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text & photograph by Atsushi Kondo

2002年、5歳でフェンシングを始めた彼女は、慶應義塾女子高校1年の時に世界の舞台を目指すことを決意した。2016年にはジュニアのワールドカップで優勝、そして2018年5月のシニアのグランプリ大会で準優勝。2018年現在の日本ランキングは1位、世界ランキングは16位、先に行われたアジア大会では日本チームの一員として、団体金メダルも獲得した。宮脇花綸、21歳、彼女にとって大事な「時間」について聞いた。

基本となる時間は「3分」

宮脇花綸 基本となる時間は「3分」写真

宮脇選手の基本となる時間を教えていただけますか?

やはり「3分」ですね。フェンシングでは一試合、あるいは1セットが3分で行われます。途中何度も競技は止まるし、審判からの説明とかもあって、実際には3分以上あるのですが、試合そのものの時間は3分です。そして不思議なことに、その積算して3分だな、というのがわかるんです。

不思議な感覚ですね。じゃあ、カップ麺なんかも時間通りに待てますね。あまり食べないとは思いますけど。

それがそうでもないんです。合宿に行くと、アルファ米ってあるじゃないですか。あれを温めるときはいつも待てなくて、よく仲間から、そんなに硬いお米をよく食べられるね、ってからかわれますよ。

世界の舞台へ向けてのテーマソング

宮脇花綸 世界の舞台へ向けてのテーマソング 写真

東京事変の「閃光少女」がお好きだと聞きました。この曲も2分57秒、ほぼ3分ですよね。

はい、私にとっては世界の舞台へ向けてのテーマソング、みたいな曲になってます。メロディも気持ちを盛り上げてくれるし、詩(歌詞)も大好きです。私の試合に対する想いというのを的確に表現してくれているんです。

試合に対する想い?

はい。私にとっては、試合の日、その日が全てなんです。もちろんそれまでに練習を積み重ねてはいるのですけど、その日に自分がどのくらい輝けるか、それが大事なこと。とにかくその1日に全てをかけるんだっていう感覚を、この曲は描いてくれているんです。

ちなみにこの曲のどういうところが好きなんですか?

今この瞬間の大切さを伝えてくれてるところが大好きです。この曲を聞くまで、そんなことを言ってくれる人に出会ったことがなかったですから。

宮脇花綸 写真

5歳から始めたフェンシング

5歳から始めたフェンシング 写真

フェンシングを始められたのはずいぶん早かったんですよね?

幼稚園の年長組、5歳の時です。家から車で5分くらいのところにフェンシングの道場があって、そこに姉が通っていたんです。その姉の影響で、私、そして同時に父もフェンシングを始めました。

そこから一気にフェンシングにはまった?

はい、子供の頃から戦隊モノのが好きでしたから、やはり剣を持って闘う姿には惹かれました。でも、一番はまったのは父でしたね。今は50歳以上の日本代表選手でもあり、協会の専務理事として太田会長のもとで働いています。私も協会に所属しているので、ずいぶん上の人になっちゃいました。(笑)

宮脇花綸 写真

自分がやったことがないせいもあるのでしょうが、フェンシングという競技は見ていて一体どちらが先に突いたのか、全くわからないんです。宮脇選手には当然剣先の動きは見えているんですよね?

もちろんです。(笑)他の選手の試合を見ている時でも、たとえば会場内の柱で一瞬2人の動きが見えなくなっても、剣の動きは何となく見えますね。逆に自分が試合をしているときは、相手の剣先の動きを見てというより、もっと感覚的に攻撃を仕掛けていきますけど。

子供の頃からさぞかし運動神経の優れたフェンシング娘だったんでしょうね?

いえ、いえ。私はこう見えて、実は走るのが遅いんですよ。短距離も、中距離も。でもなぜか、反射神経はいいんです。人混みの中をさっさっさっと躱し(かわし)ながら駆け足で進んで行ったりとか、得意です。

宮脇花綸 写真

なるほど、なんだかフェンシングの選手っぽいですね。

あとは、エレベーターに乗ると、普通より少し離れた距離からファンデブの姿勢で行先階のボタンを押したりとか。(笑)

※ファンデブ(フェンシングの専門用語):突く

先ほど、基本は3分だとおっしゃいましたけど、フェンシングでは大会で優勝するためにその3分を何度も何度も繰り返さなければならないんですよね?

決勝戦まで進むと、トータルで54分という時間を闘うことになります。3分はある意味であっという間にすぎてゆく時間ですけど、さすがに54分という長さは、運動強度からしてもかなりハードなものになります。でも、その54分というのを最初から意識していると、必ず負けますね。

宮脇花綸 写真

たとえば、さっきの3分は良かったのに、1分休憩した後の3分でいきなり調子が狂う、みたいなことはあるんですか?

もちろんありますよ。フェンシングはあくまでも対人競技ですから当然相手選手の波にも左右されますし、審判の微妙な判定に影響されることもあります。

試合を通じては、二つの大きな流れがあると思うんですね。一つは「自分が作り出せる流れ」です。怖がらずに自分の技を積極的に仕掛けることで掴める、そんな流れです。

もう一つは?

もう一つは「自分の力ではうまくコントロールできない大きな流れ」です。ちょっとここは耐える時間だな、動かないほうがいいな、そういうときはあえてその流れに逆らわないことも大事だなと思います。

宮脇花綸 肩書きのない世界一、チャンピオンになりたい 写真

肩書きのない世界一、チャンピオンになりたい

宮脇花綸 写真

今現在の目標はやはり世界の舞台でのメダルですか?

もちろんそれもありますが、個人的にはとにかく肩書きのない世界一、チャンピオンになりたいです。

肩書きのない?

そうです。ユースレベルで優勝しても、大人の世界に進めばそこには別のレベルの闘いが待っているんです。私自身、そこでなんとか勝てるようになるまでに、2年かかりましたから。ですから、ジュニアチャンピオン、とか、ユースチャンピオン、とか、優勝の前に限定条件がつくものではなく、全ての競技者の中で一番強い、っていうタイトルがやはり欲しいですね。

宮脇花綸 写真

再来年までに残された時間について考えたり、焦ったりしますか?

特に強く意識しているわけではないですが、来年から世界の舞台に向けての闘いが始まるので、今はそこに向けて黙々と準備をしている段階です。私にとっては、それほどあっという間に時間がすぎてゆく、という感覚はないですね。焦りもありません。毎日自分の時間をコントロールして、しっかり練習もして、時計を見たらまだ午後3時か、なんてこともあるくらいですよ。(笑)

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