Magazine ジャズコラム
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Seiko Summer Jazz Camp All Stars 2026 10周年感動のファイナルレポート!
10年の時を紡ぐ「言葉なき対話」
- 2026/10/29
- 2026/10/29
今年で10周年を迎え、作曲・編曲コースの開講、「BLUE GIANT賞」「SHOBI賞」の創設など、さらにプログラムを拡充したSeiko Summer Jazz Camp 2026は、あわせて開催される関連コンサートも充実のラインアップ。講師陣8名で結成されたSeiko Summer Jazz Camp All Starsが、ミシガン、ニューヨーク、東京、横浜、大阪、北海道の日米6都市で合計8回の公演を開催しました。ここでは2026年の締めくくりとなる8月16日に行なわれたSeiko Summer Jazz Camp 10th Anniversary Special Concertの模様をレポートします。
取材・文:早田和音
撮影:amigraphy
取材日:2025年8月16日
セイコージャズキャンプオールスター、卒業生ビッグバンド、卒業生スペシャル・コンボが集うプレミアムなコンサート
Seiko Summer Jazz Camp(以下:セイコージャズキャンプ)の活動は、ジャズ・ミュージシャンを志す若者たちが、世界の一流プレーヤーから指導を受けられる本格的ジャズキャンプを実現したいという願いのもと2016年にスタート。今年で10周年を迎え、年を追うごとにカリキュラムと規模を拡充させながら350名超の卒業生を輩出。その中には、日本のジャズ・シーンだけでなく海外でも活躍するミュージシャンが数多くいます。
これまでセイコージャズキャンプはジャズキャンプと並行して、トップ・ミュージシャンがそろう講師陣によって編成されるSeiko Summer Jazz Camp All Starsのコンサートも数多く開催してきました。2026年8月16日に有楽町 I’m a show(アイマショウ)で開催されたSeiko Summer Jazz Camp 10th Anniversary Special Concertは、Seiko Summer Jazz Camp All Starsだけでなく、これまでのジャズキャンプ卒業生“Seiko Jazz Campers”から選ばれたメンバーによるスペシャル・コンボと、今年に新設された作曲・編曲コースの講師を務める挾間美帆が指揮する卒業生ビッグバンド“Seiko Jazz Campers Orchestra”も出演するプログラム。まさにセイコージャズキャンプの10年が凝縮されたコンサートです。
第1部:Seiko Jazz Campersスペシャル・コンボ
佐々木梨子(As) 金子礼(As) 布施音人(P) 高橋陸(B) 中村海斗(Dr)

第2部:Seiko Jazz Campers Orchestra
挾間美帆(Arr, Cond) 鈴木真明地(As, Ss) 及川陽菜(As) 曽我部泰紀(Ts) 松下美月(Ts) 松林杏悟 (Bs) 國府方章弘(Tp,Flh) 鈴木雄太郎(Tp,Flh) 菊地立起(Tp,Flh) 藤野拓人(Tp, Flh) 斎藤凜太郎(Tp,Flh) 池本茂貴(Tb) 治田七海(Tb) 春木香菜絵(Tb) 三原万里子(Tb) 布施音人(P) 平田晃一(G) 米澤毅風(B) 濱田省吾(Dr)

第3部:Seiko Summer Jazz Camp All Stars
マイケル・ディーズ(Tb) ディエゴ・リヴェラ(Ts) ベニー・ベナックⅢ(Tp, Vo) ダン・ニマー(P) ジョセリン・グールド(G, Vo) 中村恭士(B) クインシー・デイヴィス(Dr) アリシア・オラトゥージャ(Vo)

【第1部】音で語り合う、その瞬間だけの即興演奏
第1部に登場するスペシャル・コンボのメンバーは、佐々木梨子(As)、金子礼(As)、布施音人(P)、高橋陸(B)、中村海斗(Dr)の5人。そのうちの布施、高橋、中村の3人は、2018年のキャンプで出会って以来、数多くの共演を重ね、布施の2枚のリーダー・アルバムでフィーチャーされているほか、大勢のミュージシャンから共演をオファーされるなど、現在の日本ジャズ・シーンの中心的なトリオとなっています。そのトリオとともにステージに立つアルトサックスの金子礼は、2016年のセイコージャズキャンプで優秀賞を受賞。そしてもうひとりのサックス奏者、佐々木梨子も、2022年のセイコージャズキャンプで特別賞を受賞。ともに現在はアメリカの大学でさらにジャズを学びながら演奏活動を展開しているふたりが一時帰国し、この日のステージに上ります。



そのコンボ・ステージ最初の2曲はカルテット編成での演奏です。オープニングは金子(As)をフィーチャーしたスタンダード曲「I Love You」、そして2曲目は佐々木(As)をフロントに立てた中村のオリジナル曲「Little Warm Winter」。ゆったりとしたアフロ・ビートとスウィングが交錯する広々とした音空間の中で4者が軽やかに音で語り合う前者「I Love You」、佐々木の大胆なフレイジングのアルトサックスと布施(P)/高橋(B)/中村(Dr)のリズムがひとつになって音の高みへと昇っていく後者「Little Warm Winter」。金子と佐々木それぞれのスケールの大きなカルテット演奏が繰り広げられた後は、そのふたりがそろうクインテット演奏「Four」のスタートです。トリオが繰り出す高速ビートの中で、疾走感ゆたかなソロを聴かせる金子、破綻を恐れぬダイナミックなブロウを披露する佐々木。その堂々たる演奏にホールから大きな拍手がわきあがります。


【第2部】セイコージャズキャンプの10年の歴史と未来を奏でるビッグバンドのステージ
続く第2部は、挾間美帆がタクトを振るSeiko Jazz Campers Orchestraの登場です。バンドを構成するセイコージャズキャンプ出身の18人はいずれも、ライブ演奏やレコーディングなど日本のジャズ・シーンで活躍するライジングスター。セイコージャズキャンプ 2018優秀賞受賞の及川陽菜と、2019最優秀賞受賞の治田七海のふたりは現在アメリカで活動しており、一時帰国のタイミングを捉えてのうれしい参加です。演奏は、サックス・セクション、トランペット・セクション、トロンボーン・セクションのリフがエレガントなアンサンブルを織りあげるサド・ジョーンズの名曲「My Centennial」(編曲・挾間美帆)からスタート。コントラスト豊かで心地よい演奏がホールいっぱいに響き渡ります。


その後は、セロニアス・モンクの名曲を現代的なテイストへと生まれ変わらせた「Friday the 13th」と、挾間が今年4月にデンマーク・ラジオ・ビッグ・バンドとともに発表したアルバム『Frames』に収録されている彼女のオリジナル曲「And The Door Unsealed」の2曲を続けて演奏。挾間らしい色彩感覚ゆたかでスケールの大きな両曲の中で、ソプラノサックスの鈴木真明地、フリューゲルホーンの藤野拓人、ギターの平田晃一、テナーサックスの松下美月らが溌溂としたソロを披露。そこからは、セイコージャズキャンプの10年の歴史だけでなく、これから先の未来に突き進もうとする音も聴こえてきました。


【第3部】ステージとホールが一体となったドラマティックなオールスターの演奏
最終第3部に登場するのは、セイコージャズキャンプが誇る講師陣によるSeiko Summer Jazz Camp All Stars。あらためてメンバーを紹介しましょう。フロントを担当するホーン奏者は、マイケル・ディーズ、ディエゴ・リヴェラ、ベニー・ベナックⅢの3人。リーダー兼トロンボーン奏者のディーズは、アメリカの代表的ジャズ雑誌Downbeatの評論家投票で2021年から5年連続トロンボーン部門第1位を続ける実力者。サックスのリヴェラはラテン音楽とジャズを融合させた音楽を展開する世界的アーティスト。そしてトランペットのベニー・ベナックⅢはヴォーカルにも冴えを見せる二刀流。そこに、マンハッタン音楽院出身でジャズからR&B、ポップスまで幅広い音楽性を具えた実力派シンガーのアリシア・オラトゥージャが加わります。リズム・セクションは、ダン・ニマー、ジョセリン・グールド、中村恭士、クインシー・デイヴィスの4人。ジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラのピアニストを務めるダン・ニマー、自国カナダ最高峰の音楽賞であるジュノー賞に輝くギタリストのジョセリン・グールド、世界でもっとも多忙なベーシストのひとり中村恭士、多数のトップ・アーティストからの重用を受けるドラマー、クインシー・デイヴィスという豪華な布陣です。


そのステージのオープニングを飾るのは、ミシガンで活動を展開する名作曲家グレッグ・ヒルの作品2曲です。スウィング感ゆたかな4ビートの中で楽しげなテーマ・アンサンブルが展開される1曲目「Fiero」、ジャズ・ファンなら思わずニッコリしてしまう“ポインシアナ・ビート”に乗せて、オラトゥージャの魅惑的な歌声がエレガントにメロディを綴っていく2曲目「Wiggy」。
Seiko Summer Jazz Camp All Stars全員の魅力が凝縮された2曲が華やかな幕開けを演出した後は、編成を変えながら各プレーヤーの魅力をフィーチャーしていく中盤へと展開。ギタリストのグールドとトランペッターのベナックⅢが楽器とヴォーカルの両面で軽妙洒脱なソロを交わしていく「Bye Bye Blackbird」を皮切りにして、リヴェラ、中村、デイヴィスのスリリングなインタープレイが繰り広げられる「Ease It」、ニマーの美しく変幻自在のタッチが光るピアノ・トリオ演奏「Lu’s Bounce」、オラトゥージャが陰影ゆたかに恋人への想いを綴るバラード「Embraceable You」へと、ジャズが持つさまざまな魅力とメンバー各自の実力が存分に紹介されていきます。
バラエティ豊かな演奏の数々がオーディエンスを魅了した後は、いよいよコンサートも終盤。ディーズ作による最終曲「Seiko Time」が披露されます。同曲はセイコージャズキャンプ関連コンサートでたびたび演奏されていますが、この日の演奏はゆったりとしたボサノヴァでスタート。以降、プレーヤーのソロに合わせて徐々にリズムが変化し、終盤のディーズ、リヴェラ、クインシーのソロ交換では力感ゆたかな8ビートへと突入。ホールからわきあがってきた手拍子のなかで、ステージとホールが一体となったドラマティックなフィナーレが飾られました。
Seiko Time&Jazzでは、活動に関連した動画やライブ情報を多数公開しています。
興味を持たれた方はぜひお気軽に聴きにいらしてください。


