SEIKO  HEART BEAT Magazine 感動の「時」を届けるスポーツメディア

文 村上アンリ
写真 近藤 篤
ヘアメイク 中原康博

記録に挑むアスリートたちを、「正確さ」という価値で支え続けるセイコーは、その想いを「Timing」という言葉に込め、応援しています。
陸上の山縣亮太選手、トランポリンの棟朝銀河選手、競泳の坂井聖人選手、そして新たに加わった競泳の佐藤翔馬選手──セイコーがサポートする選手たちの中から今回は男性4選手に、「夢」「課題」「モチベーション」「ご褒美」というキーワードをもとに、今思うことを聞いてみました。
それぞれの回答から見えてくるアスリートとしての信念や強さの秘密を読み解き、2021年への展望を感じてみてください。

陸上 山縣亮太

山縣亮太選手 写真

選手としての夢。

あまり具体的ではないのですが、自分の走りを完成させたい、というのが自分の夢です。
と言いつつも、「走りの完成形」ってないのかな、と同時に思っていたりもするんですけど。
世界の舞台で決勝に出たいとか、メダルを取りたいとか、そういう思いはもちろんありますが、それは、夢、というのとは少し違うのかな。
「走りの完成形」について考えれば考えるほど、その深さっていうのは計り知れないんです。
できるだけそこに近づきたいのですが、究極の「真理」みたいなものはものすごく遠くにある。
だからこそ『夢』と表現した方が正確なんじゃないかと。

山縣亮太選手 写真

夢に向けて、自らに課している課題。

いつも、課題まみれです!(笑)
日々の練習の中でも、宿題は次から次に見つかります。
今気にすべき課題、あるいは今は逆に気にしないほうがいい課題。
タイムが出る、出ない。体が痛い、痛くない。動きがいい、悪い。
よかったらなぜよかったのか、悪かったらなぜ悪かったのか、いつも自分の考えられる範囲で考えるようにしています。
例えば、自分はよく怪我をするのですが、なぜ怪我をしたのか? そういうことも掘り下げていくことが、自分のやっている競技への理解度を深めることになります。それはただ単に怪我を治すだけではなく、記録を縮めていくというところに必ずつながってくる。僕はそう信じているので、手を抜かないように、中途半端にならないようにやっています。

山縣亮太選手 写真

山縣亮太選手着用時計 セイコー プロスペックス SBDC101

自分が苦境に立たされたとき、モチベーションを保つために工夫していること。

この数か月間は感染症対策が優先され、練習すら満足にできないような状況の中、モチベーションの維持にやや苦労した部分はあったかもしれません。
どうやったらモチベーションを下げずにやっていけるか?
実際のところ、こういう状況下で練習はしたくないっていう人もいるんです。試合がなければ練習なんてしたくない、と。
でも、僕の中には、試合はないけど練習はしたい、と思っている自分がいることにふと気づいたんです。練習をするということがちゃんと自分の生活の中に取り込まれているんだな、と。

夢を達成したときに自分へ与えたいご褒美。

グランドセイコーでも1本買いましょうかね(笑)
でもこれは冗談ではなくて、本物の時計を買うときって、そういうときなのかな、とか思ったりするんですけど。
自分へのご褒美……、普段は何も考えてないですね。
日々の練習の中で課題がうまく解決したとき、そういうときって、何か自分にご褒美を与えようとか、ちょっと休もうとか、そういう風にはなりませんね。いい流れが切れる、みたいな感じがするので。むしろ、もっと頑張ろう、そっちの方に意識が向かいますね。

トランポリン 棟朝銀河

棟朝銀河選手 写真

選手としての夢。

思い付いたことから言っていいですか?
まずはちゃんと演技をしたいというのが一番の夢。
そして、記憶に残る選手になりたい、というのもあります。
トランポリンって、自分の思った演技が100パーセント出せるってほぼないんです。どこかの場面で、あれはこうできたんじゃないか、というのが絶対にあるんです。
そこまで完璧な演技でないにしても、自分のやりたい構成を、自分の思った完成度で、納得できる点数の演技にしたいです。

棟朝銀河選手 写真

夢に向けて、自らに課している課題。

自分のやりたい練習がしっかりできている状況だったら、多分、もっと追い込んでいこうとしています、とか答えられると思うのですが。
今の自分の最大のミッションは、怪我だらけの肉体の状態を何とか普通の状態に戻す、ってところなんです。
最近、練習で「ちょっとうまくできたな」とか、「きょうは練習ちゃんとできたな」っていうのが、あるとするじゃないですか。その「今できたな」っていうのが一昔前の自分にとっては、最低ラインなんですよね。
なのに、ちゃんとできた、って納得しちゃってる自分がいるのが、一番まずいなと思ってます。

棟朝銀河選手 写真

棟朝銀河選手着用時計 セイコー プロスペックス SBDC101

自分が苦境に立たされたとき、モチベーションを保つために工夫していること。

なんで競技を続けられているか、っていうところで話をすると、一番の理由は、自分をまだ信じていること、だと思います。
実際に、これだけ肉体的に苦しい状況でも、大会だけは何とかできているし、それなりに全日本のトップのほうに入ることができている。
じゃあ、その自分がもっと練習できてたら、絶対にもっといけるはずだという感覚が、自分の中であるんです。
可能性が自分の中で感じられる。じゃあ、その可能性があるんだったら頑張ってもいいんじゃないかな、っていう段階なんですよね。
あるいは、そう思い込んでるだけなのかもしれませんが、その「思い込んでる」っていう部分が工夫の一つに当てはまるのかもしれないです。

夢を達成したときに自分へ与えたいご褒美。

自分の目指している演技が完璧にできたらそれがご褒美じゃないですか。
例えばですけど、会社の中でチームリーダーとして、ちょっとやりたくないプロジェクトに参加させられて、でも何とか頑張って形にしました。そんなことだったら、成功してボーナスも入ったし、何か自分にご褒美でも買おうかな、みたいなことはあるんですけどね。
でもトランポリンは僕の好きなこと。その好きなことをやって、自分の理想が達成されるなら、その時点で、自分にとっては最高のご褒美だと思います。
なんだかずいぶん大人びた回答になっちゃうんですが(笑)。

競泳 坂井聖人

坂井聖人選手 写真

選手としての夢。

僕は高校生になるまで、消防士になりたいと思っていたんです。テレビで消防士さんが働いてるのを見て、かっこいいな、と。
今の夢、それはもうズバリ、金メダルですよね。
水泳をやり始めてしばらくは、世界の舞台に参加できればいいなあ、って思うくらいで、金メダルなんて全く想像だにしなかったですけど、大学生1年生のころからですかね、自分に少しずつ力がついてきて、その夢を見始めたのは。

坂井聖人選手 写真

夢に向けて、自らに課している課題。

一番はもちろん練習です。今は肩の怪我とか、不安な部分を取り除く必要があるんで、まずは自信を持ってトレーニングに向き合うこと。
自分で言うのもなんですけど、僕は基本的にストイックだし、最大限まで自分を追い込んでるとは思います。
あとは、もっと周りを冷静に見るとか、ちょっと余裕を持って行動するとか、競技以外の場面でも意識していけば、結果はおのずとついてくるかなと思います。

坂井聖人選手 写真

坂井聖人選手着用時計 セイコー プロスペックス SBDC101

自分が苦境に立たされたとき、モチベーションを保つために工夫していること。

夜、疲れて帰ってきたとき、アロマをたいたり、自分の好きなK-POPアイドルのYouTubeを見たり、そういうことでリラックスしています。ささいなことですけど、そういう工夫をしながらしんどい場面は乗り越えていますね。
考え込み過ぎると、次の日まで引っ張っちゃう事もあるので、一回忘れてしまうことはとても必要ですね。
ストレスがたまっていくと、目に見えない疲労がどんどんたまってきて、パフォーマンスが崩れていくんです。
今回の練習ができない状況でも、モチベーションは基本的には保っていましたよ。来年本番はあるんだと信じ、家でトレーニングをしていましたし、休むときは本当に休みました。

夢を達成したときに自分へ与えたいご褒美。

ご褒美ですよね。何か好きなものを一つ買うとか? 服、大好きなんで、服、買ったりしたいです。
あと、時計も買います。セイコーの一番良さそうなやつ。いや、それは高すぎて買えないから(笑)、自分に似合う時計を。
自分が欲しい服をネットで買うと、そのあとにちょっとだけビビったりするんですけど、まあでも、別にご褒美とか要らないんですよね、正直言うと。
何が欲しいとか何を求めるとかもなくて、ただ、自分の夢を持って頑張っている、夢を追って生きていること自体が気持ちいいので。
逆にもし夢がないと、今、僕は一体どうやって生活していいかすら分からないですから(笑)。

競泳 佐藤翔馬

佐藤翔馬選手 写真

選手としての夢。

憧れの人だった北島康介さんに並ぶような活躍をして、未来の水泳界を牽引していくお手伝いをするのが夢です。
今のところ、世界の舞台で100m200mの2冠達成は厳しいかなぁと思っているので、200mで連覇出来るように頑張ります。
勿論、康介さんのように2種目2連覇出来れば断然いいんですけど、僕はまだ100mの記録は1分を切れていませんし、ここから4秒上げなければ56秒台の選手には追い付けないので…得意な200mに更に磨きをかけて世界の舞台での3連覇を目指したいと思います。

佐藤翔馬選手 写真

夢に向けて、自らに課している課題。

何本も泳いでいてきつくなった時にもう1本でも多くというか、しんどい時にこそ自分の泳ぎを保つ事を意識しています。
あとは、プールを離れたところでも誰にでも好かれる選手になりたいなと。それこそ康介さんみたいに。
サインとか写真を一緒にとか求められた時は、時間がある限り応じるようにしています。
小さな頃、康介さんに初めてサインしてもらった時は嬉しくて嬉しくて! かなりのパワーになったので、今度は誰かにパワーをあげられる側になったらいいなと思います。
掃除や家の手伝いは時間があっても面倒くさがる事も多いんですけどね(笑)。
その時頂いた康介さんのサインは今でも部屋に飾ってあります。

佐藤翔馬選手 写真

佐藤翔馬選手着用時計 セイコー プロスペックス SBDC083

自分が苦境に立たされたとき、モチベーションを保つために工夫していること。

モチベーションを保つため? うーん、正直、苦境と言われても、去年からずっとタイムも上がり続けてますし、あまりそういうのは感じないです。今年はコロナであまり泳げない時期もあって、一回泳ぎが崩れてしまったってことはありましたけど。
モチベーションは世界の舞台について思いを馳せれば大丈夫ですよ。どんなことがあっても、僕は自分の夢に向かってまた一から努力しようって思えるタイプなので。

ただやっぱり、そんな僕でも長く泳いでいないと不安にはなっちゃいます。試合で感覚を確かめるようなタイプなので、試合が全くないと、今自分はどれくらいなのかなっていうのも分からないですから。これからまたレースは始まりますから、そこでしっかりといいタイムを出せるように頑張りたいです。練習が思うように出来ない時でも、その1回1回に集中することがレースに繋がるんだと自分を奮い立たせてすべてを懸けていきたいですね。

夢を達成したときに自分へ与えたいご褒美。

ご褒美! なんですかね? 何でもいいですけど。
今、旅行に行きたいんですよね。水泳で結構、遠征とかはしたりするんですけど、練習が多くてあまり観光はできないから。
思い浮かぶのはやっぱりハワイかな。ハワイに行って思いっきり観光して、サーフィンなんかやってみたい、かな(笑)。


4者4様、個性豊かなセイコーアスリートたち。
放たれる言葉からは、どんな状況下でも前を向き、世界の舞台に向けて歩みを止めない、強い信念を感じます。
来年の活躍が楽しみですね。

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