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取材・執筆:友光だんご(Huuuu)
撮影:飯本貴子

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こんにちは、ライターの友光だんごです。突然ですが、「無駄」にも色々ありますよね。

例えば1日の中でボーッとしたりする時間だったり、漫画や映画のような創作物。これらは人生を豊かにしてくれる「必要な無駄」だと思います。

ただ、そうした有益な無駄はごくごく一部。やはり無駄の大半は、無くせるなら無くしたいものがほとんどです。なんとなく登録したけど全然使ってないサブスクの月会費とか、お腹の余計な贅肉とか……ああ、無くしたい! でも、意外と気づかないんですよね。なかなか見えなくて、気づけば積もり積もっていることが多いのが無駄の常。

さて、本日はそんな「見えない無駄」を無くすセンサーのお話です。

センサー 画像

一見、ただの箱に見えるセンサーたちですが、オフィスや商業施設、工場などで、日々「見えない無駄」を無くすのに役立っている優れものなんだとか。しかも、時計メーカーのセイコーが、長年培ってきた時計の技術を注ぎ込んで作っているそう。

「見えない無駄」って一体なに? そして、時計とセンサーがどう関係してるの? 気になることがたくさんあるので、セイコーに取材してきました!

映画館の「見えない無駄」とは?

セイコーインスツル・精密デバイス事業本部の吉塚 剛さん、辻 智晴さん 画像

取材に応じてくれた、セイコーインスツル・精密デバイス事業本部の吉塚 剛さん(写真右)と、辻 智晴さん(写真左)。

よろしくお願いします。「見えない無駄」を減らすセンサーを、セイコーが作っていると聞いて来たのですが。

吉塚:はい。「ミスター省エネ」という商品名なのですが、例えば全国の映画館で使われています。

映画館に、どんな「見えない無駄」が?

吉塚:映画館って、実は空調管理のためにかなりのエネルギーが必要なんですよ。

人が入れば入るほど室温が上がるし、映写機も熱を発します。だから室温を一定に保つために、エアコンをたくさん回す必要がある。またビル管理法といって、人がたくさん入る建物では一定のCO2濃度を超えたら、ダクトを開けて外気を入れ、換気することが法律で義務付けられています。

ただし夏場に外気を入れると、室温は上がりますよね。換気のために外気を入れなきゃいけないけれど、その分涼しくするためにエアコンをガンガン回す……みたいな状況が発生してしまうんです。

それは電気の無駄遣いですね。

辻:こうした無駄を防ぐために、何が必要だと思いますか?

インタビュアー 画像

なんでしょう……多少暑くても客が我慢する? いまはコロナで換気も大事になってますし。

辻:昔はそうだったかもしれませんが、センサーがあれば我慢しなくてもいいんです。

ただ闇雲に換気しなきゃいけないのではなく、適切なCO2濃度を保つことが必要なんですよ。つまり、常にCO2濃度を測って、その数値に応じてダクトを開閉すれば、最低限のエネルギー消費で済むんです。

確かに。ということは、この場合のセンサーはCO2濃度を感知している?

吉塚:はい。さらに室温も測って、エアコンの操作とも連動しています。ここで「感知」だけじゃなく、ダクトの開閉やエアコンの操作のような「制御」もできるのが、「ミスター省エネ」のポイントなんです。図にするとこんな感じですね。

ミスター省エネの仕組み 画像

ミスター省エネの仕組み

人が「なんか暑いな」と感じて、窓を開けて外の風を入れる……みたいな一連の動きを、センサーとパソコン上のソフトウェアで行ってるってことですね。

吉塚:ざっくり言うとそんな感じです。手動で温度を測ったり、決められた時間に換気をするだけでは、効率のよい空調管理はできません。というより、そこで無駄が発生していることに気づかないですよね。

ーデータをきちんととることで、初めて「無駄」も見えてくるんですね。それが「見えない無駄」ってことなのか。

辻:シネコンと呼ばれる大型映画館は全国に350ほどあるんですが、「ミスター省エネ」は9割の映画館に導入されています。そこで上のような機能が働いていて、導入をきっかけにエネルギーが約3割削減できているそうですよ。

3割はすごい! 昔はこういう商品はなかったんですか?

辻:センサーとパソコンを繋ぐネットワークが有線のものがほとんどだったんです。かつ、無線でも電池が2年ほどしか保たない商品が多かった。そんな中、無線で10年動くセンサーネットワークを、セイコーの技術を活かして開発したんです。

「より小さく、より長く」を追求する

吉塚 剛さん 画像

吉塚:有線だと、設置のために配線工事の必要があるので、工場に導入するなら一度、機械を止めなくちゃいけない。だから無線の商品は元々需要があったんですけど、無線にはエネルギー源の問題があった。

有線なら配線を通じて給電が可能ですけど、無線の場合は電池式になる。ただ、電池式で長く動かすのが難しいんです。業界的には「2年の壁」みたいなものがあって。

2年以上、電池式で動かすのが難しかった。それって電池性能の問題ですか?

辻:それもありますが、消費電力の問題のほうが大きくて。使う電力が少なければ、より長く動かすことができますよね。この「消費電力をいかに絞るか」が、長年、時計を作ってきたセイコーの得意技だったんです。

たしかに、電池式の時計って何年も動きますね。

吉塚:電子回路の消費電力を抑えるのはもちろん、センサーから受け取ったデータを内部で処理し、無線で指示を出すシステム全体を、できるだけ省電力で行う。「より小さく、より長く」を極めてきたセイコーだからこそ、無線で10年動くスペックを実現できました。

センサー 画像

辻:こうしたセンサーって、ビルの中央監視のように、24時間365日、安定して動くことが必須の現場で使われることが多いんです。今の時代はあらゆるものがデジタルで制御されてるので、データが来ないと制御のしようがないですから。

無線の製品が出始めた頃、データが安定して取れないみたいなものも多かったんですよ。だから無線への不信感がお客さんの側にあったのですが、セイコーの製品は安定して機能する、というところで信頼していただいているように思います。

時計も正確に動くのを当たり前に求められますし、「安定して動く」という点も、セイコーの得意技なわけですね。

「見えない無駄」を減らす需要が高まっている

辻 智晴さん 画像

辻:最近は、SDGsの流れもあって導入いただくところも増えているんです。ただ正直、ここまで需要のある商品になったのは我々としても予想していなくて(笑)

というのも、「ミスター省エネ」は10年前に社内の新規事業として開発されたんです。セイコーの技術を横展開して、新しい領域の製品をつくれないか?と。当時、こういう無線のセンサーネットワークが普及する予測はあったんですけど、「必ず当たる」という確証はなくて。

ニーズありきではなく、社内の技術を横展開するかたちで生まれたんですね。実際、映画館以外にはどんなところで導入が増えてるんですか?

吉塚:例えばオフィスで「働く環境の向上」を目的に導入するケースが増えています。最近は室温やCO2濃度などを細やかにオートメーションで管理しながら、快適な仕事環境を提供することに色んな企業さんが取り組んでいるんですね。ただ、そのためには「センシング」が欠かせません。

温度やCO2は目に見えませんから、きちんと環境を数値化して、システムに反映するためのセンサーが求められているんです。

センシングしたさまざまなデータは、ネットワーク上へ反映される

センシングしたさまざまなデータは、ネットワーク上へ反映される

辻:また最近の流行りだと、工場のCO2削減に皆さん取り組まれていますよね。そこで、例えば自動車ひとつとっても、大企業では関連企業や社外の取引先など、さまざまな工場のラインが動いています。

これまでは社内のCO2排出量だけ測っていたところを、社外の工場のライン一つひとつまで、どれくらいエネルギーを使っているか把握しよう、という動きになっています。そこで、設置や管理のコストが低い「ミスター省エネ」を導入いただくケースが増えていますね。

いままで見えていなかった部分まで、ちゃんと測って把握しよう、という流れになっているんですね。まさに「見えない無駄」を知って、無くしていこうと。

辻:そうですね。「SDGsだから」ではなく、エネルギーの無駄を減らしてCO2排出量削減に取り組むのは当たり前だよね、という風潮を感じています。

吉塚:セイコーの時計を作っているメインの国内工場は、岩手の雫石にあるんです。雫石はとても自然の美しい環境で、会社としても周りの環境を破壊せず、自然と共生することに取り組んできました。雫石の森を見ていると、自然と「環境に負荷をかけることはやめよう」という気持ちになるんですよね。

当たり前に、社会課題に取り組んでいく。そうした姿勢がどんどん広がっていくといいですよね。

吉塚:まだまだ「見えない無駄」はあると思いますから、「ミスター省エネ」がさらに活躍していってほしいですね。

おわりに

「無駄」は、その存在に気づいて初めて、無くすことができます。セイコーのセンサーネットワークは、今まで見えていなかったところにまで入り込み、無駄を発見する、今の時代に欠かせない技術でした。

「SDGsだから」ではなく、当たり前に、持続可能な働き方・暮らし方へと変わっていく。そうした世の中の流れを、「ミスター省エネ」はこれからも支えていってくれるはずです。

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