

舞台裏も白熱!たむじょーとGGP観戦&レジェンド講師再集結のわくわくスポーツ教室
文 大西マリコ
photo by AFLO SPORT
2024年5月19日、セイコーがオフィシャルタイマーを務める「セイコーゴールデングランプリ陸上2024(以下、セイコーGGP2024)」が開催されました。2011年から始まり13回目を迎えるセイコーGGP2024の舞台は、2025年の世界陸上東京25(東京2025世界陸上競技選手権大会)の開催地でもある国立競技場。幾多の名勝負が繰り広げられた日本陸上競技界の聖地に世界のトップアスリートが集結し、”国立で、世界目撃”のキャッチコピーに違わぬ熱い戦いが繰り広げられました。
そんなセイコーGGP2024の舞台裏では、セイコー主催の2つのイベントが開催されました。YouTuber・たむじょーさんと観戦を楽しむスペシャルシートと、福島千里さん、髙平慎士さん、江里口匡史さん、髙橋萌木子さんの元陸上日本代表のレジェンドアスリートたちが指導する「わくわくスポーツ教室inGGP2024」という豪華ラインナップ。陸上好きにはたまらない内容となったイベントの様子をレポートします。
GGP観戦をより楽しく!「たむじょー×セイコースペシャルシート」

国立開催のセイコーGGP2024には2万人以上の大観衆が集まり、大会は大いに盛り上がった
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ワールドアスレティックス(WA)が実施する「コンチネンタルツアー」シリーズにおいて、最高位カテゴリの「ゴールド」に位置づけられている「セイコーGGP2024」。2024年のゴールドランクは世界で12大会のみであり、日本国内で現地観戦できる唯一の大会です。また、今夏にパリで開催される世界の大舞台への出場を目指す上でも試金石となる重要な大会だけに、例年以上の盛り上がりを見せました。会場には2万人以上のファンが観戦に訪れ、1階の観客席はほぼ満員という盛況ぶりでした。

たむじょーさん(右)としゅうへいさんの陸上に精通したYouTuberコンビが競技解説を交えながら、観客と同じ時間を楽しんだ
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そんなセイコーGGP2024をより楽しむためにセイコーが提供したのが、セイコースポーツファンリーダーとして2024年1月から活動するランニング×コメディYouTuber・たむじょーさんと観戦を楽しむスペシャルシート。競技を間近に感じられる1階のA席に500名の陸上ファンを招待しました。
サポートMCとして陸上系YouTuber「TKD PROJECT」のしゅうへいさんが参加し、たむじょーさん&しゅうへいさんによる応援盛り上げや解説を実施。知っておくと面白さがアップする種目のルールや、選手の情報などを聞きながらの観戦に、参加者のみなさんはより一層盛り上がりをみせました。同時多発的にさまざまな種目が行われるGGPでは、次から次へと注目種目が開始されるので大忙し。たむじょーさんも「どの種目を観ればいいのか困りますね!」と本音をこぼすと会場では笑いが起きました。
種目の合間では、特製うちわに記載してもらった推し選手名を聞いてその理由をインタビューするなど、ファンとの交流も盛んに行ったたむじょーさん。また、スペシャルゲストとしてTeam Seikoの競泳・佐藤翔馬選手が駆けつけるなど、陸上競技以外のところも注目度満載のイベントとなりました。

セイコーが特別協賛する大会で自己ベストを更新する快走を見せた豊田。このままの勢いでパリまで突き進めるのか
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男子400mHでは、「Team Seiko」の豊田兼選手が出場。スタート前のウォーミングアップ時には、スペシャルシートからの声援に気づいた豊田選手が大きく手を振り、一礼してくれるという嬉しい心遣いも!そして本番では長い手足でハードルを飛び越え、スペシャルシートの前をダイナミックに通過して見事優勝。48秒36で自己ベストを更新し、日本歴代5位へ躍り出る素晴らしい記録を打ち立てました。これにはスペシャルシート参加者全員が大興奮!事前配布されたお揃いの応援うちわを鳴らし、大きな拍手を送りました。
聖地・国立で実施!「わくわくスポーツ教室inセイコーGGP陸上2024東京」

聖地・国立でのわくわくスポーツ教室には総勢135人の小学生が参加。わくわくスポーツ教室の最大規模を更新
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セイコーGGP2024開始前の午前中には、「セイコーわくわくスポーツ教室inセイコーGGP陸上2024東京」を開催しました。同教室は、世界で活躍するアスリートから実技をまじえ、身体を動かす楽しさを学ぶ機会や、世界大会で使用する計測機材を使った体験など、本物の選手と技術に触れながらスポーツと時について考えるプログラム。これまでも、全国の小学校やイベント会場に赴き、次世代を担う子どもたちを対象に実施しているイベントです。
セイコーGGPにおける開催は2023年の日産スタジアムに続き、今回が2回目。135人という同教室史上最大人数の小学生に男女混合リレーの授業を実施しました。小学生たちにとっては、午後から世界のトップアスリートが熱戦を繰り広げるトラックで走れる、貴重な機会となったはずです。

セイコーGGP2023でも講師を務めた髙平さん、髙橋さん、福島さん、江里口さんのレジェンド4人衆が再集結した
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講師陣は2023年に引き続き女子100m・200mの日本記録保持者でセイコースマイルアンバサダーの福島千里さんを中心に、2008年世界の大舞台の北京大会で男子4×100mリレーの銀メダリストに輝いた髙平慎士さん、日本選手権男子100mで4連覇を成し遂げた江里口匡史さん、女子100m日本歴代3位の11秒32の記録を持つ髙橋萌木子さんの4人。2024年もGGPにわくわくレジェンド講師たちが帰ってきました!司会進行役には、たむじょーさんと実況MCのDJケチャップさんと日本陸上競技連盟の公式マスコットキャラクター「アスリオン」も参加しました。

開会を宣言した福島さん。あいにくの曇り空に負けないはじける笑顔で小学生たちを盛り上げる
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福島「今日はみなさんに会えるのを楽しみに、わくわくしながらここに来ました。あいにくの曇り空ですが、日差しや暑さがないので身体を動かしやすい天気です。みなさんの笑顔で太陽のようにキラキラと輝けるよう、元気にやっていきましょう!」
まずは、陸上競技をより深く知るため、大会に欠かせない機材の紹介です。正確な計時計測を行う機材の1つとして、スタート時のフライングを計測する「ファール判定装置」を説明。そのあと実際に、福島さん、江里口さん、髙橋さんの講師3人が機材を使用してスタートして、髙平さんがリアクションタイムなどの解説をしました。

福島さん、江里口さん、髙橋さんに加えてアスリオンもリアクションタイム選手権に参加
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少しの静寂の後、ピストルの合図とともに3人が素早くスタートダッシュ!さて、誰の反応が早かったでしょうか……?もっとも反応が早かったのは、福島さん。0秒149という驚くべきリアクションの早さに、小学生たちから「すごい〜!」と歓声が上がりました。
結果に対して「福島さんは現役時代から早くて鋭いスタートが持ち味でした!」と評した髙平さん。福島さんは「全身を“耳”だとイメージして、感覚を研ぎ澄ませて走り出しています!」と小学生に具体的なアドバイスを送りました。陸上への学びを深めた後は、いよいよレッスン開始。この日のテーマは、リレー競技においてスピードアップに欠かせない「バトンパス」について。日本が世界に誇るバトンパスのコツを、世界で活躍してきた4人のアスリートが指導します。
陸上への学びを深めた後は、いよいよレッスン開始。たむじょーさんとストレッチや軽いランニングなどのウォーミングアップを行い、身体をほぐしたらレジェンド講師らによるリレーの授業がスタートです。

元陸上日本代表のレジェンド4人によるバトンリレーは圧巻。小学生たちも食い入るようにその様子を見つめる
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江里口「バトンパスには、オーバーハンドパスとアンダーハンドパスの2種類があります。オーバーハンドパスは後ろに腕を伸ばすので距離を稼げますが、走る姿勢が崩れるためバトンを受け取った後のダッシュが遅くなるデメリットもあります。反対に、アンダーハンドパスは走る姿勢を崩さずに受け渡しできるので加速がスムーズです。」
髙橋「オーバーハンドパスは、バトンをもらう人は手のひらを渡す人の方にしっかり向けることが大事。一方で、渡す側はバトンを相手の手のひらに押し込むようにして、ハイ!としっかり声を出しながら渡すのがポイントです。」
髙平「アンダーパスは、受け手が加速しやすいよう意識することがポイント。日本代表では、オーバーハンドパスの良いところも活かせるように両者の腕でVの字をつくるようなイメージをしていたんですよ。」
指導を受けた後は実際にバトンパスにチャレンジ。聞いたアドバイスをイメージしながらバトンを託す
トップアスリートの手本とコツを、真剣なまなざしで見聞きしていました。その後は、1チーム5人ずつ27チームに分かれてバトンパスの練習。レジェンド講師が各チームを直接指導しながら、バトンパスのコツを伝授していきます。
福島「オーバーは前後の距離が近くなり過ぎないように。アンダーはオーバーのままだと遠いから近づこう!」
髙平「声が小さいと、思った位置にバトンが届かないから元気よくいこうね。大きな大会だったらたくさんの人がいて声が届かないよ!」

本番ではそれぞれの想いを込めてバトンパスをする小学生たち。タイムと想いをつなぐのがリレーの醍醐味だ
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最後は、チーム対抗「4×100mリレー」を実施。練習の成果を発揮するチャンスです。緊張する小学生たちにアドバイスを行う福島さん。
「私もすごく緊張するタイプ。でも、緊張は悪いことじゃないって考え方を変えてから怖くなくなりました。それに今日はバトンをわたす人もわたされる人もいます。1人じゃないので、みんなで頑張ろう!」と、トップアスリートならではのエールを贈りました。スターティングブロックやタイマーなど、世界大会で使用される本格的な機材を使用して、レースに挑んだ小学生たち。バトンパスでは「ハイ!」と声を出して渡し、しっかりとバトンをつないでいました。
そして27チーム中、1位に輝いたのは52秒93で完走した「ゆめおりAC」チーム。優勝した同チームには、なんと!「福島千里さん出張レッスン」のプレゼントが。大喜びの同チームにやさしく駆け寄る福島さん。もしかすると、この中から未来のセイコーGGPに出場する選手がいるかもしれません!
回を重ねるごとにパワーアップ!3度目の集結も誓う

2年連続でセイコーGGPの特別版わくわく教室の講師を務めた4人に感想を聞いた
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次世代を担う小学生たちにとって、スポーツの楽しさと本物の技術に触れる貴重な機会となった「セイコーわくわくスポーツ教室 inセイコーゴールデングランプリ陸上2024東京」。福島さんと、ともに2度目の講師を務めた3人のレジェンドアスリートに感想を聞きました。
福島さん、レジェンドアスリートのみなさん、本日はお疲れ様でした!4人で講師として臨んだ2度目の「セイコーわくわくスポーツ教室」はいかがでしたか?また、2025年開催を視野に入れた思いについても聞かせてください。
福島「毎年開催できるだけでもすごいことなのに、誰1人欠けることなくこのメンバーで集まれたことに感激しました。陸上は、勝ち負けや順位といった結果がタイムに出る世界ですが、今回のリレーのように1人ではなくチームで行うことで、小学生たちにとって新たな気づきや学びがあったら良いなと思っています。来年は世界陸上東京25が開催され、さらにこの国立競技場が開催場所となるので、次回の「わくわくスポーツ教室in GGP 」はよりスペシャルに!そういう思いで楽しみにしています。」

「次回はさらに福島さんの魅力を引き出せたらなと。」と語る髙橋さん(左)。2025年での3度目の集結を期待させた
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髙平「小学生たちは緊張感がありつつも楽しそうだなっていうシーンが多く、リレーの授業を通してさまざまな感情を味わえた、わくわくする1日になったのではないかなと思います。2025年に向けて3回目があるのなら、またこのメンバーで集まってさらに良いものを提供できたらいいですね。同時に、こういった活動がさらなる陸上界のステップアップにもつながると信じています。」
江里口「僕たちは現役時代をともに過ごしてきた仲間です。そんな仲間と引退後にこうしてまた違う形で活動できること自体がとても嬉しいことでしたし、2023年に引き続き2度目の機会をいただけて本当に嬉しかったです。講師としては、リレーを中心にいろんなプログラムを必死に考えて、うまくいくか不安なところもあったんですけど、子どもたちの表情を見ているとうまくいったんだろうなと思うのでたくさんの笑顔が見られて良かったです。」
髙橋「楽しい中でも、負けると悔しい気持ちが芽生えると思いますが、その気持ちがとても大事だと思うし、それが強さにも変わる瞬間でもあるので、自分の糧にしてつなげてもらえたら良いですね。そしてまた2025年も、この4人で講師ができたら嬉しいです。個人的には、次回はさらに福島さんの魅力を引き出せたらなと。まだまだ見せていない魅力があることを知っているので、私たちが引き出してサポートできたらと思います。」
2年連続で4人による指導を行い、自信と結束を深めたレジェンド講師たち。セイコーGGP2025での再結集を期待せずにはいられません。1年後には国立で世界陸上東京25が開催されるだけに、陸上への注目と気運の高まる中でのよりパワーアップしたセイコーわくわくスポーツ教室をお楽しみに!

セイコースポーツファンリーダー
たむじょー
帝京大学2年時に箱根駅伝の8区を走ったトップランナー。実業団からの誘いを断り、大学卒業と同時にランニングとコメディをミックスしたチャンネル『たむじょー【Tamujo】』を開設した。ランニング×コメディYouTuberを信条に、走りと笑いの融合を目指している。

セイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)
福島千里
北京・ロンドン・リオデジャネイロと3大会連続で世界の大舞台に出場。女子100m、200mの日本記録保持者。日本選手権の100mで2010年から2016年にかけて7連覇を成し遂げ、2011年の世界陸上では日本女子史上初となる準決勝進出を果たした。引退後は「セイコースマイルアンバサダー(スポーツ担当)」に就任。「セイコーわくわくスポーツ教室」などの活動を通じて次世代育成に貢献している。