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【動画】Jazz Camp卒業生があの名曲を演奏     ~音楽バトンで心を一つに~

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【動画】Jazz Camp卒業生があの名曲を演奏     ~音楽バトンで心を一つに~

Seiko Summer Jazz Camp卒業生が、ジャズの名曲「Take the ‘A’ Train」をリモートで演奏。

今年も暑い夏がやってきました。本来だったら毎年恒例の「Seiko Summer Jazz Camp」の開催を前にワクワクしてくるころですが、今年は残念ながら中止。がっくり肩を落とされている方も多いことでしょう。
しかしながら、悲しむ必要はありません。セイコーホールディングス(株)服部真二CEOの言葉、「音楽には無限の力がある」──このことを体現するような素敵な企画をご紹介いたします。スローガンは、「Pass the Jazz baton」。
来年夏に開催されるJazz Campに向けて、卒業生がリモート演奏でつないだジャズバトンで、皆の心をひとつにします。

ジャズの本場、NYで活躍する若手ジャズミュージシャンを招き、4日間かけて演奏技術、理論、楽しみ方などを学ぶ「Seiko Summer Jazz Camp」。
2016年にスタートしてから、これまで総勢160名もの若者たちが卒業し、プロのジャズミュージシャンとして活躍する卒業生も誕生しています。
今回は、3・4期生の中から、ドラム・中村海斗さん(2018年受講)、ベース・高橋里沙さん(2019年受講)、ピアノ・布施音人さん(2018年受講)、サックス・及川陽菜さん(2018年受講)、トロンボーン・治田七海さん(2019年受講)、トランペット・窪みさとさん(2019年受講)の計6名が、リモートによるリレー形式でで演奏を重ね、デューク・エリントン楽団の代表作であり、ジャズナンバーの中で最も知られている楽曲「Take the ‘A’ Train」を完成させます。
※参加メンバーはJAZZ CAMP受賞者の方たちです。

人々の心に寄り添うデューク・エリントンの楽曲

「良いジャズを聴きたいならA列車に乗って、ハーレム地区に行こう」という意味合いが込められた「Take the ‘A’ Train」は、 1939年にデューク・エリントンが楽団のピアニスト兼作編曲者であったビリー・ストレイホーンに作詞・作曲をオーダーして作られたジャズのスタンダードナンバー。'A' Trainとは、 ニューヨークのブルックリン東部から、マンハッタンの中心を経由して北部のハーレムを結ぶ ニューヨーク市の地下鉄A系統のことをいい、当時ハーレムは黒人文化の中心地でした。音楽の聖地、アポロ・シアターや、エリントンが専属バンド契約をしていた高級ナイトクラブ「コットンクラブ」(ブロードウェイに移転後1940年に閉鎖、1977年にハーレムにリオープン)もここにあります。黒人差別が当たり前だった苦難の時代において、常に冷静、優雅にふるまったエリントンは、多様性に寛容で、笑顔を絶やさず、全ての人に愛を注ぐ人物だったといいます。
1964年、新潟地震直後に日本ツアーのため初来日したエリントンが、その後のハワイ公演をキャンセルし、震災に見舞われた新潟のためにチャリティーコンサートを設け、収益金の全てを寄付したことは、まさにエリントンの人柄を象徴するエピソードといえるでしょう。その際のコンサートも「Take the ‘A’ Train」で幕を開けたといいますから、この楽曲が人々の心をどれだけ元気づけたか、想像に難くありません。

いつでも人々の心に寄り添い、困難を音楽に託すことでポジティブなエネルギーに変えてきたデューク・エリントンの楽曲は、今世界中で困難に立ち向かっている人々に、力を与えてくれることでしょう。音楽は希望であり、世界をつなげる架け橋なのだから。

今回は、Seiko Summer Jazz Camp特別顧問の守屋純子氏によるアレンジで、卒業者6名がジャズバトンとして演奏を重ねました。来年のJazz Campに向けて、気持ちを高めていきましょう。

アレンジを担当した守屋純子先生のコメント

皆で集まってセッションできない日々が続きます。でも、デジタル技術の発展により、ステイホームのままで音楽的コミュニケイションが取れるのは、この時期ならではの発見であり、ここから新しい音楽の形が生まれるかもしれません。A trainは、とにかく明るく楽しくワクワクする曲。今は、まだ同時に音を出せないけれど、それぞれの場所でスイングして、再開できる日を楽しみにしましょうね!この困難な状況を音楽の力で一緒に乗り越えましょうね!という明日への期待を込めて、アレンジしました。

Seiko Summer Jazz Camp特別顧問
守屋純子

Pass the Jazz baton参加メンバーコメント

収録順にコメントを記載しています。

高1で参加したSeiko Summer Jazz Campは忘れがたい様々な糧があった経験でした。今回は直接会えなかったけど、仲間と再び音楽を作り出す機会を頂き感謝の気持ちでいっぱいです。自分はトップバッターの録音だったので、皆のグルーヴを引き出せるドラムが出来たかどうか。もし最後の順番なら皆の演奏に反応して、もっと良い演奏が出来たのではないか、という気持ちになりました。これはリモート録音ならではの感想だと思います。皆が自分のドラムにのせて、気持ち良く演奏をしてくれたことを祈るばかりです。でも素晴らしい仲間のことだから、自分のバトンを受け取って、きっと最高のアンサンブルに仕上げてくれていることと思います。出来上がりを聞くのが自分も楽しみだし、聞いてくださる方々にも楽しんでいただけると嬉しいです!

中村海斗(ドラム)

今回は素晴らしい企画に参加させて頂き、とても嬉しく思います。リモート演奏で初めて共演する方もいらっしゃいましたが、このように繋がることが出来たのは、音楽の面白い点だと感じました。現在大変な時期が続いていますが、私達の音楽を聴いて下さった皆様が笑顔に、そして元気になって頂けたらと思います。音楽で世界中が明るくなりますように!Let's enjoy jazz!

高橋里沙(ベース)

一方では他のパートを想像しながら、他方では既に録音されたパートを聴きながらの1人での演奏・録音は、独特の緊張感があり、それ自体面白いものでした。リモート演奏が、対面でのセッションに取って代わることはないでしょうし、またそうなってはならないとも思いますが、コロナ禍でのリモートセッションの流行が、自分の音楽体験や、広く音楽界において、長い目で見て何かしらのポジティブな影響を与えていればいいなと思います。

布施音人(ピアノ)

音楽活動が満足にできない中、こうしてSeiko Summer Jazz Campのメンバーとともに一つの音楽を作り上げることができて、とても嬉しかったです! 
離れていても、直接会えなくても、音楽で繋がることができるということを実感できました。キャンプを通じて知り合った仲間は素晴らしい同世代の方ばかりで、受講後もこうして繋がることができ、本当に刺激になっています。いつか直接みんなでセッションできる日を楽しみにしています!

及川陽菜(サックス)

個人的にリモートセッションは初めてで、やってみると音源と合わせてサウンドさせるのは難しく、生演奏をしたい!という自粛中からの気持ちに拍車がかかりましたが笑、距離が離れていてもこうして繋がれるのは現代だからこそ、ですね。地球史に残るであろう''2020''を生きる私たちが、また集まって音楽ができる日まで、一丸となって乗り越えましょう!

治田七海(トロンボーン)

現在のコロナ禍は人類史における大事件であり、私たちにとって全く予測のつかない事態となっています。その中でジャズはもちろん音楽のあり方も変革の時期にあるのではないかと感じています。今回、このような素晴らしい企画に福岡から参加させて頂けたことを嬉しく思います。リモートでセッションしたメンバーの方々と、いつか対面で演奏出来る日を楽しみにしております。

窪みさと(トランペット)

Seiko Summer Jazz Camp事務局長の佐々智樹さんコメント

第5回Seiko Summer Jazz Camp は残念ながらコロナ感染防止のために中止となりましたがSeiko Heart Beat Magazine のご協力で第3回と第4回に参加した卒業生によるリモート演奏がここに実現しました。誰でも知っているジャズの名曲を個別収録にも関わらずフレッシュな感性と熱い情熱で立派に作り上げてくれました。6人のメンバーの内フロントの管楽器3人を含めて4人が女性です。この素晴らしい演奏にインスパイアされ2021年の第5回大会に多くの若者が参加してくれることを心から楽しみにしています。

Seiko Summer Jazz Camp 事務局長
佐々智樹

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