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ハードリングとスピードの融合!110mハードル・100mハードルの基本ルールやコツを解説 ハードリングとスピードの融合!110mハードル・100mハードルの基本ルールやコツを解説

ハードリングとスピードの融合!110mハードル・100mハードルの基本ルールやコツを解説

世界各国のトップアスリートが集い、2年に一度開催される「世界陸上競技選手権大会(世界陸上)」。選手が己の限界に挑み続けるこの大会では、さまざまなストーリーや感動が生まれます。計49種目の陸上競技の中でも、スピードと跳躍技術を組み合わせたダイナミックなレースが繰り広げられるのが「男子110mハードル」「女子100mハードル」の2種目です。

ハードル走は、走りに加えて「跳ぶ」動作を組み合わせてレースを行います。110mハードル・100mハードルでは、加速したスピードを維持しつつ、いかに効率よくハードリングを行うかが競技の鍵を握ります。本記事では、110mハードル・100mハードルに注目し、基本知識やルール、ハードリングのコツ、ハードルにまつわるトリビアを紹介します。ハードル走の歴史や男女でなぜ距離が違うのかについて知っておくと、より観戦を楽しめるでしょう。

観戦前に押さえておきたい110mハードル・100mハードルの基礎知識

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110mハードル・100mハードルの種目としての基本

ハードル走は、10台のハードルを越えながらゴールまでのタイムを競うトラック種目です。レースは直線レーンで行われ、ハードルを設置する位置にはトラック上に青、黄緑、黄の3色で、5cmのマークがペイントされています。試合進行は予選と決勝を行い順位を決定するのが一般的です。

110mハードル・100mハードルのルール

110mハードル・100mハードルのルール 画像

110mハードルと100mハードルでは、トラックの距離やハードルの高さ・間隔が異なります。
男子のレースは110mで、ハードルの高さが106.7cm、間隔が9.14mに設定されています。
女子のレースは100mで、ハードルの高さが83.8cm、間隔が8.5mです。

レース中、ハードルは故意に倒さなければ失格にはなりません。しかし、手でハードルを触ったり、跳び越えなかったり、ほかのレーンのハードルを跳んだりすると失格となります。ハードリング時に脚がハードル幅からはみ出ても問題はありませんが、その際に脚がバーの高さより低い位置を通ると失格と判定されます。

ハードリングのコツ

ハードリングのコツ 画像

ハードル走においては、加速しながらハードルを越える「ハードリング」技術が重要です。スピードを保ちながら、「踏み切り」「クリアランス」「着地」の3ステップでハードリングを行い、スプリント時の姿勢にできるだけ近い形でハードルを越えるようにします。またハードルめがけて先に伸ばす脚を「リード脚」、後から抜く脚を「抜き脚」と言います。ハードリングを知る上では、リード脚と抜き足という言葉がよく出てくるので、最初に覚えておきましょう。

<踏み切り>
ハードルを越える前の踏み切りでは、普通のスプリント時よりも大きな力を地面に加える必要があり、地面と足の接地時間も長くなります。踏み切りで減速を抑えるためには、膝を曲げずに踏み切るのがコツです。このとき、高さのある跳躍ではなく、前方に体を移動するように踏み切るのがポイントになります。

<クリアランス>
クリアランスは、ハードルを越える動作を指します。リード脚でハードルを越えた後、大腿部を地面とほぼ水平に保ちながら抜き脚を前へ引き出します。このとき、リード脚と逆側の腕を前方へ伸ばして、空中でのバランスを保つのがポイントです。抜き脚を引きつける際は、膝を広げないようにすると、きれいなフォームでクリアランスができるでしょう。

<着地>
着地では、腰の位置を落とさずにリード脚は膝を伸ばし、前足部で着地することが重要です。抜き脚を素早く前方に引きつけることで、次のランニングの姿勢に移行できます。

これらの一連の動作をスムーズに行って短距離走の走りに近づけることが、110mハードル・100mハードルの好記録につながります。

110mハードル・100mハードルでセイコーが実践する計測方法

世界陸上のオフィシャルタイマーを務めるセイコーは、計49種目の計時計測を行い競技運営を支援しています。110mハードル・100mハードルにおいては「フォトフィニッシュシステム」を活用し、アスリートがすべての力を注ぐフィニッシュの瞬間を捉えています。

フォトフィニッシュシステム

フォトフィニッシュシステム 画像

photo by AFLO SPORT

フォトフィニッシュシステムは、1,000分の1秒までわかる連続撮影を行い、フィニッシュの瞬間を正確に判定する機器です。正確なタイム計測のため、フォトフィニッシュカメラが3台設置されます。選手がフィニッシュラインに近づくとカメラが作動し、フィニッシュライン上の極細の写真を撮影。これらの写真をつなぎ合わせた画像をもとに、選手のトルソー(胴体)がラインを越えたタイミングを捉え、その瞬間に着順とタイムを確定させています。

スターティングブロック

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写真 落合直哉

110mハードル・100mハードルなどの短距離種目では、圧力センサーが内蔵されたスターティングブロックを使用して、公平なレース運営を行っています。スタート号砲が鳴ったあとすぐにリアクションタイムが計測され、スタート号砲からスタート動作を起こすまでの時間が0.1秒より速い選手がいた場合、自動的にリコール音が鳴ります。また、どの選手にも公平にスタート音が聞こえるようにスピーカーが内蔵されています。

110mハードル・100mハードルの歴史にまつわるトリビア

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110mハードル走は、1864年にイギリスのオックスフォード大学で実施された「120ヤードハードル走」が始まりと言われています。当時のハードル走では、木材を柵のように組み合わせ、それを芝生のフィールドに直接埋め込んで競技が行われていました。この木製ハードルは非常に頑丈で、跳び越えるには走高跳のように大きく膝を曲げるなど、現在とは異なるハードリングが用いられていました。また、1台ごとに両足でほぼ同時に着地し、ハードル間は5歩で走るのが一般的でした。

120ヤードハードル走のルールでは、ハードルの高さは3フィート6インチ(約106.7cm)、間隔は10ヤード(約9.14m)と、現代の110mハードル走とほぼ同じです。このため、現在の110mハードル走の距離やハードルの高さ、間隔が中途半端な数値になっているのはヤード法の名残りです。

一方、女子のハードル走は1932年の国際大会で初めて採用されました。当時は高さ76.2cmのハードルを8台跳ぶ「80mハードル走」が主流でしたが、女子選手の体格と競技力の向上に伴い、1969年に「100mハードル走」が公式種目となりました。

セイコーは世界陸上のオフィシャルタイマーを務めています

選手のパフォーマンスを正確な計時計測で支えるセイコーは、世界陸上のオフィシャルタイマーです。1987年の第2回ローマ大会以来、すべての世界陸上においてオフィシャルタイマーを務めています。東京2025世界陸上でも、正確な計時計測により、大会の盛り上がりを裏方として支えます。

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