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真鍋大度時問時答

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朝から寝るまで作品のことだけ考えていたい。

普段はどのような1日を過ごしていますか?

やはり時間が一番大事だな、というのは常々思っています。いつもだいたい夜 10 時頃まで予定が入っていてそこからが自分の時間になるので、夜中の3時〜4時くらいまでは制作を行っています。あとはチュートリアルみたいなものを試して新しい技術を身につけたりなどもしますね。制作、論文を読んだりするのが深夜の時間帯、という感じです。朝から寝るまで、1 日中作品のことだけしか考えなくていいのが理想ではあります。

真鍋大度

制作期間における時間の使い方を教えてください。

ゴールが設定されている場合はそこに向けて作っていきます。最後の職人芸的にものを作る、アウトプットするものに落とし込んでいくという作業は、考えるというより手を動かす部分なので、そこはどのくらい時間がかかるのか、という見積もりもある程度できます。ここまでは考える時間に使って大丈夫だけど、ここからはもう決めで作らないといけない、というような感じで、大きく二つのフェーズが存在しています。やはり長年やっているので、だんだん予測がつくというか、そこの精度みたいなものは上がってきていますね。毎回ギリギリまで考えてから作っているという感じです。

これから東京都現代美術館で個展があるので、今まさにその話をしているのですが、開始まで1ヶ月を切っているけれどアウトプットの絵作りまで到達していないものもあります。内容については「それは作る意味がありそう」とか、「それはやっても意味がないのでは」など、制作チームとのディスカッションの中で生まれてくることも多いですね。チームで制作している以上、自分一人では決められない領域もあります。

“今”から新しい未来を捉える。

真鍋大度

新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか?

僕たちの場合は、社会情勢や政治情勢というよりも、文化的には今どういったことが注目されているかとか、今何が起きていて、何が問題になり得るのかな、ということも大切だと考えています。そういったことを調べているうちに作品の種が出てきます。だから「作っていたけど、これは今回出さなくていいかな」となり出さなくなったものもある。旬モノというか、今僕たちが何を考えているかを表明するような作品は、本当にギリギリまで変わります。

「未来を予測すること」は、作品づくりにおいて、どのような意味を持つのでしょうか?

少し前の作品にはなりますが、2013 年に「traders」という作品を制作しました。当時はまだそこまで AI や人工知能などが話題になっていなかった時期だったと記憶していますが、「そろそろそういう問題が出てくるな」とは思っていました。2013 年時点で AI が特に活躍していたのは、検索ビジネスと、あとは金融でした。自動取引は人間が敵わないような領域に達していましたが、それを言葉で伝えてもコメンテーターというか評論家のようにになってしまいますよね。僕たちは実装主義。自動取引のソフトウェアを作り、それがどういう振る舞いをするかということを可視化して作品にしました。実際その2〜3年後には AI が徐々にバズワードになっていって。今ではもう AI というと、ファッション、デザイン、アートでもすべてのものに使われていますよね。そういったものを先に見つけて作品のモチーフにしています。

深夜、時間が自分のものになっていく。

真鍋大度

時にはアイデアが出ないこともあるのでしょうか?

アイデアはいくらでも出てくるのですが、時間をかけて作ったからといって良いものができるか、というとそうでもないと思っています。例えば、1秒で作ったものでも良いものは良い、というのがアートの難しいところだなと。自分で実装することもあるので、職人芸が大変になればなるほど良いものになると考えてしまうようなところもあります。クラフトももちろん大事ですが、アイデアが良いものかどうかというところが一番大事かなと考えます。そのアイデアを出すことが、もちろん作品の中では1番難しいポイント。だから出てきてもそれが良かったかどうかというのは、数年経ってみないとわからないこともある。そこも難しいところですよね。僕の場合、曲を作る時もあれば、映像を作る時もありますし、システムを作ることもあります。実際に手を動かして何かを作っているフェーズはやはり楽しい。迷うこともありますが、その時はゴールが見えているのでそこに向かって職人芸で突っ走ることができるんです。そこに行くまでは自由演技どころか「どういう種目にしようか」、じゃあどういうルールにするか。そこには正解がないから難しい。

一番好きな時間を教えてください。

やはり僕は夜が好きなのかなと思います。深夜は自分だけの時間。それがたまらないなと思いながら夜中は作業しています。僕は多分、1人で何かしているのとかがすごく好きなんです。だから夜中にコツコツとプログラムを書いたり、作業したりというのがとても贅沢な時間だなと思いながらやっています。

真鍋大度
(撮影:Ayumi Yamamoto)
※本内容は音声でお聴きいただくことも可能です。文章では話の内容をよりわかりやすくするために言葉の調整や補足をした箇所があります。音声と文章、どちらもお楽しみいただければと思います。

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プロフィール

真鍋大度
真鍋大度 アーティスト

東京理科大学理学部数学科卒。大手電気メーカーのシステムエンジニアを経てITベンチャーへ転職。その後IAMAS(国際科学情報芸術アカデミー)でプログラミングアートを学び、2006年に株式会社Rhizomatiksを設立した。Perfumeのライブの技術演出をはじめとして国内外様々なアーティストとのコラボレーションを行い、デジタル技術を活用して数々の作品を生み出し続けている。

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