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ここ数年で、「ボルダリング」という言葉をよく耳にするようになった人は多いのではないでしょうか。

街にボルダリングができるジムや施設ができたり、本や雑誌、インターネットやテレビでもボルダリングの情報を見かけるようになったりと、ブームは急速に広まっています。今や20〜30代を中心に子どもから年配の方まで幅広い年代の男女が趣味として楽しむ定番のエクササイズ、アクティビティになりつつあります。

そんな人気のボルダリングが、実は「スポーツクライミング」という競技の中の1種目であることをご存知でしょうか?

近年、趣味としてのボルダリングの普及と並行して、スポーツクライミングという競技としてもまた人気を高めています。国際大会への注目度が高まっており、多くの日本人選手が世界トップレベルで活躍しています。“趣味”と“競技”の両面から盛り上がっていることで、「どんなスポーツなんだろう?」「自分にもできるかも」と興味を持つ人が増えてきているのです。

ここでは、そんなスポーツクライミングのことをもっと深く、詳しく知るための情報を紹介します。ボルダリング体験者も、これからやってみたいと思っている人も、競技観戦を楽しみたい人も、まずはここで挙げる基本を押さえておきましょう。きっとボルダリングがより楽しめるようになるはずです。

そもそも、スポーツクライミングって何?

スポーツクライミング 写真

そもそも「クライミング=climbing」とは、英語で「手足を使ってよじ登る」という意味です。

その名の通り、スポーツクライミングの起源は、山中の岩や木をつかみながら巨大な岩壁を登っていく「ロッククライミング=岩登り」にあります。その歴史はとても古く、19世紀頃より登山や冒険において「道なき道」を登り進んでいくための手段となりました。

そこから、岩場を登ること自体を楽しみ、その技術を追求する「フリークライミング」などが派生して生まれ、ヨーロッパ各地で登る速さや高さを競う大会が開かれるなど、競技化の流れにつながったと言われています。

スポーツクライミングは、自然の中でのクライミングに細かいルールを設定し、インドアの人工壁でも行えるようにすることでスポーツ性を強調しています。初めて国際的な規模の正式な大会が行われたのは1989年のワールドカップで、世界選手権が始まったのも1991年。比較的新しいスポーツではありますが、山でのクライミングが盛んだったヨーロッパを中心に瞬く間に広まっていき、人気競技となりました。

スポーツクライミングには3つの種目がある

現在、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が認定する公式大会でのスポーツクライミング競技には、「ボルダリング」「スピード」「リード」という3つの基本種目と、3種目を1人ですべてこなす「複合」があります。同じ「壁を登る」競技でも、3種目それぞれルールも違えば、選手に求められる資質やテクニック、観戦する際の見どころやポイントもさまざまです。そうした多様性も、スポーツクライミングの大きな魅力と言えます。

では、3種目の特徴や違いを詳しく解説します。

◆ ボルダリング

「登った課題(コース)の数を競う種目」です。壁の高さは4〜5メートル。傾斜も、ホールド(突起物)の配置、大きさもさまざまな複数の壁があり、頂上のトップホールドを両手でつかめばゴールとなります。制限時間内に課題をクリア(完登)した数で順位が決まります。面白いのは、選手は登る直前まで課題の内容、つまり「どんな壁を登るのか」が確認できず、他の選手のクライミングも見られないこと。初見の壁を、どんなルートで、どのホールドを使って登るのがベストなのかを考えて判断する能力が求められるので、「体を使ったチェス」と言われることも。

◆ スピード

その名の通り「壁を登る速さを競う種目」です。2人の選手が一対一で戦い、「よーいドン」で高さ15メートルの壁を登ります。より速く頂上のパネルをタッチした選手が勝利で、トーナメント方式で優勝を決めるという単純明快なルールです。トップクラスの選手が15メートルの壁を登るタイムは、なんと男子で5秒台、女子で7秒台。まるで忍者のように、目にも止まらぬ速さでスルスルと壁を上がっていく様子を楽しめます。

◆ リード

最後のリードは「登った高さを競う種目」です。高さ12メートル以上の壁を、6分の制限時間内にどの地点まで登ることができたかで、勝敗が決まります。選手は安全のため、クイックドローという器具にロープを引っ掛けながら登っていき、途中で落ちた場合はそこまでが記録となり、頂上のクックドローにロープを掛けられれば「完登」となります。なお、リードもまたボルダリングと同じく、ホールドの配置は毎回変わり、コースは競技直前にしか見られないので、ルートを検証する「オブザベーション」の時間が重要になります。

さらに詳しいルールなどを知りたい方はこちら

スポーツクライミングの
競技ルール・見どころを知ろう

日本でもスポーツクライミング愛好者が急増中

スポーツクライミング 写真

日本山岳・スポーツクライミング協会によると、日本でのスポーツクライミング愛好者の人口は推定60万人もいるそうです(2019年時点)。クライミング用の5メートル前後の壁があるジムも、全国に500軒程度と過去10年間でおよそ5倍に増えています(2017年時点)。大型商業施設にクライミングを体験できる施設が入っていることもあり、家族で楽しめる環境も各地で整ってきています。

先に挙げた3種目の中で、初心者でも気軽に始めやすく、気持ちよく体と頭を動かせることで人気なのが、ボルダリングです。特別な道具は必要なく、己の身ひとつで壁を登っていくシンプルさ、ゴールに達することで得られる山登りにも似た達成感。こうしたものを気軽に味わえるのが、人気の理由です。

また、ボルダリングは全身運動なので、健康のためのエクササイズとして効果的なのも嬉しい要素。さらには体を動かせるだけでなく、「どういうルートで、どこをつかめばゴールに行けるか」を考える力も身につくため、いわゆる“パズル”や“脳トレ”に似た感覚で楽しめるのも大きな魅力です。

実は日本はスポーツクライミング強豪国!

一般層にボルダリング人気が広がっている一方で、競技としてのスポーツクライミングの立ち位置はどうでしょうか。

伝統的にスポーツクライミングの強豪国とされてきたのは、アルプス山脈に近く、クライミング文化が古くから根付いているフランスやイタリア、ドイツ、オーストリア、スロベニア、スイスといったヨーロッパ諸国。しかし、実は日本もこれらの国々と並んで世界トップレベルの強豪国なのです。

日本にはたくさんの山々があり、欧米の影響を受けた日本人クライマーたちが、昔からクライミングの文化を日本でも伝えてきた歴史があります。その土壌にボルダリング文化の普及が重なり、クライミングジムが増え、練習環境も整ったことで裾野が大きく拡大。その結果、世界の舞台で活躍する日本人選手が次々と登場するようになったと言われています。そうして、日本は世界ランク上位の常連であるクライミング強豪国に成長したのです。

今後もスポーツクライミングの盛り上がりに注目

このように、趣味としてのボルダリングの発展・普及と、競技スポーツとしての強豪国への成長という両輪によって、日本でのスポーツクライミング文化は着実に根付いてきています。

世界各地で行われる国際大会で日本人選手たちが活躍して話題になれば、テレビ中継やオンライン配信などを通じて競技を見られる環境はさらに増えることが予想されます。ボルダリングを楽しめる環境が増えていることと相まって、日本のスポーツクライミング文化はますます好サイクルが期待できそうです。

ぜひ、この機会にスポーツクライミングの魅力に触れてみましょう。

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