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C-NAPS編集部
写真 フォート・キシモト

陸上競技は、「走る、跳ぶ、投げる」といった人間の動きに関するさまざまな能力値を争う種目が存在します。アスリートたちは、「もっと速く」「もっと高く」「もっと遠く」を目指し、自己ベスト更新のために日々の研鑽を積んでいます。それぞれの種目ごとにいろんなアスリートが存在し、それぞれが記録に対するドラマを持っている点が陸上競技の醍醐味だと言えるでしょう。

そんな奥深い陸上競技において、最近特に話題になっているのが「3000m障害」です。障害と名がつくだけに、ハードルを越えたり、水濠(すいごう)を跳び越えたりするなどいくつもの障害物をクリアしつつゴールを目指します。初めて観戦する方でもきっと興味を持つであろう3000m障害の魅力に迫ります。

3000m障害とは?ルーツを知ると面白い種目の成り立ち

3000m障害の英語表記「3000mSC」が表示されたタイマー

3000m障害の英語表記は「3000mSC」となる。SCの由来はヨーロッパの歴史に関連する

photo by AFLO SPORT

3000m障害という種目の世間一般の認知度はそこまで高くはありませんが、陸上競技の国際大会で実施されている計49種目(2022年現在)の中でも過酷でエキサイティングなレースとして有名です。

3000m障害では1周400mのトラックを7周はフルで駆け抜けることになります。5000mや10000mなどのシンプルな中距離走と異なるのは、その3000mの道程の中で障害物があることです。

1周400mの中にハードルのような4つの障害と1台の水濠(すいごう)が設置されています。障害物であるハードルのような障害を28回、水濠を7回と計35回も跳び越えつつ、中距離走に近いスピードでトラックを駆け抜ける必要があります。他のランナーを意識しつつ、持久力だけではなく、障害への適応力が求められるなど総合的な能力が必要とされる種目だと言えるでしょう。

ちなみに3000m障害は、英語での表記は「3000mSC」になります。SCとは「Steeple Chase」の略称です。Steepleとは教会などの建物の尖塔(上部構造)であり、Chaseは獲物などを追うことを意味します。中世から近代にかけてのヨーロッパでは、遠くに見える教会の尖塔をめがけ、馬に乗ってさまざまな障害物を越えてレースをしていた歴史があります。その慣習が起源となった種目が、3000m障害というわけです。

注目は巨大な水溜まり「水濠」と倒れない「巨大ハードル」

水濠(巨大な水たまり)にダイブする選手

3000m障害の象徴とも言えるのがこの「水濠」。計49種目ある陸上競技の中でも水溜まりにダイブする種目は他にはない

3000m障害を初めて知った方が、その内容にもっとも驚くのが「水濠」ではないでしょうか。選手たちが走りながら水濠という名の水溜まりを跳び越えていく姿は、まさに障害物競争と言える情景です。初めて3000m障害を観戦する際は、選手たちがいかに水濠を攻略するかに注目すると良いでしょう。

水濠は一番深いところで0.7mあり、水濠の長さは3.66mあります。そのため、水濠の前での走る位置取りによっては、上手く跳び越えられないケースもあるでしょう。水濠の深い部分に着地して足がびしょびしょになってしまうのはもちろんのこと、運が悪ければ水に足を取られて転倒する事態にも発展しかねません。水濠は見た目のインパクトだけでなく、3000m障害のレース展開の中でも順位変動が起こりやすいポイントだと言えます。

水濠ではアクシデントが付き物なだけに、上手に水濠を跳び越える選手に注目してみると面白いでしょう。水濠までのポジション取り、着地の際の姿勢、その後の加速度合いなど、水濠を起点に観戦するだけでもいろいろと興味深いシーンがたくさんあるはずです。

足を引っかけても倒れない障害

一般的なハードル種目と異なる点は、足を引っかけても倒れない障害であること。常に転倒やケガのリスクがつきまとう

水濠と同様に選手たちの行く手を阻むのが、巨大なハードルのような障害です。トラックの中に4つ設置されています。障害は平均台を横にしたような形状で、男子では91.4cm、女子は76.2cmの高さがあります。これは400mハードルの障害の高さと同じであり、男子110mハードル(障害の高さは106.7cm)、女子100mハードル(障害の高さは83.8cm)よりも低い設定になっています。

ハードル走のタイプと大きく異なるのは、障害が重く倒れない仕組みになっていることです。そのため、跳び越えずに進んだら激突しますし、ひっかかることでより転倒のリスクが高くなります。一方でハードル走の場合は、ハードルの上に乗ることはできませんが、3000m障害の障害物は幅が12.7cmもあるので乗ることも可能です。また、手をかけて越えられるので、他の選手との位置取りを確かめながら、激突を避けて上手く越えられるかが焦点となります。

特に体力が消耗してくるレース終盤では、障害を跳び越えるだけでも相当な負担が選手にはかかります。それだけに、持久力に加えて、多くの障害をタイミング良く越えていくリズム感も非常に重要になってくるでしょう。

最注目は日本記録保持者の三浦龍司選手

三浦龍司選手

8分9秒92の日本記録を保持する三浦龍司選手は、3000m障害のホープと呼べる逸材だ

写真 フォート・キシモト

3000m障害においては、日本人スター選手の台頭がありました。国内レースはもちろんのこと、国際舞台でもすでに結果を残している順天堂大学の三浦龍司選手です。

三浦選手は、学生ながら3000m障害で8分9秒92の日本記録を保持しています。2021年に東京で開催された世界の大舞台では、当時はまだ10代だったにもかかわらず、堂々たる走りを披露。世界のトップアスリートと対等にわたり合い、同種目の日本人としては実に49年ぶりとなる決勝進出を成し遂げただけでなく、7位に入り、日本人初の入賞を果たしました。

3000m障害のホープである三浦選手には、自身の日本記録の更新、世界記録への挑戦、そして、国際舞台での表彰台などを期待せずにはいられません。今後、10年近くにわたって日本の3000m障害を引っ張っていく存在になることが期待されているので、ぜひ注目してみてください。

国際大会では3000m障害をぜひ観戦しよう!

正確な計時・計測ができるセイコーのタイマー

セイコーは、過酷でエキサイティングなレース・3000m障害を正確な計時・計測で支えます

photo by AFLO SPORT

3000m障害のことを知っていた方も、まったく知らなかった方も、「ぜひ見てみたい!」と興味を持っていただけたのではないでしょうか。3000m障害は、特に障害物が立ちはだかることで転倒などのアクシデントが付き物の競技です。たくさんの障害が待ち受けているのは、まさに人生の縮図。数々の困難や障害を跳ね除け、跳び越えていく3000m障害の選手たちをぜひ応援しましょう。

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