当社がある東京都内での開催ばかりになっていたので、体験型のプログラム内容を保ちながらも地域の垣根を超える方法を考えてきました。やっと動画と合わせた体験キットを開発できたので、2022年度からは日本各地での開催を増やしていく予定です。またその先には、海外での開催も視野に入れています。」

時計教室の様子
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