心動かす時を共にSEIKOHEART BEATMagazine

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文  村上アンリ
写真 近藤 篤

セイコーが提供している毎週火曜日の夜にBS-TBSで放送している番組「TIME is LIFE~トキメキの時~」。
毎月一人のゲストを迎えて人生を作り上げた決断の瞬間やターニングポイントなどについて切り込んでいるホストのテリー伊藤さん。今回はテリーさんご自身にターニングポイントになった瞬間とそれを支えた一曲を聞いてみました。
そこにはテリーさんの意外な一面が・・・

テリー伊藤 写真

今日はよろしくお願いします。TIME is LIFEではいつもは聞き手の役をやっていらっしゃるテリーさんですが、今日は逆にこちらからテリーさんについて色々お伺いしようかなと思っております。

はい、なんでも聞いてください(笑)

テリーさんは番組の中でよく相手の方のターニングポイントになった時間や出来事について質問されていますけれど、テリーさんにとって人生のターニングポイントになった音楽、とかありますか?

そう来ましたか!(笑)。うーん、そうですねえ、ターニングポイントになった音楽・・・、なかなか一つには絞りきれないけれど、強いて挙げるなら・・・

強いて挙げるなら?

加山雄三さんの「ある日渚に」かな。

テリー伊藤 写真

加山雄三さんですか!? ちょっと意外です。

え? 意外ですか? なんで?

この曲の歌詞の中に込められた、失恋をずっと引きずっているような感じが、いつもテレビで拝見しているテリーさんとイメージが合いません。

うーん、どうなんですかね、要するに僕は弱いんじゃないかな。今おっしゃったテリー伊藤のイメージって、つまりテレビの中でギャーギャー騒いで、言いたいことを言って、ってとこですよね。ああいう姿は、一方で自分の弱さでもあると思うんです。

昨日も自分のことをちょっと振り返っていた時間があったんですが、基本的に僕は恋愛体質というか、失恋体質というか。世の中には俺よりももっと幸せな奴がいるんじゃないか、あいつの方がもっと楽しいんじゃないか、ってこの歳になっても思っていること自体、弱い人間じゃないですか(笑)。

腕時計 写真

ちなみにこの加山雄三さんの「ある日渚に」を聞いたのは、テリーさんが何歳くらいの頃だったんですか?

あの曲を一番最初に聴いたのは、大学生の時だったと思いますよ。今の大学生がどういう感じなのかはちょっとわかんないですけど、僕らの頃は大学生って切なかったですよね。危機感、不安、俺ってこれからどうなるんだろうって。流石にこの歳になると、まあなんとかなるんじゃないのって思うようになりましたけど。

確かに当時はなおさらそういう時代だったですよね。

僕は大学を卒業しても就職もしていなかったしね。特に一年のこの時期になると、会社に就職した同級生はボーナスなんかもらって、銀座でちゃんとした格好して食事してるわけです。銀座を歩いていても、クリスマスソングが流れていて、幸せそうな匂いがするじゃないですか。僕の実家は銀座からすぐなんですけど、そういう自分はただ街をぶらぶらと彷徨ってるだけなわけです。

テリーさんのご実家は築地なんですよね?

実家は築地で玉子焼き屋をやっているから、家の中に引きこもってるわけにもいかないんです。家の一階では一日中玉子焼いてて、住み込みで働いている地方から出て来た若者もたくさんいました。そういう環境の中だと、人生の壁にぶつかったとか、俺は将来どうしたらいいんだろうとか、そんな繊細なこと言ってられないんです。そんなくだんないこと言ってる暇があるなら、暮で忙しいんだから、お前も一緒になって働け!って。

暮れなずんでないで、玉子焼かされるわけですね!

いえ、玉子なんて焼かせてもらえませんよ。それは職人さんのやることで、僕はせいぜい卵割るくらい。それだって、殻のかけらが入ってたら、お前しっかり割れ!って叱られますから。

テリー伊藤 写真

なるほど、それはもう家の外を彷徨うしかないですね。

そういう時、僕はよく湘南の海に行ってたんです。学生時代はヨットをやっていたので、葉山のヨットハーバーや七里ヶ浜に足を運ぶんです。

かっこいい若者じゃないですか!

かっこよくないですよ、だって仕事ないんだから。

仕事なくても、ヨット乗ってる男の子なんて、やっぱりかっこいいですよ。

いや、ヨットにはもう乗ってないんです。だって大学卒業して、貸しヨットすらない。ついでにお金もない。行きの第三京浜の高速代もったいないから、イチコク(国道一号線)で行こうかなんて考えてるわけで。そんな頃、よくこの曲を口ずさんでいたんです。

実はテリーさんも失恋したばかりだったとか?

いやあ、失恋って言えるほどモテるわけないじゃないですか。ボーナスすらもらえないような男が、俺についてこい、なんて言えないし。

テリー伊藤 写真

加山雄三さんて、それこそものすごくたくさんヒット曲があるのに、なぜこの曲だったんですか?

加山さんの曲の中で、これは幸せな匂いがしない曲なんです。お嫁においでとか、君といつまでもとか、家柄も良くて、慶應ボーイで、男前で、ギターも弾けて。そんな100%な男が陰のある曲を歌う、そういうのが好きだったのかもしれません。

で、そんな曲がなぜターニングポイントと結びつくのですか?

いつだったかは、正確には覚えていないんですけどね。この曲を聴きながらそれまでの自分の人生について考えていたんですよ。オレって、これまでに自分の実力で感動したことあったっけ?って。

テリー伊藤 写真

自分の実力?

そう。例えば、オリンピックでも、高校野球でも、選手たちは自分の力で自分の出した結果に感動できるわけですよね。一方僕は、音楽を聞いても、映画を見ても、それはだれかに感動させられているだけ。

なるほど、それはまたハードルが高い悩みですね。

その時、ふと大学時代に自分で企画して運営したコンサートのことを思い出したんです。当時大学は学園紛争の真っ只中、随分と荒んだ空気が流れていた。

いわゆる団塊の世代ってやつですよね。

そうです。僕はそんな空気が苦手だったから、じゃあコンサートでもやって盛り上げるかな、って。場所は御茶ノ水にあった日仏会館ってとこでしたけど、山本コータローさんとか出演してくれて。僕は自分で司会をやったんですが、コンサートは大いに盛り上がって、最後に緞帳が降りてきたとき、なんか目頭熱くなった。そのことを、湘南の海で思い出したんです。そうかオレはそういうのが好きなんだ、じゃあ演出のできる仕事に進もうって決めて、テレビの制作会社に就職して、いまの自分があるわけです。

テリー伊藤 写真

なるほど、確かにすごいターニングポイントですね!そういうところも、やっぱりなんだかテリーさんっぽいですね。

まあ加山さんの他にも、色々と印象に残っている曲やミュージシャンはいるんですよ。ビートルズとか、ローリングストーンズとか。僕はどちらかというと、ビートルズ派だったんですけど、GIRLとかああいうマイナーキーの曲は好きでしたよ。でも、ビートルズがターニングポイントです、とかいうと、やっぱテリーはナンパなやつだとか、カッコよすぎるとか思われたりするじゃないですか。なので、今回は「ある日渚に」ということでお願いします(笑)。

テリー伊藤さんにとってターニングポイントになった一曲:加山雄三さんの「ある日渚に」(3分6秒)

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