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お母さまやお祖母さまから譲り受けたジュエリーがクローゼットの奥に眠っている……なんてことはありませんか? 大切な想いが込められていて手放すことはできないけど、華やかすぎていつもはつけられないし、なんだかうまく生かしきれていなくてもったいない。そんな複雑な感情を抱いてジュエリーを仕舞い込んでいる人も少なくないと思います。

和光では「LIFELONG(一生のお付き合い)」を掲げ、ジュエリーのリフォーム「Re-Design」を行なっています。元来、ジュエリーは継承されながら長く愛用できるかたちに姿を変えてきたもの。そんなサステナブルなカルチャーを根底に持ったジュエリーリフォームについて、実際に工房を訪ねながら、和光のジュエリー商品部の小野寺さんとデザイナーの薗部さんに聞きました。

確かな品質と高い技術力を兼ね備えた、和光のジュエリーリフォーム

ジュエリーリフォーム「Re-Design」とは、具体的にどんなサービスなのでしょう?

小野寺:和光でご購入いただいたジュエリー、またはご家族から譲り受けたジュエリーを、まったく新しいデザインに仕立て直すサービスです。宝石や金属は、時が経っても価値を失わないですし、長く使い続けられるものです。そんなジュエリーを長くご愛用いただくためのお手伝いの一環、修理の延長として、和光では以前からリフォームをしています。デザインを変更したり、あるいはネックレスから指輪へアイテムをつくり変えるなど、引き続き使いたいというお客さまの声にお応えしています。

最近リフォーム専門のお店も目にしますが、和光ならではの特徴はありますか?

小野寺:まず、店頭にお出ししている商品と同じく、選び抜いた確かな品質の素材を使うということ。そして、普段から和光のジュエリーをつくってくださっているデザイナーや高い技術力を持つ職人さんの力もお借りして、一つひとつ慎重に丁寧に仕上げていくことです。

素材については、ダイヤモンドの場合「紛争に関わらない」ことを証明する国際認証制度「キンバリープロセス」にのっとり、貴金属は監査や市場の管理をしている国際的な認定機関「LBMA」「LPPM」※のもとで責任のある調達を行なっています。


LBMA:The London Bullion Market Association(ロンドン貴金属市場協会)。世界で最も権威のあるロンドンの専門市場で、金地金・銀地金を監督する登録認定機関。
LPPM:London Platinum & Palladium Market(ロンドン・プラチナ・パラジウム市場)。プラチナ・パラジウム地金を監督する、世界で唯一の登録認定機関。

和光のジュエリー商品部の小野寺さん(左)とデザイナーの薗部さん(右)

和光のジュエリー商品部の小野寺さん(左)とデザイナーの薗部さん(右)

実際どんな工程でリフォームされるのでしょうか?

小野寺:ジュエリーリフォームには、デザインを一からご提案するフルオーダーメイドと、ある程度かたちが決まっているセミオーダーメイドの2通りがあります。初めからデザインを詳しく思い描いているお客さまもいらっしゃれば、漠然と「何かかたちを変えて使えるようにしたいから相談にのってほしい」という方もいらっしゃいますね。

まずはリフォームしたいジュエリーをお持ちいただいて、店頭スタッフがお客さまからお話をうかがいます。お品を拝見して状態を丁寧に確認し、お客さまが何を望んでいらっしゃるかをひとつずつヒアリングしながら汲み取っていきます。

あまりデザインが決まっていない状態で相談に行ってもいいんですね。

小野寺:もちろんです。具体的なデザインを考えていらっしゃらないお客さまには、セミオーダーメイドをご提案したり、店頭のお品をご覧に入れて実際に着用いただきながら、できあがりをイメージしていただくようにしています。

やすりがけ

やすりがけをはじめとする研磨作業から、一つひとつ手作業でリフォームが行なわれる

お客さまの人となりもデザインに落とし込む

店頭スタッフの方々は、お客さまに対してどういったことをお聞きするんでしょうか?

薗部:理想のデザインなどの具体的なご希望はもちろん、お客さまがどういう経緯でそのお品を持っていらしたのか、そのお品にどういう思い入れがあるかという背景もおうかがいします。また、お客さまご本人がどういうセンスの方なのかも大切なポイントです。服装や身につけている他のジュエリー、スタイルなど、できるだけ細かくうかがうようにしています。

お客さまの人となりを引き出してデザインに落とし込んでいくのですね。

小野寺:そうですね。お客さまからうかがったことを店頭スタッフが商品部に伝え、次は商品部がデザイナーと職人に相談します。本当に大切なかけがえのないものをお預かりしてリフォームするので、一つひとつの工程はもちろん、スタッフ間のコミュニケーションもとても大切にしています。

デザイナーの薗部さんは、普段どういったことを心がけてデザインをされているのでしょうか?

薗部:私の場合、お品自体をよく見るのはもちろん、お客さまのお話からイメージを膨らませて、自分のなかでストーリーを組み立てて、デザインを考案していきます。思い出はそのままに、新しく生まれ変わることこそが大切なので、奇抜なデザインや流行に流される必要はないと思っています。

ジュエリーは、華やかに、おしゃれに見せるためだけのものではないと思うんです。心の安らぎや癒しを得られることのほうが、むしろ大事だと私は思うので、通常の商品開発時はもちろん、リフォームのときもその点を念頭に置いています。だから、職人さんたちにも、デザインの中心になる大切なエピソードの概要や意図、「優しい雰囲気にしたい」「シャープな雰囲気」にしたいといったイメージをお伝えしています。

デザイナーの薗部さん

リフォームではどんなオーダーが多いですか?

小野寺:あまり使う機会のなくなってしまったエンゲージメントリングをお持ちくださるケースと、あとはお母さまやお祖母さまから譲り受けたもののデザインを変えて使いたいというケースが多いです。若い方だと30代くらいの方もいらっしゃいますし、50代、60代くらいのお客さまも多いです。

一つひとつのジュエリーにいろんな物語がありそうですが、これまでで印象的だったリフォームがあれば教えてください。

薗部:ダイヤの取り巻いたサファイアのペンダントをお持ちくださった、40代くらいの女性のご依頼が印象的でした。お祖母さまから受け継がれた、すごく思い入れがあるネックレスだけど、ご本人はネックレスをつけないので、指輪としていつも肌身離さずつけたいというご要望でした。ただ、元のデザインや加工を変えたくないので、それを崩さず指輪にできないかと。ペンダントなので、チェーンを通す丸カンもあるのですが、それも生かしたいということでした。

和光のジュエリー商品部の小野寺さん

レーザー加工が切り拓いたジュエリーリフォームの新境地

ジュエリーとしてまったくかたちが違うから、とても難しそうですね。

薗部:はい。それですごく考えて、金の楕円形のお椀のような土台をつくって、そのなかにサファイアのペンダントトップを収めることにしたんです。それに腕(指に通す輪の部分)をつけて、腕の途中に丸カン(もともついていたチェーンを通す部分)をはめてポイントになるようにしました。元のデザインをしっかり生かせたのでお客さまもとても喜んでくださって。難しいリクエストでしたが解決策を見つけて、喜んでいただけたのが嬉しかったです。

逆に元のジュエリーとはまったく違うデザインを希望されるお客さまもいらっしゃいます。デザインをするうえで、「いただいた条件をクリアするだけではなく、そこにお客さま自身も驚くようなプラスアルファを」ということはいつも考えています。そうでないと、せっかくお客さまが私たちに頼んでくださった意味がありませんから。

以前からリフォームを行なっていたということですが、技術の進化によってリフォームでできることに変化はありましたか?

薗部:加工においてレーザーを使えるようになったことはとても大きいです。たとえば、石の留め方ひとつとっても、機能とかたちの美しさを両立できるようになりました。以前は技術的に無理だと諦めていたようなデザインのアイデアも、現在はレーザー加工で解決できる。デザインの幅が広がり、新しいことに挑戦できるようになりました。

レーザー加工の作業風景

レーザー加工の作業風景。技術の進化で、お客さまのご希望に応えられるように

最後に、眠っているジュエリーをお持ちの読者のみなさんに一言お願いします。

小野寺:やはり大切なジュエリーこそ、仕舞い込むのではなくぜひ身につけていただきたいという思いが一番にあります。ジュエリーリフォームは、お手持ちジュエリーに新たな魅力を加え、新たな生命を吹き込むお手伝いだと考えています。

近年はジュエリーを自由に身につけることも多くなってきていると感じるので、ジュエリーを楽しむひとつの手法としてリフォームをご検討いただけたらうれしいです。

薗部:譲り受けたジュエリーが特別なときにつけるものばかりで、有意義に使えていないと感じられている方や、和光のような宝飾店で相談することにためらいを感じる方もいらっしゃると思います。時代が進むにつれてライフスタイルや意識が変化し、ジュエリーのつけ方も変わってきたと思います。カジュアルなデイリーファッションのひとつとして取り入れたいという思いにもお応えしたいので、まずはぜひお気軽に足を運んでいただければと思います。

レーザー加工の作業風景

レーザー加工はあるものの、職人の手作業ももちろん欠かせない。繊細な切削は熟練の職人だからこそ成せる技

再生可能エネルギーの活用も。和光のサステナビリティ

和光・広報担当の川井さんは、「ジュエリーリフォームは、限りある天然資源である宝石をリフォームしながらより長く、受け継いでお使いいただけるという点で、サステナビリティにもつながっている」と語ります。和光の掲げる「5つのお約束」のなかにある「一生のお付き合いをいたします」——まさしく、それを体現するのがジュエリーリフォームです。

和光では、ジュエリーリフォームだけではなく、本店において再生可能エネルギーを活用するなど、サステナブルな社会を見据えた活動を行なっています。たとえば、和光アネックス ティーサロンでは、フードロス削減のためのメニューやレシピの開発に着手。ドリンク提供時に使用するプラスチックストローを全廃し、紙やパイナップルの葉の繊維などを使用したものに切り替えを完了しています。

社員一人ひとりの意識もいっそう高まってきているなか、サステナブルのためにただ単に簡素にするのではなく、そこにどのように和光らしい付加価値を添え、サステナビリティとホスピタリティとのバランスを取っていくか、多角的な施策に取り組んでいます。

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