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【佐々木クリスさん監修】バスケットボール:奇跡の逆転劇!ブザービーターとは 【佐々木クリスさん監修】バスケットボール:奇跡の逆転劇!ブザービーターとは

【佐々木クリスさん監修】バスケットボール:奇跡の逆転劇!ブザービーターとは

文 田中凌平

瞬く間に攻守が切り替わるハイテンポな展開から、一瞬も目が離せないスリリングさが魅力のバスケットボール。見る者を興奮させるスピード感に加え、走る・跳ぶ・投げるなど身体能力を活かしたダイナミックな動きで、高さ305cmのリングに得点を決める迫力満点の競技です。

世界中のファンを熱狂させ、競技人口もサッカーと並ぶバスケットボール。その魅力が凝縮されたプレーの1つが、時に最後の一瞬で試合を決定づける「ブザービーター」と言えます。本記事では、ブザービーターの由来や魅力に迫りつつ、ゴールとして認められる条件についても紹介します。

ブザーが鳴り終わるまで諦めない!ブザービーターの由来・魅力とは

ブザービーターとは、各クォーターまたは延長終了のブザーが鳴る直前に放たれ、ブザーが鳴った後にリングを通過するシュートのことです。特に鮮烈に記憶に残るのは、激しい攻防が繰り広げられ、接戦で迎えた最終・第4クォーター──。試合終了のブザーが鳴る直前に放たれたシュートによって大逆転勝利をもたらすブザービーターは、バスケットボールの醍醐味と言えるでしょう。

バスケットボールのコートは、縦28m、横15m。難易度は高いものの、自陣深くからの超ロングシュートも狙えます。また、サッカーのようにプレーが止まった時間を考慮した「アディショナルタイム」のような概念はなく、ゲームクロックが0秒00になった瞬間にそのクォーターが終了します。

選手がそのままプレーを諦めることは少なく、最後の最後まで得点を狙い、ブザーが鳴る直前にシュートを放つ光景がよく見られるのもそのためです。この「最後まで諦めない姿勢」こそが、劇的なブザービーターを生み出す大きな要因となっています。

中にはブザービーターに「最後の最後に決まる超ロングシュート」といったイメージを持つ方がいるかもしれません。しかし、条件を満たしていればダンクシュートもブザービーターに該当するため、そのようなプレーは「ブザービーターダンク」と表現されます。

また、バスケットボールには、オフェンス側が24秒以内にシュートを放ち、ボールがリングに触れなければならない「24秒ルール」があります。試合時間をカウントするゲームクロックとは別に、24秒を計るショットクロックが存在し、この24秒計が鳴る直前に放たれたシュートが決まった際も、広義ではブザービーターの一種と言えるでしょう。実際、英語ではこのようなプレーを「a shot beating the 24-second shot clock」と表現することもあります。

残り時間 0 秒 2 以下だとブザービーターのシュートは認められない?

バスケットボール

各クォーターの最後に放たれるブザービーターですが、実は残り時間が0秒2以下でのキャッチ&シュートがリングを通過してもゴールとして認められません。公益財団法人日本バスケットボール協会(JBA)が作成した『2024 バスケットボール競技規則』の「第16条2-5」によると、以下のように定められています。

スローインあるいは最後のフリースローの後のリバウンドのときに、ボールをつかんでショットをするためには、最低でもゲームクロックあるいはショットクロックが0.3秒以上を表示していなければならない。0.2秒あるいは0.1秒しか表示されていない場合、ショットを成功させるためには、ボールをタップするか直接ダンクして入れるしかなく、その場合でも0.0秒が表示されたときにプレーヤーの片手または両手はボールに触れていてはならない。

【補足】ここで示される0.2秒以下での「タップ」とは一瞬であってもボールを掴むことなくボールを弾く(チップ)のことをいう。0.2秒以下で一瞬でもボールを掴んだ場合、そのショットは認められない。

引用:(公財)日本バスケットボール協会『2024 バスケットボール競技規則』第16条2-5

上記の規則から、残り時間が0秒2または0秒1の際、ボールをつかんでシュートを放って決まったとしても、残念ながらゴールとして認められません。ただし、その短い時間でできるプレーとしては、スローインやフリースローのリバウンドなど、かなり限定的なシチュエーションになります。ブザービーターが決まるのは、残り10秒でドリブルしながら攻め込んでいたり、残り5秒からパスを2つつないでシュートに持ち込んだり、起死回生のロングシュートを狙ったりするシーンが大半です。

仮に試合終了間際、残り4秒でショットが放たれたものの、リングに弾かれ、もはや絶体絶命と思われる場面でも、味方が空中に跳び上がりタップまたはダンクで再度ブザービーターによる大逆転を狙うことができます。残り0秒2のせめぎ合い――これには一瞬たりとも気持ちを緩めずにゴールを追い求める精神力と集中力が欠かせません。こうした最後まで諦めずにプレーし続けるその姿勢こそが、バスケットボールが多くの方を魅了する理由の1つなのでしょう。

佐々木クリスさん 写真

元バスケットボール選手・解説者
佐々木クリス
(ささき・くりす)

ニューヨーク出身の元バスケットボール選手。14歳の時にNBAに魅了され、野球部からバスケットボール部に転向。その後、青山学院大学で大学日本一を経験し、bjリーグでプロ選手として活躍した。2013年からはNBAアナリストとして中継解説のキャリアをスタート。さらに2017年に国内Bリーグの公認アナリストに就任した。Bリーグ及びNBAの中継解説や番組出演、イベント司会など国内外のバスケットボールの普及に努めている。

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