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「走る」「跳ぶ」「登る」といった、私たち人間が本来持っている運動能力を鍛えあげ、芸術的かつ機能的に移動するスポーツ、それが「パルクール」。

世界的なスポーツの祭典の競技候補としても話題となったパルクールとは、一体どのようなスポーツなのだろうか。
競技種目だけでなく、歴史・実践場所・注目選手までもご紹介。

パルクールとは?

日本パルクール協会によれば、パルクールとは「走る」「跳ぶ」「登る」といった移動に重点を置く動作を通じて心身を鍛えるスポーツ(運動方法)とある。しかしながらそのフィールドは非常に幅広く、単にスポーツ(運動方法)という言葉だけで表現出来るものではない。

パルクール 写真

現在、パルクールは日本を含め、世界中でさまざまなスタイルで実践されており、移動テクニックからトレーニングメソッド、パフォーマンス、アート、ライフスタイル、さらには哲学など、非常に多角的にとらえられている。

障害物を乗り越えるという一連の動作を通じて、自分自身の肉体的・精神的な限界を理解し、その限界を克服するという性質が非常に強いスポーツである。つまり他者と競うよりも己との闘いが重要になってくるのだ。

パルクールの歴史

パルクールの歴史は20世紀前半のフランスにまでさかのぼる。その起源はジョルジュ・エベルという元フランス海軍将校の体育教官が作成し、第1次世界大戦および第2次世界大戦中の軍隊トレーニングのスタンダードであったトレーニングメソッドにある。

これは「歩く」「走る」「跳ぶ」「這う」「登る」「バランスをとる」「投げる」「持ち上げる」「自衛する」「泳ぐ」といった10種類の基礎的運動から成り立つトレーニングで、そのメソッドをベースに生まれたのが、障害物コース形式の軍事訓練「parcours(パルクール) du combattant」であった。

それから時は流れ、フランス人のダヴィッド・ベルは、軍隊教育の経験があり消防士の職に就いた父親から「Le parcours」(※)と呼ばれるトレーニングメソッドを教わる。彼は、そのトレーニングメソッドを友人に広め、1997年に9人グループ「Yamakasi」を結成した。彼らはパリでさまざまなパフォーマンスショーに出演し、パルクールを披露。パルクールがエンターテイメント業界で注目を集めていくきっかけとなった。
※「Le parcours」とは、当時ダヴィッド・ベルの父親が過去に培ってきたさまざまなトレーニングメソッドをすべて包括する言葉。

アーバンスポーツの一種として近年注目が集まっているパルクールだが、その背景にはほかのスポーツ同様、歴史と先人たちの積み重ねがあるのだ。

鬼ごっこのようなものも!?パルクールの4種目

本質的に「他者と競う」という概念がないパルクールだが、人口を増やし、その世界を広げるべく「スポーツパルクール」という考え方が誕生。そこからさらに派生した「スピードラン」「フリースタイル」「スキル」「タグ」という競技の大会や選手権などが、欧米諸国を中心に開催されている。

パルクール 写真

スピードラン

スピードランは、トレーサー(競技者)がスタートからゴール地点までに設置されたさまざまな障害物を越え、そのタイムを競う競技。一刻を争うスピーディーな展開とトレーサー(競技者)の躍動感あるダイナミックな動きに、スポーツの醍醐味が味わえるだろう。同時に障害物の越え方のセンスも問われるので、トレーサー(競技者)は一瞬たりとも気が抜けない。

フリースタイル

フリースタイルは、会場に設置されたさまざまな障害物を利用してトリック(技)を披露し、その得点を競う競技。より高度なテクニックと、個性を発揮した芸術性が要求される。審査(ジャッジ)は難易度や正確性などを基準に行われるが、どこで跳ぶのか、どうやって跳ぶのかなど総合的かつ流動的な要素も絡んでくるので、見る側も目が離せない。

スキル

「登る」「つかむ」「跳ぶ」などパルクールにおける基本動作の飛距離や速さ、高さなどを競う競技。決められたトリックをいかに確実に出来るかを問われる、パルクールの基本がシンプルに楽しめる。イメージとしては、あらかじめ決められた技を時間内に行うフィギュアスケートのショートプログラムに近いと言えるだろう。

タグ

チェイスタグとも呼ばれ、12m×12mのコートの中で行う、いわゆる“鬼ごっこ”のような競技。チェイサー(追う側)とイベイダー(追われる側)に分かれ、手によるタッチで相手を捕獲する。鬼ごっことはいえ、当然のごとく真剣勝負で行われるので、トレーサー(競技者)同士の手に汗握るスリリングな駆け引きや、経験や閃きによる動きの読み合いなどが見どころになってくる。まさに白熱の戦いだ。

パルクールができる場所は?

実際にパルクールの練習を行うのは「スポット」と呼ばれる場所だが、パルクールはたとえどんな環境でも自由かつ機能的に動けるようになることが前提のため、特に条件はない。つまり、街の中や公園、森や岩場など、いかなる環境もスポットになるのだ。

パルクール 写真

近年は世界各地でパルクールパークやパルクールジムと呼ばれるパルクール専用の練習場所の整備が進んでおり、日本国内では関連法規や条例を遵守し、公園や運動施設などのスポットや専用の練習場所でパルクールが行われている。

パルクールの注目選手

日本にもパルクールで注目すべき若手選手がいる。日本人初のプロパルクールアスリートで、映画にも出演歴を持つZEN(島田善)選手、日本人男子で初のパルクール世界チャンピオンとなり、日本選手権の初代チャンピオンでもある朝倉聖(SEI)選手、パルクールインストラクターとして活躍する山本華歩選手、そして2019年に女性部門世界ランキング1位に輝いた泉ひかり選手などが挙げられるだろう。

元“忍者女子高生” 泉ひかりが取り憑かれた
パルクールの魅力

まとめ

日本でも間違いなくネクストブレイクするアーバンスポーツ「パルクール」。無限の可能性を秘め、今まさに大きな進化を遂げようとしているこのスポーツを追いかけてみてはいかがだろう。

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