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【増田明美さんが解説】マラソン給水の知られざるルールや工夫とは?(3/4ページ)

マラソン解説でもおなじみ!レジェンド・増田明美さんの給水Q&A

増田明美さん 写真

給水の疑問や意外と知らなかったルールを整理したところで、次は元日本代表で、スポーツジャーナリストの増田明美さんにマラソンの給水に関する質問に答えていただきました。増田さんは、テレビでのマラソンにおいて通も唸らすトリビアや、選手に関する笑える小ネタを紹介するなど情報収集力に長けた解説が話題です。今回はマラソンでの給水をテーマに、増田さんならではの視点と知識をもとに、いろいろなトリビアを解説してもらいました。

ではまずは1つ目の質問です。一般的にスペシャルドリンクの中身は何が入っていますか?また、季節によって中身を変えることもありますか?

スポーツドリンクを水で薄めたものを入れている選手が多いですね。季節で変えることもありますが、前半と後半でその濃さや内容を変えている選手も実は少なくありません!

スペシャルドリンクの中身は選手それぞれや季節によってもさまざまなんですね。ちなみに増田さんが現役時代と現在のスペシャルドリンクの違い、すごいと思ったドリンクについて教えてください。

昔のスペシャルドリンクは「水分+栄養補給」という発想でしたので、紅茶に蜂蜜を入れて作っていましたね!今は、スポーツ医科学がより進化しているので、疲労回復やミネラルの吸収など目的によってスペシャルドリンクの中身もさまざまです。様変わりしたなと感じています。

マラソンしながら蜂蜜を入れた紅茶を飲むというのは、また意外でした!スポーツ医科学の進歩とともに日々、ドリンクの中身も進化しているんですね。では増田さんの印象に残っている給水のドラマやエピソードについて教えてください。

過去の大会であった、山口衛里さん、高橋尚子さん、市橋有里さんが3人で給水を渡し合っていたことですね! 給水の分け合いに関しては、国籍にかかわらず「飲む?」といって差し出すこともあるんですよ。

ランナーにとっては他の選手はライバルですが、共に切磋琢磨する仲間でもあるという素敵なエピソードですね!ベストな給水のタイミングと水分摂取量の目安はあるのでしょうか?

「喉が渇いたな」と思う時には身体はもう脱水状態なんです。なので、個人差はありますが、多くのトップランナーは最初の5kmから給水をします。でも、長い間マラソンの日本記録を持っていた高岡寿成さんは、シカゴマラソンで日本記録を樹立した時、スタートからゴールまで一度も給水しないで走りきりました。これにはただただすごいなと思いますね!

え?42.195kmを給水なしって……。高岡さんが鉄人で良かったのですが、他のランナーの方は決してまねしないでくださいね。ちなみに給水ボトルの中身や分量、成分などの決まりはありますか?

過去に野口みずきさんが保温式のボトルを準備していたので、一人だけ冷たい給水を摂ることができていました! でも、投げ捨てるときに危険だということでその後に禁止になりました。今はポリエチレン製など軽い容器で直径8cm 高さ35cm(持ち手含む)までと規定されているんですよ。

保温式なら温度管理は完璧ですが、確かに投げたら危険ですね(笑)。野口さんほどではないですが、日本のトップランナーはマイボトルが分かるように工夫を施しています。それは海外選手も同様なのでしょうか?

大きな世界大会では、給水は国ごとにサポートスタッフが手渡しするので、基本的に工夫の必要はないんです。普通の大会でも、番号を付けたり、国旗を付けたりするだけで日本人ほど派手に飾ったりはしていませんね。

ただ、自分のボトルを見つけても、上手く取れない時もあると思います。走りながらボトルをキャッチして給水するコツはありますか?また、給水テーブル上の場所取り合戦などもあったりするのでしょうか?

ボトルのキャッチに関しては普段から練習をして、自分の取りやすいフォームをしっかりと作っておくのがコツ……ですね。ボトル自体は係員の方が並べるので場所取り合戦はありませんが、ランナーは集団だとボトルが取りにくいので人の前に出たくなります。それによって、集団が縦長になるのでランナー同士の走る位置の場所取り合戦にはなりますね。また、給水を取りに行くフリをしてスパートすることもあります。ゴール前の給水では選手同士の駆け引きにも注目ですよ!

給水するふりをしてのダッシュ……。そんなだまし討ちもあるんですね。国際的なレースではそうした駆け引きにも注目します。では最後に市民ランナーが給水を上手く活用するための増田さん流のアドバイスをお願いします。

喉が渇いてからゴクゴク飲むのではなく、序盤から少しずつ飲むようにしてください! ほとんどの大会ではスポーツドリンク、水の順番で給水所があります。スポーツドリンクを飲むと糖分でベタベタするので、水で口をすすぐようにするといいでしょう。

増田さんが紹介していただいたトリビアも非常に興味深かったですね。42.195kmの距離をトップランナーたちは2時間台前半で駆け抜けますが、そんなあっという間の2時間の中にも山あり谷ありのさまざまなドラマがあるでしょう。今回紹介した給水についても注目しながら、マラソン観戦をどうぞお楽しみください。また、サブ4、サブ3を目指して日々トレーニングしている市民ランナーの方は、効率的な給水についても意識してみましょう。

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