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【荒川静香さんが解説】初心者でも楽しめる!フィギュアスケートのルールと採点方法(3/4ページ)

衣装/音楽とフィギュアスケートの関係性について

荒川静香 写真

写真 フォート・キシモト

フィギュアスケートの衣装は、芸術品と呼びたくなるほど美しいものばかりです。演技とともに観客の心に残る衣装は、作品としてのプログラムを形づくる重要な一部だと言えるでしょう。そして衣装は、試合という舞台で選手に力を与える役割も果たします。衣装にもルールがあり、過度に肌を露出したもの、裸体を連想させるものは品位を損なうとして禁止されています。

フィギュアスケート衣装デザイナーとして有名な伊藤聡美さんは、羽生結弦選手や宇野昌磨選手ら多くのトップスケーターの衣装を手がけており、シーズンで50着制作したこともあるそうです。もともとアイスダンスが好きだったという伊藤さんは、村元哉中選手&髙橋大輔選手組の衣装も制作しています。

また、フィギュアスケートのプログラムづくりは、音楽選びから始まります。王道と言われる曲はオペラやバレエなどのクラシックなものが多いですが、誰も使わなかった曲で斬新な印象を与える名プログラムもあります。羽生結弦選手の『SEIMEI』やネイサン・チェン選手の『ネメシス』、宇野昌磨選手の『Great Spirit』などが、その例でしょうか。

フィギュアスケートにおける特別な名曲として、『ボレロ』が挙げられます。イギリスのアイスダンスカップル、ジェーン・トービル選手&クリストファー・ディーン選手組が優勝した1984年の世界の大舞台で滑り、芸術点でジャッジ全員が満点をつけたフリーダンスで使った曲です。今季は、シニアデビューと同時に優勝候補となったロシアのカミラ・ワリエワ選手がフリーで採用しています。

スケーターは、音楽に調和した滑りが求められます。また、試合では音楽に背中を押されて力を発揮することもあるでしょう。

荒川さんが明かす衣装/音楽に関する秘話

荒川静香 写真

荒川さんは衣装も印象的でしたが、現役時代はどれくらい重要視していましたか?

荒川「パッと見た時の印象、曲や世界観とマッチしているかによって演技構成点などにも影響を与えるので大事な要素ですよね。私は子どもの頃から自分の衣装をデザインすることが多かったので、こだわりはありました。私のように多少動きにくくてもデザイン性を重視する選手は少数派だったかもしれません。」

選手によって衣装への意識も異なるんですね。やはり荒川さんの衣装にはこだわりを感じていました!

荒川「1人ひとりの体型が異なるので、同じデザインでも着る人が変われば見た目の印象も変わります。なので、スカートにしても飾りにしても選手自身に合っている衣装や着こなしを選択することが重要なんです。私のように自分で作っていた人もいれば、有名デザイナーに高額でオーダーしていた人もいました。シーズン中に衣装を変えることもたまにありますが、安藤美姫さんは毎試合違う衣装で臨んだシーズンもありましたね。」

衣装と並んでスケート靴も重要な道具だと思います。選手それぞれのこだわりがあるのでしょうか?

荒川「エッジの位置が少し変わるだけでもまったく違う感覚になるので、シーズン中は同じ靴を履くなど選手それぞれのこだわりがありますね。履き方も十人十色で、女性選手の多くはタイツの上に履くのですが、厚いソックスや五本指ソックスを履いたり、素足のまま履く人もいます。驚いたのはビニール袋の上からスケート靴を履く選手がいたことですね!その選手にとって最適な感覚を突き詰めた結果だと思います。」

荒川さんと言えばトゥーランドットのメロディを想起する方も多いと思いますが、選曲の経緯を教えてください。

荒川「私があの曲で滑ってみたいと思ったのは19歳か20歳の時でした。すごく好きな曲だったので、滑っていて心地良かったんです。普通は毎シーズンごとに新しい曲に挑戦するものなのですが、私は好きな曲だったので結局3回も使いました。やっぱり大舞台では“トゥーランドットで滑りたい。”という感情が湧き上がってきましたね。」

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