SEIKO  HEART BEAT Magazine 感動の「時」を届けるスポーツメディア

検索
豊田兼の『今』。二刀流ハードラーが絶頂期の先に設定する“日本記録更新” 豊田兼の『今』。二刀流ハードラーが絶頂期の先に設定する“日本記録更新”

豊田兼の『今』。二刀流ハードラーが絶頂期の先に設定する“日本記録更新”

文 C-NAPS編集部
写真 落合直哉

セイコーがサポートするアスリートの胸の内に迫る企画、『Team Seikoメンバーの今』。全3回シリーズの最後は、陸上競技の110m・400mハードルの2種目で活躍する豊田兼だ。2023年に頭角を現し、2024年には大ブレイク。400mHで自己ベストを何度も塗り替えるなど、“豊田史上最高の状態”を更新し続けている。

そんな目下絶好調の二刀流ハードラーは、大学最終学年を迎えた今、この先のキャリアにおいてどんなビジョンを描いているのだろうか。急成長の要因に迫ると同時に、ハードラーとして成し遂げたい目標である“日本記録の更新”についても語ってもらった。

攻めのレースの実践で芽生えた“挑戦する勇気”

右手に熊のぬいぐるみ、左手に金メダルを持つ豊田選手

大学1、2年時から攻めのレースに挑戦したからこそ、才能が開花した今の豊田がある

写真 フォート・キシモト

2024年の日本陸上競技選手権大会の男子400mHで、自己ベストを塗り替える日本歴代3位の47秒99で見事に優勝を果たしました。結果を出し続けている豊田選手ですが、本番で力を発揮する秘訣を教えてください。

レース前にいかに自分のレースプランをイメージできるかが重要だと考えています。上手くいくレースは10台のハードルを問題なく越えて走り切れる自分の姿が想像できます。イメージ通りの走りを実践できていることが、結果が出ている要因です。

ただ、大事な試合前は、実はとても緊張しています。そうした緊張状態の中でレースにアジャストしていくために、あえて弱音を吐くようにもしています。レース直前に弱音を吐くことで身体から、不安要素を出し切るイメージですね。

大会に向けてのモチベーションの上げ方を教えてください。また、国内・海外の大会でのモチベーションの違いはありますか?

大会前の調整が上手くいくと必然的にモチベーションが高まります。それゆえ、モチベーションを高めるより、練習の質を高めることに注力しています。ただ、海外での試合はまだ経験が浅いので、国内の試合と違ってモチベーションの管理が難しいのが現状です。

大学で心身において一番成長した部分、競技において進化した点を教えてください。

何事も挑戦する勇気が身についた気がします。一見すると、無謀だと思われるような攻めのレースを大学1、2年の頃から試合で挑戦できていたからこそ今があると感じています。守りに入るより、攻めたほうが成長の可能性はきっと高くなるでしょう。

遠征先のグルメが楽しみ、食生活はバランスを重視

競技スタート前の豊田選手

安定したパフォーマンスを発揮するうえでもカロリー量を意識。慣れない海外の大会もご飯が楽しみな要素となっている

写真 フォート・キシモト

重要な大会に向けて、普段から食生活についてはどんなことを意識していますか?

日頃から必要カロリー量を多くしなければいけないことを認識しているので、練習した日は普段よりさらに多くカロリー摂取することを意識しています。外食の際は定食などを選び、できるだけバランスの良い食事を摂るようにしています。

海外などの遠征先で競技以外での楽しみはありますか?

海外に遠征する際は、その土地の風土を学ぶためにも試合後に観光や散歩をしています。また、その土地のグルメを味わうことも楽しみの1つです。遠征自体はモチベーション管理や体調の調整などが国内の大会に比べて難しいのですが、楽しみを見つけることを意識しています。今後は海外選手とも積極的に交流していきたいですね。

Team Seiko加入後に増えた応援の数

Team Seiko加入から約1年が経って変化を実感していることやセイコーからのサポートで嬉しかったエピソードを教えてください。

ありがたいことに応援してくださる方が増えました。また、セイコーゴールデングランプリ陸上(GGP)の際には、スタンドにいるセイコー関係者を含めた多くの方々に熱心に応援していただきました。自分はそうした応援に対して「結果」でお応えしたいという気持ちで走りました。GGPでも1位になれて良かったです。

Team Seiko加入後に山縣亮太選手などの偉大な先輩からの金言、トランポリンの棟朝銀河選手、レスリングの尾﨑野乃香選手ら慶應大学にゆかりのあるメンバーとのやり取りはありましたか?今後聞いてみたい話、みんなでやってみたいことはありますか?

山縣亮太さんとは遠征や合宿でいつも大変お世話になっています。山縣さんのストイックな姿勢には、本当に学ぶべきことが多いと感じています。また、棟朝銀河さんは所属ゼミの OBなので先日、大きな大会に挑むにあたっての極意などを伝授していただきました。尾﨑野乃香さんとは同級生ながらまだお話ししたことがないので、キャンパス生活やレスリングの競技についていろいろと聞いてみたいです。

ハードルを飛び越える豊田選手

ハードラーとしての日本記録更新、そして二刀流でのマルチな活躍を目指す

写真 フォート・キシモト

今後の競技人生におけるハードラーとして成し遂げたいこと、目標のアスリートや理想像を教えてください。

ハードラーとして、まずは400mHの日本記録(47秒89)を更新したいです。Team Seikoの先輩である山縣さん(男子100m日本記録9秒95)、セイコースマイルアンバサダーの福島千里さん(女子100m日本記録11秒21、女子200m日本記録22秒88)のように記録保持者になれればと思っています。

また、2種目並行する二刀流のスタイルが僕の個性だと思っているので、田中希実選手のように直向きにそしてマルチに活躍できる選手を目指したいです。

豊田兼

陸上短距離選手
豊田兼

身長195cmの恵まれた体格を活かし、400m/110mH/400mHの3種目をこなすマルチハードラー。2023年8月に中国で行われた第31回FISUワールドユニバーシティゲームズの男子110mHで学生世界一に輝き、同年10月のアスレチックスチャレンジカップでは日本歴代6位となる48秒47を記録し、世界の大舞台の標準記録を突破した。陸上競技界の未来を担うホープ。

RECOMMENDあなたにオススメの記事

Seiko HEART BEAT Magazine

Seiko HEART BEAT Magazineは、
スポーツが生み出すわくわくドキドキする瞬間を、
アスリートへのインタビューやスポーツにまつわるトリビアを通じてお伝えする、
セイコーのデジタルスポーツメディアです。

HEART BEAT Magazineトップ