SEIKO  HEART BEAT Magazine スポーツを通して人生の時を豊かに

日本でも注目を集めているスケートボード。2021年に開催された世界的な大会では、難易度の高いトリック(技)を華麗に決める日本選手たちの勇姿に、誰もが興奮したことだろう。そこで今回は、改めてスケートボードの種類や競技ルール、見どころについておさらいしてみよう。

スケートボードの競技やルール

1940年代頃のアメリカで生まれたスケートボードは、新しいカルチャーに敏感な若者の間で火がつき、ファッションや音楽と結びついてそのポジションを絶大なものにした。気軽に始められることから競技としてだけではなく、ライフスタイルのなかにも取り入れられ、親しまれているのだ。なかでも、スケートボードに合わせたラフでカジュアルなファッションは、世界中で人気がある。

競技の観点から見ると「パーク」と「ストリート」の2種類に分けられ、繰り出したトリックの難易度やスピードなどを評価する。世界中で大会が行われており、選手たちは日夜、切磋琢磨しながら技術を高め、競い合っているのだ。それぞれの競技について、紹介していこう。

スケートボード 写真

大きく宙に飛び出して技(トリック)を繰り出す「エア・トリック」はスケートボードの醍醐味だ

パーク

地面を大きくくり抜いたような凹凸した坂や曲面などで構成されたコースで行われる。スピードをつけて坂を滑り上がり、まるで空に飛び立つような高さと浮遊感のある「エア・トリック」がメインとなる。滑りながら、デッキ(スケートボードの板部分)を手でつかんだり、空中で選手が回転したりと、その回転方向・位置によって技の難易度が異なる。

「パーク」は制限時間45秒の「ラン」を3本行い、その中で最も高い点数が採用され、順位が決まる。ただし、競技中一度でも転倒してボードから落ちてしまうとそこで終わりとなる(※)。スピードが重視される競技ではあるが、滑りながら繰り出すトリックの難易度やクオリティ・オリジナリティに加え表現力も採点の対象とされる。
※大会によってルール規定が異なる場合あり

パーク 写真

ストリート

その名の通り、階段や手すり、スロープ(坂)など、「ストリート」=「街」の風景を再現したコースで行われる競技。手すりなどにデッキを直接当てながら滑る「スライド」や、デッキと車輪をつなぐ金属部分のトラックを当てながら滑る「グラインド」がストリートのトリックではよく使われる。繊細なテクニックと、大胆なチャレンジが要求される競技だ。

「ストリート」は制限時間45秒の間で自由に滑る「RUN方式」2本と、難易度の高いトリックに挑戦する「BEST TRICK方式」5本を行い、得点上位4本の点数を合計して順位をつける。「RUN方式」では、コースを自由に滑り、そこで技や滑りの美しさを表現する。「BEST TRICK方式」では、コース内にある障害物をひとつ選びそれを使って技を繰り出していく。

ストリート 写真

スケートボードの見どころとは?

「パーク」と「ストリート」、同じスケートボードの競技でも、それぞれの見どころは異なる。ここでは観戦のポイントについて簡単に解説する。

ダイナミックなジャンプが魅力の「パーク」

トリックの美しさや難易度、滑りのスタイル、コースをどのように使って技を決めるかなど、多彩なスケーティングが審査基準となり、これをすべて45秒間で表現するのがパークだ。

なかでも特に注目したいのが、空中で技を繰り出す豪快な「エア・トリック」である。
アール(湾曲)がついた曲線的な形状を滑り上がり大きく宙に飛び出すが、そのジャンプの高さや滞空時間、技の美しさや着地の完璧さが重要となる。

「エア・トリック」の種類は数千あると言われており、デッキのどの部分を掴んでいくか、デッキや自分自身を回転させるか、またその回転方向や位置などの組み合わせにより決まる。
特に大技と言われている「バックサイド540(ファイブフォーティー)」は後ろ向きに1回転半回る非常に難易度の高い技で、世界でも成功させる選手は少ないが、技が決まった瞬間会場が一気に盛り上がる。

高難易度のトリックが連発する「ストリート」

「RUN方式」では自由にコースを滑走するため、どんなふうに手すりや緑石を利用してトリックを繰り出すのか、その選手の独自性が大きな見どころといえるだろう。
基本トリックとして有名なのが、選手と板が一緒に跳ぶ「オーリー」という技。まるで板が足に吸い寄せられてくっついているかのように見え、スケートボードをあまり見たことない人にとっては驚きであろう。また選手が跳んだ際にボードを回転させる「フリップ」も有名なトリックの一つだ。

「BEST TRICK方式」は自分で選んだ障害物に対してひとつだけトリックを披露することができるため、難易度の高い技を出す選手が多い。トリックに入るまで会場全体が固唾を飲み、そして完璧に技が決まった瞬間に会場全体のボルテージが一気に上がっていく。まるで一つのドラマが完結するようなストーリーは、「BEST TRICK方式」の魅力の一つである。10満点中、9点台を叩き出せば「ナインクラブ」と呼ばれ、特別に賞賛されるが、日本の堀米雄斗選手は先の世界的な大会で9.50を叩き出し、会場が歓喜に湧いた。

堀米雄斗選手 写真

2021年に開催された世界的な大会で活躍した堀米雄斗選手

写真:XFLAG

世界で活躍!スケートボードの注目選手

やはりなんといっても世界的な大会で活躍した堀米雄斗選手が今、最も注目の選手といえるだろう。また、17歳の時にW杯で日本人初優勝を果たし、テレビ解説なども務めていた瀬尻稜選手、そしてスノーボードとの二刀流で注目を集めた平野歩夢選手が男子選手では注目されている。女子では同じく世界的な大会で活躍した四十住さくら選手、開心那選手、惜しくもメダルを逃したが岡本碧優選手などが注目選手として挙げられる。どの選手も10代、20代で既に世界のトップとして活躍しており、今後も目が離せない。

堀米雄斗選手のインタビュー記事はこちら

世界王者は“永遠のスケボー小僧”。
堀米雄斗の価値観と信念

まとめ

ここ近年、一気に人気と注目度が高まったスケートボード。
競技ルールや見どころなど、なかなか一度では把握しきれない部分もあるかもしれないが、知れば知るほど奥深い競技だ。ぜひさまざまなスケートボードの試合を観戦して、その魅力を体感してほしい。

RECOMMENDあなたにオススメの記事

Seiko HEART BEAT Magazine

夢中になれるスポーツがある、
アスリートの熱い意志と躍動感を。
あなたの人生の「時」を豊かにしていく
ワクワクドキドキするストーリーを届けます。

HEART BEAT Magazneトップ