マルチアーティスト
サラ・オレイン時問時答

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“Kairos”な時間を生きたい。

日々の時間を過ごす上で、大切にしていることはありますか?

常に追われてるっていうのがありまして。でも追われているからこそ、とにかくこの瞬間、一生戻ってこないこの瞬間をどう大切に生きるかっていうことを、常に考えさせられています。自分の座右の銘もそうですし、会社の名前にもしたんですけれど―”Carpe Diem”「今を生きる」、それが自分のモットーでもあるんですよね。正直わからないじゃないですか。生き物としての賞味期限ももちろんありますし、それが明日かもしれない、10 年後かもしれない。それは誰にも見えないことですよね。だから時間について、常に自分は考えさせられているものです。ただ、“Chronos”、例えば“chronology”という感覚っていうのは皆さんがよく知っている1分とか何秒とか、そういう時間の計り方がありますよね。ただその時間っていうものって、人によってその瞬間によって感じ方が違う。同じ1分でも1時間でも、すごく長く感じたり、一瞬で感じたりするじゃないですか。その感覚、“Kairos”っていうんですけれど、常に時間は Kairos な時間であって欲しい、そういう風に考えてますね。どれだけ1時間が皆さんにとって同じでも、どうやってその1時間が素晴らしいものと感じたり、Kairos な瞬間にできるかという。自分の人生においてそれがすべてなんですよね。エンターテイナーとしてもどうやって人を喜ばせるのか、どうやって時間を、同じ時間を Kairos に変えていくのかっていうのが常に課題ではあるんですよね。

真面目な怠け者だからこそ、挑戦する。

サラ・オレイン

表現することを始めたきっかけを教えてください。

何がきっかけだったんだろうってよく考えさせられるんですけど、おそらくやっぱり孤独だったことがすごくコアにあると思うんですよね。もちろん一人っ子だったっていうこともありますし、オーストラリアで育ったんですけれど、アイデンティティーの問題もある。自分はいろんな血も混ざっていますし、日本の血も入っているけれど、果たして日本人とも言えるのかっていうアイデンティティーの問題もあった。そういう意味では、それだけでも孤独感がある。自分自身の性格もあったと思うんですけれど、子供のときも仲間外れにされることが非常に多かったんですよね。常に孤独と戦っていまして。だから常に子供の時は、どうやって仲間を作れるか、どうやったら人を喜ばせられるか、どうやったら認められるか、愛されるかということを常に考えさせられたんですよね。そこにもちろん自分が育った環境にも感謝です。音楽っていうものをいろいろ聴ける環境でもありましたし、5歳の時バイオリンをやりたいって言った時に私のおじいちゃんおばあちゃんがバイオリンを買ってくれたっていうその環境にももちろん感謝で。そこで自分は音楽っていう主に表現、書くこともそうですけれど、そういう表現によって人に認められるかも、と気づくんですよね。これであったら孤独から救われるかも。表現を通じて自分と同じように感じている方に貢献できるんじゃないか、誰かに届くんじゃないかというのが一番のきっかけかもしれないですね。

表現者として喜びを感じる瞬間はいつですか?

サラ・オレイン

喜びに関しては、そうですね。ダイレクトに人の反応が感じられる瞬間が一番。なので、コンサートがわかりやすいですね。結局、拍手であったり、涙している人がいたり、スタンディングオベーションはダイレクトですね。例えば、ラジオの番組でお便りが来ました。その人の反応を読む時が一番嬉しい。その一瞬ですけれど、一瞬のために生きているんだなというのはありますね。プロセスは、ある意味苦しいんですよ。苦しみから基本生まれている表現なので、自分の場合は。でも、表現はそういう意味で生き甲斐でもありますし、存在理由を与えてくれるものではありますね。

音楽以外にも、女優業やラジオパーソナリティなど、さまざまなお仕事に挑戦し続ける理由を教えてください。

たぶん私の場合、今しかないっていう焦りもあるんです。焦りがあるからとにかくいろんな表現方法、分けてないんですよ、まず自分の中で。歌は歌、書くことは書くことって分けてないっていうところもあるんですけど、私ってすごく日本語でいつもわからないんですけど、「lazy」?「Lazy」ってなんていうんですかね。怠け者?なんですよ、本当は。とっても lazy な性格、とっても飽きやすい性格なんですよ。ただ、すごく真面目な怠け者なんですね。なので、例えばラジオの原稿書いています。もう飽きちゃうんです。でも、逃げる時、違う表現で逃げるんです。これがダメになったらじゃあちょっと歌の練習をしましょうとか、常に逃げているんですけれど、違う表現に逃げて、それによってインスパイアされることが多いんですよね。だから、ルーティーンがないんです。ルーティーンがないのが自分のルーティーンなんです。

“自己愛の旅”も、大切にしていきたい。

サラ・オレイン

オンの時間とオフの時間は、分けていますか?

結構インタビューで聞かれるんですよね。「オフの時はどうしていますか?」「プライベートの時はどうしていますか?」って。どう答えていいのか、今まですごく悩んできて。ただ自分の場合はたぶん全部リンクしているんです。なので表現を取ってしまったら、何が残るのかなっていう風に最近はすごく不安に思ってきました。

さまざまな新しいチャレンジに対して、恐怖や不安を感じることはありますか?

チャレンジしないことの方が怖いです。明日死ぬかもしれないのに、私何を残したんだろうっていう。それが怖いから頑張るんだと思います、私は。

サラさんにとっての「やさしい時間」はどのような時間ですか?

ただ本当に最近になって、たぶんコロナの影響もありまして。自分自身と向き合う時間が、今まであまりなかったなという。一人の時間はほとんどなんですけど、もちろん他人のことを考えることも大事だと思うんですけど、やはり自分自身と向き合う時間も……。本当に「表現」を私から取ったら、どこに幸せがあるのか、何を楽しむんだろうなってすごく考えさせられまして。どうやって純粋に、自分に自信が持てるのか。結局すべて表現って、相手が必要じゃないですか。それは悪いことではないと思うんですけど、それを取ったら?仕事もしなくていい、表現もしなくていい、ただエンジョイしてください、あなたにとってのやさしい時間って何ですか?と聞かれると、わからないんですよね、まだ。だからそれが今はまだ課題なんですけれど。英語で言う、“self love”、自己愛の旅もすごく大事なんだなっていうことをすごく最近になって気づかされた。

サラ・オレイン
(撮影:Satoko Imazu)
※本内容は音声でお聴きいただくことも可能です。文章では話の内容をよりわかりやすくするために言葉の調整や補足をした箇所があります。音声と文章、どちらもお楽しみいただければと思います。

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プロフィール

サラ・オレイン
サラ・オレイン マルチアーティスト

オーストラリア出身。ヴォーカリスト、ヴァイオリニスト、マルチプレイヤー、 作詞作曲家、コピーライター、翻訳家、ラジオパーソナリティー。英語、日本語、イタリア語、ラテン語を操るマルチリンガル。音が色で見える共感覚者でもある。東京大学に留学。在学中に光田康典氏作曲『ゼノブレイド』のエンディングテーマでヴォーカリストとしてデビュー。2012年メジャーデビュー。全アルバムクラシック・チャート1位を獲得。ジャンルを問わず、幅広い活動が注目の表現者。「太陽の家」50 周年記念式典にて上皇上皇后両陛下の御前で国歌独唱。「九州国立博物館」応援大使。

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