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大橋悠依の『今』。成熟の時を迎えた“個人メドレーの女王”が挑む集大成 大橋悠依の『今』。成熟の時を迎えた“個人メドレーの女王”が挑む集大成

大橋悠依の『今』。成熟の時を迎えた“個人メドレーの女王”が挑む集大成

文 C-NAPS編集部
写真 フォート・キシモト

セイコーがサポートするアスリートの胸の内に迫る企画、『Team Seikoメンバーの今』。全3回のシリーズの第2弾に登場するのは、競泳界に君臨する“個人メドレーの女王”こと大橋悠依だ。200m・400m個人メドレーという2種目で世界一の座を手にし、プロスイマーに転向するなど、輝かしい実績を誇る大橋は成熟の時を迎えて何を思うのだろうか。

また、Team Seiko加入後のわくわくスポーツ教室などでの競技の垣根を越えた関わりで得たものとは――。競技人生において酸いも甘いも噛み分けてきた大橋の見据える視線の先に迫る。

ベテランの域に達した大橋の心身の調整法とは

スイミングゴーグルを着用する大橋選手の様子

経験豊富なプロスイマーの大橋は、心身の調整法についても多彩なアプローチを実践している

写真 フォート・キシモト

大会中やプレッシャーがかかる環境でのリラックス方法・適応方法はありますか? 

大きな大会や初めて泳ぐ会場の時は意識してリラックスするように心がけています。その方法としては、到着してから会場の中を1周したり、観客席からプールがどのように見えるのか確認したりすることです。競技中はプールサイドにいますが、その視点だけに留まっていると緊張して世界が狭く思えてしまうことがあります。そのため、意識的に観客席から周囲を見ることで、自分を客観視できるように努めるのが私流のリラックス法です。そうすると緊張が少し和らぎます。

重要な大会に向けて、普段から食生活についてはどのように意識していますか?

アスリートにとって食は非常に重要です。特に私は貧血を患った経験があるので、普段から鉄分・ビタミンは気をつけて摂るようにしています。また、和菓子が大好きなので練習前後の補食やレースの日の小腹がすいた時などはようかんを食べていますね。ようかんには、ビタミンK、ビタミンB2、ナイアシン、鉄分、亜鉛、銅、マグネシウムなどの栄養が含まれていて、実は貧血対策にも良い食べ物なんですよ!

プロスイマーとして、長期間トップ選手として競技を続けてきた中で培ってきた調整法はありますか?

もちろん、いくつかあります。ただ、成功した調整法を軸にしながらも、それだけにこだわりすぎずに身体や年齢に応じて柔軟に変化させることが必要ですよね。何事も過去にとらわれ過ぎずに、適度にブラッシュアップを加えることが大切だと思います。

一喜一憂しすぎずに長いスパンで計画することが大事

大会で泳ぐ大橋選手の様子

栄光も挫折も味わってきた大橋なだけに、冷静に長期的な計画に基づいて自分を高める術を心得ている

写真 フォート・キシモト

大会に向けてのモチベーションの上げ方を教えてください。また、国内・海外の大会でのモチベーションの違いはありますか?

過去の良かったレースの映像を見返したり、どんなレースや泳ぎがしたいかを想像してより明確にしたりすることでモチベーションが高まります。

海外の大会は、観客の熱量がすごかったり、演出も盛大だったりするのでおのずとモチベーションが上がることが多いですね。特に2022年の世界選手権が行われたハンガリー(ブダペスト)は本当にすごかったです。水泳が盛んな国なので、独自の雰囲気や盛り上がりがありました。

若手時代と経験を多く積んできた現在とで、競技に対するメンタル面の差はありますか?

何事にも一喜一憂し過ぎなくなったことですかね。直近の大会で勝った・負けた、良い泳ぎができた・できなかったということだけでなく、年間を通してどう強化していくか、今必要なことは何なのかを考えられるようになったと思います。長いスパンで物事を考えることは意識しています。

また、強化合宿や大会で他の選手の練習法や考え方について話を聞くのも非常に良い機会です。レースについての考え方も人それぞれなので、そうした独自の話を聞くことはとても面白いし刺激になりました。自分の見識を広めるきっかけにもなっていますね。

Team Seikoで得た“頑張る”よりも“夢中になる”の考え方

レース後プールから手を振る大橋選手の様子

大会時にSEIKOのロゴを見ると、日頃のサポートを思い出し力が出るという

写真 フォート・キシモト

Team Seiko加入から2年が経った今の変化・実感すること・セイコーからのサポートで嬉しかったエピソードはありますか?

一番サポートを実感できるのは大会の時ですね。SEIKOの横断幕がプールサイドからよく見えて、本当に力をもらいました。競泳会場にはSEIKOの計時計測機器やタッチプレートなどがあり、それを見るたびに心強い気持ちが沸いてきますね。

Team Seikoのメンバーとやってみたいことはありますか?

年に一回ほど、Team Seikoの面々とお会いしていますが、普段は本当に会う機会が少ないんですよ。なので、集まれる時にはアスリートみんなで食事会とかしてざっくばらんに競技や考え方などを話してみたいです!

大橋選手(左)とセイコースマイルアンバサダーの福島千里さん(右)が話している様子

セイコースマイルアンバサダーの福島千里(右)とわくわくスポーツ教室に参加した際に、「“頑張る”よりも"夢中に"!」という金言をもらったと語る大橋

写真 落合直哉

Team Seiko加入後に、わくわくスポーツ教室でのセイコースマイルアンバサダーの福島千里さんと共演を果たしました。競技の垣根を越えた関わりで得たこと、学んだことはありますか?

福島さんがおっしゃっていた「“頑張る”よりも"夢中に"!」という言葉がとても素敵で印象的でした。アスリートはやはり結果が重要なので、どうしても勝ち負けにこだわって「頑張ろう!」と力み過ぎてしまいがちなんですよね。福島さんからお言葉をいただいてからは、「自分も水泳に夢中になろう!」という気持ちを大切にするようになりました。そうすることで、本当に水泳を楽しみながら自分の目標に邁進できる――つまりは夢中になれるのかなと思っています。

大橋悠依

競泳選手
大橋悠依

2021年の東京五輪女子200m・400mの個人メドレーで金メダルを獲得し、2冠を達成したトップスイマー。2022年には日本女子競泳選手で初のプロ転向を果たした。女子200m・400mの個人メドレーの日本記録保持者でもあり、個人メドレーの女王として君臨する。

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