メニュー

ニュース

グループについて

事業・製品

株主・投資家情報

サステナビリティ

スポーツと音楽

HEART BEAT Magazine

採用情報

お問い合わせ

ひろがり続ける音楽のちから。“わ”で奏でる東日本応援コンサート2024開催レポート

取材・文 やなぎさわまどか

ひろがり続ける音楽のちから。“わ”で奏でる東日本応援コンサート2024開催レポート

2024.03.29

  • facebook
  • x
  • line

東日本大震災から13年。震災直後から被災地に出向き、音楽の力を借りたひとときの安らぎと笑顔を届けてきたセイコーグループは、2024年も「“わ”で奏でる東日本応援コンサート 2024 in 東京」を開催いたしました。

音楽家の故・前田憲男さんと共に、岩手・宮城・福島の被災地三県および東京にて、2011年より開催してきたこのコンサートも、今回で46回目。過去最大の広さを誇る東京国際フォーラム(ホールA) を会場に、SEIKO HOUSE GINZAのスクリーンにも同時配信された当日の様子をお届けします。

SEIKO HOUSE GINZAのスクリーン

笑顔が拡がることを願い、SEIKO HOUSE GINZAのスクリーンにもコンサートの様子が配信されました。

大切なときを共に。届け、笑顔の“わ”

セイコーのグループパーパス「革新へのあくなき挑戦で、人々と社会に信頼と感動をもたらし、世界中が笑顔であふれる未来を創ります。」を背景に開催されてきた本コンサートは、「あの時をわすれない。進み続けるために。」がコンセプト。今年は、より遠くに、そして、より多くの笑顔が増えていくことを願い「笑顔を拡げる」がテーマとなりました。

昨年に続き、コンサートの音楽監修にはピアニストで作曲家の宮川彬良さんを迎え、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が圧倒的な演奏を披露してくださいます。出演アーティストは、伊東ゆかりさん、松平健さん、森山良子さん、八神純子さん、そしてジャズ・クラリネット奏者の北村英治さんです。

「被災地のことを考えたくて、友達をたくさん誘ってきた」と言う女性グループ、「マツケンサンバが好きなので母を誘いました」という親子連れ、「毎年楽しみにしている」という三世代のご家族など、開場と同時に、ご来場の方々で大賑わいのエントランスホールでは、出演者の写真パネルが並んだフォトブースにもあっという間に行列ができていました。二階席まで満員となり、定刻通りに開幕です。

開会のご挨拶は実行委員長でありセイコーグループの服部真二CEOから。能登半島地震で被災された方々への追悼とお見舞いを、そして、惜しくも2023年に鬼籍に入られた歌手の大橋純子さんと八代亜紀さんへの追悼も捧げました。おふたりとも本コンサートに多大なご協力をくださいました。改めてご冥福をお祈りいたします。

オープニングアクトは、大ベテラン。クラリネット奏者の北村英治さん

東北の風景を背景に、溶け込むような音色の童謡が素晴らしかったです。

こんなに大きな会場で皆さんに聴いていただけて、とても嬉しかったです。来月で95歳になりますが、皆さんと一緒に過ごせることが何よりも刺激になるんです。今も演奏していられることが楽しくて仕方ない、ついつい笑顔になっちゃいますね。

東日本大震災から13年。今年は能登でも大きな地震がありましたが、被災を経験された皆さんにメッセージをお願いできますか。

どうか、めげないでください、とお伝えしたいです。日本中みんなが支えようとしていますから 、どうぞめげないでいただきたい。人生には辛いことが本当に起きるんですよね。でもみんなに支えられている気持ちを忘れずに、できるだけくたびれないようにしていただきたい。応援しています。

北村英治さん 写真

北村さんのしっかりとした、しかし優しい音色に、会場中が一気にひとつになりました。

写真 落合直哉

自分でしか歌えない曲を、これからも。八神純子さん

名曲『みずいろの雨』と、そして『TERRA』、どちらもとても素晴らしかったです。

今日のために、宮川彬良先生がアレンジしてくださいました。私の作る曲は自分でしか歌えないような曲なので、こんなに大きなホールでたくさんの方に聴いていただけたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

東日本大震災の被災地には何度も行かれている八神さんですが、13年目のいま、被災地に向けてどんなお気持ちでいますか。

いくら時が経っても、悲しみの中から抜け出せないでいたり、新しい一歩を踏み出せないでいる人もいらっしゃると思います。簡単に「気持ちがわかる」なんて言えませんが、 「私の心はいつも皆さんと共にあります」ということは、これからもお伝えしていきたいです。

宮城県の女川でお会いしたおばあちゃんたちが、能登のことで地震の恐怖が蘇ってきてしまったそうなんです。それでも「何かできることをしよう」と女性たちが集まり、一晩でたくさんの雑巾を作って届けたと聞きました。
きっとみんなで過ごすうちに、恐怖や涙も落ち着いたり、少しは楽しい会話もできていたら良いな、と思いました。
人間はやはり、一人では生きていけないですよね。だからみんなで集まって、誰かのためにできることをする。そうした大切なことを、私は東北で教えていただきました。まさにこのコンサートタイトルの通り、音楽の“わ”で奏でる活動をこれからも続けていきたいです。

八神純子さん 写真

『TERRA』は11分強という長さの大曲。大きなステージの中央で力強く歌い上げる、圧巻のステージで魅せてくれました。

写真 落合直哉

忘れられない体験に寄り添いたい。伊東ゆかりさん

今年のステージを終えられた感想はいかがですか。

オーケストラで歌わせていただいたのは久しぶりで、とっても気持ちが良かったです。2階席まで満員のお客様もよく見えました。笑顔で聞いてくださっている方も多くて、それが嬉しかったです。

東日本大震災から13年が経ちました。被災を経験された方に向けて、今どんなお気持ちでいらっしゃいますか。

本当につらい経験は、忘れようとしたって簡単に忘れられないことじゃありませんよね。13年経とうとも、まだ本当の意味で乗り越えられずにいる人もいっぱいいるわけですし、ましてや能登のことを思うと、本当にどうにかしてあげてほしい、なんとかできないのかなって、歯痒い気持ちになります。東京にいたって、決して他人事ではありません。

私には歌うことしかできないので、小さな力にすらならないかもしれませんが、少しでも聞いてくださった方が「元気になれた」とか「明日からまた少しがんばろう」とか、何か感じてもらえることがあれば良いな、と思って続けています。

伊東ゆかりさん 写真

深く大きな愛情を伝える『百万本のバラ』、そして『Love Letters』をしっとりと聞かせてくれた伊東さんは、なんと昨年、芸能生活70周年を迎えられました。

写真 落合直哉

お客さまの笑顔が嬉しいから。松平健さん

今日は『マツケンサンバⅡ』そして『暴れん坊将軍のテーマ』と、豪華なステージをありがとうございました。

こんなに広くて、またオーケストラの皆さんと一緒のステージで『マツケンサンバⅡ』を見ていただくことは初めてでした。すごく楽しかったです。セイコーの社員さんたちが「セイコーダンサーズ」としてご一緒くださって、皆さんすごく良い笑顔で踊っていましたね。一緒に楽しんでくれたのが伝わってきましたよ。

今日のコンサートのテーマは「笑顔を拡げる」でした。松平さんもこれまで何度も被災地を訪問されて、笑顔を届けていらっしゃいますね。

そうですね。東北も能登も、地震を経験された皆さんは本当に大変だと思うんです。我々にできることは歌とか芝居とかですが、そういうことを通して、少しでも心が和らいでもらいたいです。

今日もそうですが、やはり お客様が笑顔になってくれると、本当に嬉しいです。笑顔は幸せの象徴みたいなものだと思いますし、お客さまの笑顔を願っていつも一生懸命やっています。これからも、明るさを届けられるよう、精進していきたいと思います。

松平健さん 写真

老若男女に愛されるマツケンサンバで、会場はすごい盛り上がりでした。『マツケンサンバII』の作曲は指揮者の宮川彬良さん、そして振り付けの真島茂樹さんは、セイコーダンサーズに事前指導もしてくれました。

写真 落合直哉

遂げられなかった思いの分を、これからも。森山良子さん

「笑顔を拡げる」がテーマだった東日本応援コンサート。ステージを終えた感想を教えてください。

被災地を支えたい、そんな真摯な気持ちが会場に流れているようでしたね。私も、想いをいっぱい込めて歌いました。

笑顔っていうテーマもいいですよね。私自身、笑っている方が好きです。美容のためにもいつも口角を少し上げて、なるべく笑っているようにしています。

東日本大震災から13年。森山さんも被災地を訪ねることが多かったと思いますが、今、どんな想いを被災地へ送りたいですか。

ご家族を亡くされたり、お住まいの環境が変わったり、本当にさまざまな苦しい経験をしなければいけなかった方がたくさんおられるんですよね。被災地を訪ねた際も、本当は私たちが何か、少しでもお慰めになれるようにとお見舞いに伺ったわけですが、でも私たちに気づくとパッと笑顔を見せてくださったり、お花をくださったり、本当にあたたかな優しさをくださるんです。被災地に行くたび、優しさや心遣いを忘れない姿勢を学んでいます。

辛く悲しいことも起こりますが、それでもなんとか前向きになって、想いを遂げられなかった人の分までちゃんと生きていかなきゃなって、つくづく思います。

森山良子さん 写真

この日は最後に出演者全員で森山さんのデビュー曲『この広い野原いっぱい』も披露。一層スペシャルなステージになりました。

写真 落合直哉

「今、生きている」が込み上げる。宮川彬良さん

音楽監修、指揮、ピアノやアコーディオンと、たくさんのお役目お疲れ様でした。「マツケンサンバII」は宮川さんの作曲でもありますね。

今年もしっかり準備して臨みましたので、無事に終わってホッとしています。1ヶ月くらい前から譜面を書いたり、お尻が痛くなるくらい机に向かっていましたので、ちゃんと終えられて良かったです。

『マツケンサンバⅡ』はまさに笑顔が拡がっていく曲ですよね。それも表面的な笑顔じゃなくて、どうしてもついつい笑っちゃう、ある種、避けられない笑顔。みんなが笑顔になれるということでも、僕にとって誇らしい曲でもあります。

東日本大震災から13年経ちました。今、どんなメッセージを届けたいですか。

いつもこちらがいただいているなぁと思うんです。「元気出して」とか、軽はずみに言える状況じゃない方もたくさんいるでしょう。でも被災地に行き、被災された方とお会いすると、こちらが現実を教えていただいたり、勇気をもらったりするんですよね。

時々、東北に行かせてもらうのですが、例えば石巻なら、皆さんが登った丘の上まで行って、あの日のことをそこで想像するんです。そうすると猛烈に「今、生きてるぞ」っていう気持ちが強まって、勇気が湧き上がる。だから、僕からのメッセージというよりはむしろ、皆さんのおかげで元気や勇気をいただいています、とお伝えしたい気持ちでいます。

宮川彬良さん 写真

終始ステージを守る立場として、「1曲終わるごとにかさぶたが治るような気持ちだった」と心中を聞かせてくれた宮川さん。

写真 落合直哉

マツケンサンバ × セイコーが実現。ダンサー・振付は真島茂樹さん

松平さんとステージに立ったセイコーダンサーズ、事前練習はいかがでしたか。

皆さん練習がんばってくれたんだなぁ、と感じました。きっと自主練習もたくさん されたでしょうし、ダンサーズの先生も がんばって指導してくださったことが伝わってきました。初めて踊る場合は、慣れるまで振りの順番に気を取られてしまって、姿勢が崩れたり、笑顔を忘れがちになるのですが「ステージの上で松平さんにもしっかり笑顔を送って!」と伝えました。
ダンサーからの熱い視線を浴びると、松平さんは一層キラキラと輝くんです。そうすると、もっともっとお客様に笑顔が届けられますからね。

笑顔といえば、今年のコンサートテーマ「笑顔を拡げる」にも通じることですね。

この曲は作曲した宮川先生のおかげで、自然と笑顔になっちゃう曲です。イントロでジャン!と鳴った瞬間に、もう笑顔。間奏も、コーラスなしで踊りだけでしょう?だから笑顔になっちゃうんです。ダンサーとしての魅せ方まで考えられて作ったんじゃないかとすら思えてしまう曲です。そのおかげでお子さんたちから大人まで、もう20年以上愛されてきました。そのことが私にとっても、本当に嬉しいことです。

真島茂樹さん、セイコーダンサーズ 写真

事前の振り入れでは、約15名のセイコーダンサーズと腰元ダンサーズが合同練習を重ねました。「日劇からキャリアをスタートした私にとって、銀座の象徴でもあるセイコーさんとご一緒できて本当に嬉しい」と真島茂樹さん(中央)

写真 落合直哉

練習の様子 写真

「まさか松平さんと一緒に踊れる日が来るとは思ってもなかったので、当日までみんなでしっかり練習を重ねて臨みました」と、セイコーダンサーズにダンスを指導しているインストラクターの八重樫 円さん(前列2人目)

写真 落合直哉

インタビューの様子 写真

多忙な業務や3年間のコロナ禍も乗り越えて、定期的な練習を続けているセイコーダンサーズたち。「メンバーがもっと増えてくれたら嬉しい」と話す藤澤 進さん(左)と、「普段からLINEグループで動画を共有しあったりして自主練に励んでいます」と教えてくれた相澤 洋平さん(右)。

写真 落合直哉

心をつなぐ、笑顔の大切さを胸に刻んで。服部真二CEO

今年も盛大に終えられた感想を教えてください。

2011年から始まり、実に今日で46回目、東京公演としては13回目でした。これまでよりも大きな会場でしたので、皆さんを無事にお見送りできて、まずは大変ホッとしています。

コロナ禍がありましたので、こうして皆さんの笑顔を見られる こと、そして一緒に楽しいひと時を過ごせることは、やっぱり嬉しいことですね。

今年のテーマ「笑顔を拡げる」はどんな気持ちが込められているのでしょうか。

一昨年は「笑顔の向こうに」、昨年は「笑顔でつなぐ」、そして今年は「笑顔を拡げる」というテーマにしました。13年という時間が経ち、震災を知らない世代も増えてきていますので、笑顔を拡げることで、繋がりをいろいろな ところまで広げていきたいと思いました。来年も笑顔をテーマにできたらと思います。

来年の東京開催は、50回目の節目になりますね。

昨今の異常気象に加え、今年は元旦に能登半島地震もあり、残念ながら被災された方や場所が増えてしまっています。だから常に励まし合うこと、勇気づけあうことを続けていきたいです。やはり我々は音楽のちからで、皆さまの心を繋ぐ。こうした活動をずっと続けられたらと考えています。

服部真二CEO 写真

実行委員長を務めながら今年も2曲を歌い上げた服部CEO。後に発表された2025年の東京開催は、3月12日(水)、場所はNHKホールです。どうぞまた来年も、皆さんと会場でお会いできますように。

写真 落合直哉

  • この記事をシェアする
  • facebook
  • x
  • line