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文 大西マリコ
写真 落合直哉

“世界中が笑顔であふれる未来づくり”を体現すべく、スポーツを通して人々に感動を届けるアスリートチーム「Team Seiko」。2021年に東京で開催された世界の大舞台の競泳女子個人メドレーで200m、400mの2冠を達成した大橋悠依らが所属する少数精鋭のチームだが、そこに“17歳の若き逸材”が加入することが決定した。その名は成田実生――。

普段はあどけなさの残る女子高校生だが、水の中に入れば世界と戦う次世代を担うスイマーだ。頭角を現したのは2022年。中学3年生で出場した世界選手権の日本代表選手選考会400m 個人メドレーで2位に輝き、当時のジュニア世界新記録4分36秒71 をマークした。さらに翌2023年には日本選手権200m・400m個人メドレーで優勝してトップスイマーの仲間入りを果たす。2024年春からTeam Seikoに加入した成田実生。“チーム最年少の逸材”に、競泳からプライベートに至るまで等身大の気持ちを語ってもらった。

年齢=競泳歴。常に水の中で過ごしてきた17年間

インタビューを受ける成田選手 写真

インタビューを常に笑顔で受け答えする成田。ずば抜けた泳力とは裏腹にあどけない一面を見せる

写真 落合直哉

競泳を始めたきっかけを教えてください。

母が生まれて8ヶ月の私を、ベビースイミングに通わせたことがきっかけです。当時は水に慣れたり楽しんだりするところから始まったのですが、姉もスイミングを習っていた影響もあり、物心がつく頃には自然な形で競泳に打ち込むようになりました。生まれてから今までずっとプールで過ごしてきたので、好きなことをずっとやり続けている感覚です。

もはや「競泳=人生」と言っても過言ではないですね。17年という時間の中には、きっと楽しいことだけではない時もあったかと思います。練習が嫌になったことなどはありましたか?

競泳は大好きですが、もちろん大変なことも、泣きたくなるようなこともたくさんありました。特に小さい頃は、練習で上手くいかないことがあると「もうやめる!」と言って、よくふてくされていました(笑)。でも寝て起きると不思議と「また頑張ろう!」という気持ちになることが多く、今までずっと泳ぎ続けています。今でもあまり上手くいかない時は落ち込むこともありますが、辞めたいと思ったことは本当に一度もないです。

競技中の成田選手 写真

水の抵抗が少なく、効率の良い正確な泳ぎが自身の強みだと語る成田。長所を活かして世界の大柄な選手とも互角に渡り合う

写真 フォート・キシモト

急成長中の成田選手ですが、ご自身の泳ぎの強みはどんなところだと思いますか?

コーチや周囲の方からは「水の抵抗が少ない泳ぎが良い。」と言われるので、そこが強みだと思います。確かに、泳いでいる時は水面をスーッと進んでいる感覚があるので、水の抵抗が少ない分、速く泳げているのかもしれません。後は基礎的な泳ぎの姿勢や正確性などを高めるためのドリル(反復練習)を小さい頃からたくさんやっているので、そうした積み重ねが糧になっているのだと思います。

2023年には日本選手権の女子個人メドレー200m・400mで2冠を達成しました。個人メドレーは「バタフライ→背泳ぎ→平泳ぎ→自由形」と泳法を変えながら泳ぎますが、成田選手がもっとも得意な種目は何ですか?

単体種目では背泳ぎが一番得意です。小さい頃、個人メドレーを本格的に始めた時から背泳ぎが得意で、それは今も変わっていません。でもバタフライも背泳ぎも平泳ぎも、実は全部楽しみながら泳いでいます。個人メドレーは泳法を変えながら泳げるので、泳いでいる時に飽きがきません。1つの泳法だけより、いろいろ泳げるほうが好きです。

憧れは“制服ディズニー”。残り1年の高校生活も楽しむ!

インタビューを受ける成田選手 写真

日々、練習に明け暮れる成田だが、憧れは“制服ディズニー”とのこと。年頃の女の子と変わらないあどけなさも見せてくれた

写真 落合直哉

プライベートについて聞かせてください。週6日の練習と学校で日々忙しいと思いますが、貴重な休日にはどんなことをしていますか?

木曜日と日曜日の午後がオフですが、木曜日は学校があるので遊びに出かけることは少ないですね。整骨院に行ったり、少しでも勉強をしたりと他の日にできないことをしています。でも日曜日は学校が休みなので、できるだけ楽しむことを心がけています。家族と車で出かけることが多いのですが、最近はコストコやIKEAに行くのが楽しみですね。コストコのピザが好きで、ピザ目当てに連れて行ってもらうこともあります。IKEAでは、最近家具を買ってもらいました。

短い時間でもしっかりリフレッシュされているのですね。練習や学校がある日にリフレッシュしたい時や、息抜きにはどんなことをしていますか?

2年前に犬を飼い始めてからは、家にワンちゃんがいることが癒しですね。小さい頃に犬に足を噛まれたことがあって苦手だったのですが、中学3年生の時に飼い始めてからはもう本当に可愛くて仕方ないです。私は練習もあってなかなかお散歩には行けていないのですが、家では人形で一緒に遊ぶなどたっぷり可愛いがっています。

後は歌うことが好きなので、歌も息抜きになっていると思います。全然上手いわけではないのですが、お風呂とかドライヤーをかけながら1人で歌うのが好きですね。最近はK-POPが好きで、TWICEさんの曲をよく歌っています。

4月からは高校3年生になりますね。高校生活で楽しいことや、最後の1年間でやってみたいことはありますか?

日常生活では練習があるので、あまり高校生らしいことはできていません。でも友だちや水泳部の同期とご飯を食べに行く時間がすごく楽しいですね。高校生のうちに実現したいのは、友だちと“制服ディズニー”に行くことです!ランドとシーのどちらも好きですが、どちらが好きかと聞かれるとシーを選びます。絶叫マシンも好きなので、どれだけアトラクションに乗れるかが勝負って感じです。

Team Seiko加入で誓う世界でのさらなる活躍

成田選手 写真

Team Seiko入りを果たして笑顔を見せる成田。大橋や山縣が所属するチームへの加入は新たな刺激となる

写真 落合直哉

今回、Team Seikoに加入した感想はいかがですか?

セイコーさんのタイマーは泳いでいる時にいつも目にしていて、私の中でカッコいいイメージがある会社でした。そんなセイコーさんのメンバーの一員であるTeam Seikoに加入でき、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんの人が応援してくださっているんだなと感じて、さらに頑張ろうという気持ちになりました。

メンバーには競泳の同じメドレー種目の先輩でもある大橋悠依選手も在籍しています。大橋選手を筆頭に、他のアスリートのみなさんと一緒のチームになることに関してどんな印象をお持ちですか?

大橋さんは私の憧れであり、尊敬する選手なので、同じチームになれることが誇らしく、本当に嬉しく思っています。Team Seikoはみなさんが各分野で活躍されていて、実績も残している方が多いので、すごくカッコいい印象を持っています。常に結果を追い求めて、ゼロコンマ1秒あるいはそれよりも細かい単位で記録を更新することにストイックなイメージです。Team Seikoのメンバーになれたので、私も先輩たちのようなカッコいい選手になりたいと思っています。

成田選手 写真

Team Seikoの一員としてどんな活躍を見せてくれるのか。成田の今後から目が離せない

写真 落合直哉

これからメンバーのみなさんに会う機会が多くなると思いますが、Team Seikoでやってみたいことはありますか?特に会いたいメンバーについても教えてください。

やってみたいこと……考えるだけで緊張しますね。私は競泳以外の競技の選手と関わったことがないので、まずはとにかくいろいろなお話をしたいと思っています。

みなさん素晴らしい方々なので全員とお会いしたいのですが、特にお会いしたい人を1人挙げるなら、陸上の山縣亮太選手です。道徳の教科書に陸上競技の話が題材とされていて、山縣選手に関しても記載されていました。そんな教科書に載るような方と同じチームだなんて……すごいことだと思うので、特にお会いしてみたいと思いました!

次世代を担う最年少メンバーの成田選手の加入で、Team Seikoはさらにパワーアップしました。最後に競泳選手としての今後の目標を教えてください。

3月に行われる「国際大会代表選手選考会」でパリの世界の大舞台の代表になることを一番の目標にしています。最近は、ただ大会に出場するだけでなく「金メダルを目指したい!」という気持ちも少しずつ芽生えてきたので、結果を出せるように頑張りたいです。世界にはカナダのサマー・マッキントッシュ選手のように、私と同い年で世界記録を更新するようなすごい選手がたくさんいるので、少しでも近づけるといいなと思います。今はまだライバルと呼べるレベルには達していないので、少しでも差を埋めていきたいです。

理想の選手像としては、「どんな時でも諦めない選手こそがカッコいい!」と思っているので、苦しいレース展開でも頑張り抜く強さを身につけたいと思っています。最近はクラブ(金町スイミングクラブ)や、大会の会場などで「応援しています!」「頑張ってください!」と声をかけていただく機会が増えました。みなさんからのお声がけが本当にすごく嬉しくて、励みになっているので、応援してくれている人たちの前で自分の目標を達成できるように頑張ります!

成田実生

競泳選手
成田実生

競泳界に彗星のごとく現れたニューヒロイン。8ヶ月の頃からスイミングスクールに通うなど年齢=競泳歴を誇る。その名を世間に知らしめたのは2022年。国際大会日本代表選手選考会400m 個人メドレーで2位に輝き、世界ジュニア新記録となる4分36秒71を叩き出した。翌2023年は日本選手権200m・400m個人メドレーで優勝し、世界選手権への出場を果たす。Team Seikoに新しい風を吹き込む“チーム最年少の逸材”。

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