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【荒川静香さんが解説】初心者でも楽しめる!フィギュアスケートのルールと採点方法(2/4ページ)

観戦が楽しくなる荒川さんのフィギュア小話

荒川静香 写真

基本ルールを押さえたところで、荒川静香さんにフィギュアスケートの魅力について伺います。ご自身の経験を踏まえたちょっと観戦が楽しくなる話が聞けました。

まずフィギュアスケートのそれぞれの種目の特徴を教えてください。

荒川「男女シングルが恐らく多くの方がイメージするフィギュアスケートの種目かと思います。ペアはシングルを男女一緒にやるような種目です。シンプルな技に加えて男性が女性を放り投げてジャンプするなどアクロバティックな技が入ってきます。一方のアイスダンスはいわば、“氷上の社交ダンス”です。男女2人で芸術性の高いダンスのような滑りを求められる点がペアとの違いです。」

ペア・アイスダンス イラスト

ペアとアイスダンスの区別がつきませんでしたが、そういう違いだったんですね。“氷上の社交ダンス”はイメージしやすいです。

荒川「アイスダンスはシングル・ペアと異なり、1回転半以上のジャンプが禁止されています。男性が女性を持ち上げるリフトでは、ペアだと男性が腕を伸ばして女性を頭上まで持ち上げるのが特徴です。しかし、アイスダンスの場合は、女性を男性の頭上まで持ち上げることは認められていません。アクロバティックな技が見どころのペアに対し、スケーティングそのものの美しさや芸術性を競うのがアイスダンスの特徴です。」

男子シングル・女子シングル イラスト

シングルのSPとFSにおいて滑り方の明確な違いはありますか?

荒川「SPが“短距離走”で、FSが“中距離走”と表現すると分かりやすいかもしれません。決められた要素だけを詰め込んで2分50秒でまとめるのがSPです。たとえば、3回転の予定のところが回転不足で2回転になると得点はゼロになります。FSであれば2回転分の得点が入るのでその違いがあります。一方でFSはボーナスがつく(基礎点が1.1になる)後半のジャンプは3つであり、SPの3倍です。つまり後半に難しいジャンプを持ってくると得点が上がりやすくなります。終盤は体力的にキツイのでミスのリスクも高くなりますよね。その場面でのジャンプにはすごく価値があるということです。」

短距離走と中距離走の例えはまた分かりやすいですね。SPが上手くいかなかった場合に、翌日のFSでメンタル的に影響することはありますか?

荒川「大いにありますね。不思議ですが、SPが上手くいったら、それはそれで“昨日が一番良かったのでは?”と思っちゃうものなんです。2006年に行われた世界的な大会ではSPで3位でしたが、1点差以内に3人がひしめき合っていました。FS次第でメダルの色が変わる状況でしたが、追う立場だったのでプレッシャーは少なかったと思います。結果にとらわれると注意すべきことを見失いがちになるため、メンタルのコントロールは重要でした。」

やっぱりメンタルが大きく影響をおよぼす競技なんですね。滑り終わってキス&クライで待っている時間はどんな心境なんですか?

荒川「上手くいかなった時は長く感じて、自分の納得する表現ができた際は一瞬に感じますね。上手くいった時は隣にいるコーチとテンション高く2人で喋っている間に得点がバンとでるようなイメージです(笑)。」

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