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わくわくする体験や発見など、子どもたちの豊かな心の育成を応援するセイコーグループは、盛岡セイコー工業と共同で、生物多様性を学ぶ「セイコーわくわく環境教室」を開催しました。
 
開催場所は、岩手県雫石。盛岡セイコー工業では前から環境保護活動を行っており、特に2012年からは生物多様性に注目した活動を続けています。

第一回目となった「セイコーわくわく環境教室」の様子と、盛岡セイコー工業が続ける環境活動について、同社の環境管理課、村里 法志(むらさと のりゆき)さんに伺います。

生物多様性を学ぶ「セイコーわくわく環境教室」とは?

わくわく環境教室 画像

村里さん「環境保護や生物多様性という課題について、小さなお子さんたちにも楽しく感じてもらえるよう企画しました。当初は子どもたちの夏休みに合わせて7月に開催を予定していたのですが、コロナウィルスの感染拡大を受けて何度も延期していたので、本格的な冬の前に開催できたことが嬉しいです。担当者一同、この日のために入念に準備をしてきました。

今回は、みんなで学んで実際にやってみるワークショップ形式としました。まず、なぜ自然との共生が必要なのかという話を聞いてもらった後、みんなで弊社の緑地へ行き、さまざまな色や形の植物を観察しながらフィールドビンゴをして遊び、最後に、みんなでインセクトホテルをつくる時間としました。」

「インセクト(=虫)ホテル」とは、欧州発祥の、微生物や昆虫などが過ごしやすい場所をあらかじめ用意してあげること。昆虫がいる場所には鳥や小動物が集まりやすくなり、それらが周囲の植物と共生することで多種多様な生命が暮らす森林が作られるという、生物多様性の輪を生み出す一種の仕掛けです。

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インセクトホテルは木や枝、枯葉など自然素材を組み合わせて、小さな隙間に食べ物を集めたり、厳しい気候から身を守るなど、昆虫たちが過ごしやすい場所となる。

村里さん「インセクトホテルを作れば地球環境が良くなるわけではないのですが、これをきっかけにして環境について考える人が増えることこそが重要だと思います。私たち大人の役割は、子どもたちが素直に楽しめるようにサポートすること。雫石は、岩手山を望む自然豊かな地域ですが、それでも現代のお子さんたちが山に入って遊ぶことは難しいですし、自然に触れる機会は少なくなっています。こうしたイベントを利用して、思い切り自然を楽しんでほしいと考えました。」

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生物多様性の話を聞いた後はみんなで緑地に入り、ビンゴカードをヒントに様々な植物を観察して過ごした。

日本の各地には古くから、人間の暮らしが集中する市街地と、手つかずの自然がある奥山地域の間に「里山」がありました。農地やため池、森林といった、食べ物や資源を収穫する役割や、心が安らぐ自然美の景観、文化やコミュニケーションが生まれる場所として私たちの暮らしに恩恵をもたらしていたのが里山です。そこは同時に、小さな動植物の生息地でもありました。

村里さん「ここだけで里山の代わりになったり全体に寄与するわけではなく、今の子どもたちや次の世代にも、森林保全のことを意識してもらえることに意義があると思っています。自然と触れ合いながら、自分たちは自然と共生していると感じられること、それが「楽しかった」と思えること、そうした子ども時代の記憶や体験が大事で、それがあればいつかさらに広がっていくはずです。」

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子どもたちが自由に組み合わせられるよう、色々なサイズや形の木材、天然資材を用意。

「セイコーわくわく環境教室」の始まりは、社内から

盛岡セイコー工業では2011年以降、春と秋の年2回、社員と家族が参加するかたちで森林保護や生物多様性の活動を続けています。

村里さん「社外の専門家に協力いただきながら、緑地の草刈りを工夫して虫たちが過ごしやすくしたり、巣箱を設置したり、自然観察なども定期的に行なっています。インセクトホテルは2019年に教えていただき、幸いにも材料は敷地内で手に入りそうだと思って、みんなで作ってみたことがありました。その時に参加した社員と家族から「ものすごく楽しかった」と聞くことがあり、せっかくならまた親も子も楽しいことをしようと今回の「セイコーわくわく環境教室」に繋がりました。

今回は15家族、子どもは24名も参加してくれて、2台のインセクトホテルを作りました。このホテルの枠組みは昨年オープンした機械式時計の専門工房「グランドセイコースタジオ 雫石」を設計した隈研吾建築都市設計事務所に設計いただきました。子どもたちの発想力は素晴らしかったですね。インセクトホテルに収める虫の部屋は、説明するだけでなく見本も用意していましたが、結果的にどれも独創的で、こちらが感動や刺激を受けたほどです。もしも大人だけで作っていたら絶対にできないものになりました。」

2019年に制作したインセクトホテルは、社内活動の拠点にしている緑地に設置され、リスが松ぼっくりを食べていたことなどが確認されています。そこは普段から動物たちの通り道。グランドセイコースタジオ 雫石の正面にも続いているため、時計職人の皆さんはお仕事中、ウサギやリス、カモシカが歩いているのをガラス越しに見掛けることも珍しくないそうです。

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子どもたちは発想力と独特の感性で、「こういう風にしたいな」「こんな感じはどうかな」と、虫が集まる部屋のイメージを大人に相談。

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今回参加された社員の皆さんからは、「子どもと一緒に作る作業が楽しかった」という声が多数ありました

制作中、あちこちから聞こえる子どもたちの弾む声。「内側を2段に分けたから、カブトムシが食料を貯めるところと寝床が分けられるよ」「ツバメが休みやすいようにフカフカの藁を敷いてみた」「先にどんぐり2個、入れてあげた」など、どんな生き物がどんな風に過ごすかを想像している様子がとても楽しそうでした。

またトンカチやドリルなどを大人に手伝ってもらいながら「さすがお父さん、すごい」という声や、「私もやってみたい」という積極的な声など、小さくも確実な自信や成長のタネがまかれたようでした。参加されたお子さんにお話を伺ってみると、「森には松ぼっくりやきのこがたくさんあって楽しかった」「初めて釘を打った。またやってみたい」「学校の友だちにも今日のことを教えてあげたい」といった感想を教えてくれました。

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スタジオ正面のゆりの木の下に、個性豊かな虫の部屋が収まって、インセクトホテルが完成!

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もう一台は2019年制作のインセクトホテルと並んで設置。続々と参加者の作品とも言えるインセクトホテルが収まっていきました。

「この楽しさを、より広く」 社外へ広げる活動の意義

こうした生物多様性への取り組みを、これからはもっと社外へも伝えていきたいという村里さん。ご自身も環境管理課の担当になって以来、「考え方が広がった」と感じているそうです。

村里さん「初めは業務として担当者になったのですが、色々なことを知るうちに、思うことや気づきがありました。特に生物多様性は生き物との繋がりが根底にあります。繋がりを体現したり本当に理解するためにも、ここの緑地は業者に外注することをせず、自分たちの手で管理できるように努めています。時に社員の家族にも手を借りながらですが、周りと調和したスタジオで働いているんだし、自分たちでやろうよ、と。また、個人的には脱炭素への意識も高まり、買い物する時には省エネなども選択基準としてみるようになりました。

これまで社内に向けて活動することが多かったですが、より広くこうした意識を広げるためにも社外に積極的に発信していきたいと思っています。今回「セイコーわくわく環境教室」としてもすごく好評でしたので、今後も続けていきたいです。」

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