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陸上競技の世界記録&日本記録ってどれだけすごい?東京の名所&名物にたとえてみた 陸上競技の世界記録&日本記録ってどれだけすごい?東京の名所&名物にたとえてみた

陸上競技の世界記録&日本記録ってどれだけすごい?東京の名所&名物にたとえてみた

文 茂野聡士

走る、跳ぶ、投げる――心・技・体を鍛え抜いたアスリートが熱く躍動する舞台が、いよいよ間近に迫っています。「東京2025世界陸上」が国立競技場にて9月13日から21日にかけて開催されます。1991年以来となる東京開催の同大会では、これまで世界中が驚愕する“数字”が刻まれてきました。コンマ1秒、1cmでも自らのベストを伸ばそうと全力を尽くしてきた選手が叩き出した大記録に、感動を覚えた人々は多いでしょう。

さて、そんな数々の世界記録、日本記録ですが、スーパーアスリートではない自分たちでも「えっ、この記録って超人的すぎない?」と実感しやすいような比較ができないか――。ということで、開催地・東京にちなんだ電車や有名スポットなどの距離、高~い建物などと比較しながら、各記録のすごさを実感してみましょう。

男子100mの日本記録で渋谷スクランブル交差点を渡ると…

渋谷スクランブル交差点 画像

まずは「走る」。人類最速を決める戦いといえば、短距離走の花形種目・100m走です。世界陸上で生まれたワールドレコードは数多いですが、男子100m走はその代表格と言えます。

今も燦然と輝く世界記録は、2009年大会で樹立された「9秒58」。平均時速に換算すると、なんと約37km/hにもなります。

このスピード、東京の街に置き換えてみるとどうでしょう?

世界陸上の会場である国立競技場をぐるりと囲む山手線内回りは、1周34.5km。もし世界記録ペースのまま走り続けたとしたら、約56分で1周走破する計算になります。実際の山手線内回りの電車は、停車時間を含めて1周約60分かかるため、世界記録で走り続ければ人間が電車より速いという驚きの結果に!なお、女子の世界記録は10秒49。平均時速に換算すると34.3km/hで、こちらはほぼ山手線と同じペースになります。

日本記録は山縣亮太選手が2021年にマークした「9秒95」ですが、日本陸連科学委員会の分析によると、この時に山縣選手が叩き出した最高速度は「秒速11.62m」でした。

ここで、東京の名所と比べてみましょう。

渋谷スクランブル交差点の最も長い横断歩道は、約36m。もし誰もいない状態で、山縣選手の最高速度で走ったとしたら――わずか約3.1秒で駆け抜けてしまうのです。速い!

少し距離を伸ばしてみましょう。

学校の運動会や体育祭で走った(そして息がヒーヒーになった)思い出がある距離といえば、1500m走です。この種目の世界記録は男子が3分26秒00、女子は3分48秒68。なお女子の日本記録は今回の世界陸上に出場する田中希実選手がマークした3分59秒19です。

1500mという距離は、国立競技場から直線距離で測ると、だいたい明治神宮付近になります。世界記録にせよ日本記録にせよ、あれだけの距離を4分足らずで走り切ってしまう……なんてあっという間なのでしょう。

4人で力を合わせてバトンをつなぐリレーだと、さらにスピードは増します。4×100mリレーの男子世界記録は、2012年に樹立された「36秒84」。100mを平均9.21秒で走っているペースです。1000m=1kmなら92.1秒、10km=921秒、100km=9210秒……と距離を伸ばしていって、国立競技場から約500kmの位置にある新大阪駅までなら、4万6050秒となります。これを時間に換算すると「約12時間47分」。もちろん、標高差や交通事情は無視しての話ですが、――5000人の超速スプリンターがダッシュし続ければ、半日強でバトンが東京から大阪まで繋がる計算になります。

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棒高跳びの男子世界記録なら雷門の大提灯を越えていく

雷門の大提灯 画像

続いては「跳ぶ」です。走り幅跳び、走り高跳び、三段跳び、棒高跳びの4種目がありますが……各競技の世界記録は以下のようになっています。

種目 男子 女子
走り幅跳び 8m95cm 7m52cm
走り高跳び 2m45cm 2m10cm
棒高跳び 6m28cm 5m6cm
三段跳び 18.29m 15.74m

映像で見るだけでも、ものすごく高く、長く跳んでいることが分かりますが――東京名物で飛び越えられそうなものを考えてみましょう。

まずは浅草でどっしりと構える雷門の大提灯。大提灯の高さは約3.9mで、地上から2m強のところに吊るされています。つまり棒高跳びの男子世界記録なら、雷門の漢字が描かれた大提灯を飛び越えるくらいのビッグジャンプなのです。

想像力をより一層飛躍してみましょう。棒高跳びの世界記録を連続して跳び続けたとして、雷門の近所にある東京スカイツリーの頂上には何回で到達するのでしょうか。東京スカイツリーの高さは634mなので、男子の世界記録でピョンピョンと跳び続けると101回で到達できる計算になります。

続いては走り幅跳び。男子の世界記録は1991年夏、旧国立競技場で開催された世界陸上で生まれたわけですが――9m近く先へと跳んでいきました。日本の国技である相撲の土俵は正方形に作られていますが、一辺は6.7m。もし両国国技館の東方から踏み切ったとすると、余裕で土俵を飛び越えて西方の「砂かぶり席」に届くくらいなのです。すごい。

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日本橋2つ分の距離も届く男子やり投げの世界記録

日本橋 画像

「投げる」も見ていきましょう。

日本人選手が初の世界の頂点に立つなど、注目が集まるのが「やり投げ」です。男女の世界記録と日本記録は以下のようになっています。

男子 女子
世界記録 98m48 72m28
日本記録 87m60 67m38

どれもあまりに飛びすぎていて、なかなか実感が湧きません。そこで、江戸時代から人々が集まる中心地だった日本橋を例に出してみましょう。日本橋の長さは約49m。つまり、どの記録でも橋の向こう岸に余裕で届いてしまいます。さらに男子の世界記録なら、もし日本橋が2つ架かっていても届いてしまうレーザービームぶりなのだから恐れ入ります。

日常で見たり利用しているものと比べてみると、いかに陸上の世界記録や日本記録が素晴らしいものかが実感できます。そんな大記録の樹立に期待が集まる「東京2025世界陸上」を、セイコーはオフィシャルタイマーとして支援しています。コンマ1秒を精密に刻むことで、スーパーアスリートが生み出すドラマを、より鮮明に映し出す――その瞬間を、ぜひ目に焼き付けてください。

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