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子どもたちにスポーツの楽しさや感動を伝える「セイコーわくわくスポーツ教室」。これまでTeam Seikoの福島千里さんが陸上、坂井聖人選手・大橋悠依選手が水泳の教室を講師として指導しました。今回は初となるトランポリン編を開催!埼玉県朝霞市立第四小学校の3年生を対象に教室を行いました。

講師を務めたのは、Team Seikoの棟朝銀河選手。2016年にリオデジャネイロで開催された世界の大舞台の男子個人で4位入賞、2019年の世界選手権男子シンクロナイズドでは田﨑勝史選手とのペアで優勝と輝かしい実績を誇るトップアスリートです。本記事では、トランポリンを通して未体験の高さまで跳びはねて喜ぶ、子どもたちの学びの様子を紹介します。参加した児童の感想や棟朝選手のインタビューも掲載しています。

一流アスリートから直接学ぶ「セイコーわくわくスポーツ教室」

参加した子供たちがわくわくしている様子

「セイコーわくわくスポーツ教室」は、世界で活躍するアスリートから実技を交えて体を動かす楽しさを学ぶ機会や、世界大会で使用する計測機材を使った体験など、本物の選手と技術に触れながら、スポーツと時について考えるプログラムです。

中田大輔さんが子供たちに挨拶している様子

教室が行われた場所は、さいたま市にある「エアリアルドリームスポーツクラブ」。日本トランポリン界のレジェンドであり、棟朝選手のコーチも務めるプロトランポリンプレイヤー・中田大輔さんが代表のスポーツクラブです。複数のトランポリンを常設しているなど、日本でも有数の環境を誇ります。

わくわくスポーツ教室の始まりは、セイコーとスポーツの関わりについてのミニ授業から。スポーツにおける時間の大切さを踏まえ、セイコーの歴史やスポーツとの深い関係についてクイズ形式で楽しく学びます。

セイコー社員によるミニ授業の様子

セイコー社員が「セイコーという会社は何を作っている会社でしょうか?」と質問すると、「時計!」「ストップウオッチ!」と、元気よく回答する子どもたち。「その通りです。セイコーの計時計測技術は世界中で使われています。今日は世界大会で使われているトランポリンで教室を行いますよ!」と伝えると、「わぁ〜!」と歓声が上がり、早くもわくわくした様子を見せていました。

イベントレポート「棟朝選手に学ぶ、トランポリンの楽しさ」

棟朝選手が登場する様子

いよいよ本日の特別講師・棟朝銀河選手が登場!会場の奥からトランポリンを次々と飛び越えながら、軽やかに近づいてくる棟朝選手。着地とともにでんぐり返しをして、ビシッとポーズを決めた姿に、児童たちが拍手喝采で歓迎しました。

棟朝選手が子供たちに説明する様子

「みなさん、こんにちはー!棟朝銀河です。今日はみんなにわくわくした時間を過ごしてもらえるように、トランポリンを教えていきますので、一緒に楽しみましょう!」

実技の前に、まずは「トランポリンはどんな競技なのか?」について棟朝選手が説明します。

棟朝選手が子供たちに説明する様子

「トランポリンについて遊園地やサーカスの印象を持っている人も多いかもしれませんが、世界選手権も行われる競技です。個人種目のルールを簡単に説明すると、10の異なる技を連続で行い、演技点、難度点、跳躍時間点、移動点から成る4つの要素の総合得点で競います。分かりやすく言うと、宙返りなどの難しい演技を高く、美しく、真ん中で跳ぶと高い点数が出ます。ただし、トランポリンの演技は一発勝負。途中で1つでも失敗したらそこで終わりで、やり直しはできません!」

トランポリンについて知識が深まったところで、なんと!特別に棟朝選手によるデモンストレーションを見せてもらえることに。真っ直ぐ高く跳ぶ「ストレートジャンプ」から始まり、腰から落ちる「シートドロップ」、お腹から落ちる「フロントドロップ」、背中から落ちる「バックドロップ」など、基礎的な着地の仕方を教えながら跳んでいきます。

棟朝選手が基本となる技を披露している様子

次に基本となる技も披露。膝を抱え込みながら跳ぶ「タックバウンス」、空中で前屈姿勢を取る「パイクバウンス」、開脚しながら跳ぶ「ストラドルバウンス」と3パターンを実演で見せると、子どもたちからは「すごーい!」と早くも歓声が上がります。

棟朝選手が基本となる技を披露している様子

棟朝選手のように世界トップクラスになると、8m(ビルの3階の高さに相当!)はジャンプできるというトランポリン。この日も、棟朝選手が軽々と跳ぶだけですでに5mは超えており、普段目にすることのない高いジャンプに、子どもたちは首を上下に大きく動かしながら見入っていました。

棟朝選手が基本となる技を披露している様子

ウォーミングアップが終わると棟朝選手はジャージを脱いで本気モード。実演の難度をさらに高めます。前に、後ろに、膝を抱えながら、身体を捻りながらと宙返りを始める棟朝選手。ジャンプするごとに空中でくるくると回ります。

技を披露をする棟朝選手

ラストは大会と同じく10種目の宙返りを連続で行う技を披露。演技後、台の中央でピタッと止まり、ビシッと手を揃えてポーズを決めた棟朝選手の姿を見た子どもたち。圧倒され、一瞬の静けさが広がった後、拍手喝さいで棟朝選手を称えます。

棟朝選手によるデモンストレーションの様子

棟朝選手によるデモンストレーションの様子

技を披露をする棟朝選手

興奮冷めやらぬ中、教室は子どもたちが体験するターンへ。棟朝選手が先導しながら、まずは準備運動を行います。体をほぐすと同時に、トランポリンで大切な止まる動きもここで練習。10回目のジャンプで止まれるように、床で9回ジャンプをした後、10回目は膝を曲げて両手を前に出して止まります。

子供たちが床でジャンプしている様子

いよいよトランポリンを使ったレッスン開始!5つのグループに分かれ、棟朝選手に加え、エアリアルドリームスポーツクラブのコーチたちも講師として参加します。トランポリンに移動する子どもたち。間近で見る大きなトランポリンにドキドキの様子。ネットを端から指で触ってみたり、身を乗り出してまじまじと見つめたり……と思い思いの形でトランポリンと触れ合います。

トランポリンの上に移動した子供たち

ゆっくりとトランポリンの端を歩き、トランポリンに慣れることからスタート。おそるおそる足をネットに乗せ、初めての感触に「思ったよりも柔らかいね!」「足が沈む〜」「うまく歩けないよ〜!」と感想を言い合いながら、トランポリンを歩いて1周。棟朝選手も、「トランポリンと仲良くなることが大事だよ!」と声を掛けながら見守ります。

続いては、本日のレッスンのメインメニュー。真っ直ぐ高く跳ぶ「ストレートジャンプ」、膝を抱え込みながら跳ぶ「タックバウンス」、空中で開脚する「ストラドルバウンス」、直立したまま体を半回転させる「ハーフピルエット」の練習です。

トランポリンの上で跳ぶ子供たち

実は真っ直ぐ跳ぶだけでも難しいトランポリン。頭の中では棟朝選手のように軽やかに跳び上がるイメージができているのに、実際には斜めになったり、前や後ろに着地したりして不安定なジャンプになります。うまくコツを掴めない子どもたちには、笑顔でアドバイスを送る棟朝選手。

「腕を回しながら身体をトランポリンに預けるように跳んでみよう!」「下を向きがちになるけど、頭が重いから前を見て跳ぶように意識してみて」

トランポリンの上で跳ぶ子供たち

「1、2、3」とリズムをとり、掛け声をかけながら指導する棟朝選手。子どもたちのジャンプに合わせて自身も膝を曲げて上下し、全身で思い思いのジャンプを繰り出します。

トランポリンの上で跳ぶ子供たち

空中で脚を広げることに「ムリ〜!できない!」と不安がる子を「ガーンバレッ!ガーンバレッ!」と手を叩きながら鼓舞する子どもたち。棟朝選手も腰を屈めて子どもたちと同じ目線になり、「うんうん、いいよ!上手だよ!」と励まします。

トランポリンの上で跳ぶ子供たち

もう少しでできそうだったり、諦めてしまったりする子どもたちには「惜しい!」「大丈夫、もう一回やってみようか!」と声を掛ける棟朝選手。1人ひとりに寄り添い、体を動かす楽しさと成功体験を教えていました。

最後は、練習した3つの技を繋げてのジャンプに挑戦!「タックバウンス!パイクバウンス!ストラドルバウンス!」と言いながら、棟朝選手がお手本を見せます。それを見た子どもたちからは、「えー!ムリー!」「やってやるぜ」と、さまざまな反応が起こりました。

棟朝選手が足を広げて跳んでいる様子

上手くできた子、できなかった子も充実の笑顔を見せたところで、本日の授業は終了。「トランポリンを跳ぶと、みんな笑顔になるんです。怒りながら跳ぶ人はいません!」と棟朝選手も語ります。体験を通して「トランポリンは楽しい!」ということが伝わった1日になったのではないでしょうか。

笑顔になる子供たち

スポーツが好きになる!「本物の体験」に参加した感想

インタビューを受ける子供たち

トランポリンを跳ぶこと、身体を動かすことの楽しさを実際に体験することで学んだ「セイコーわくわくスポーツ教室」。教室に参加した子どもたちと担任の先生に、授業の感想を聞いてみました。

みなさん、今日の教室はいかがでしたか?楽しかったことや勉強になったことなど、感想を教えてください。

男子児童「遊園地などで跳んだことがあるトランポリンより大きなトランポリンで跳べて楽しかったです。棟朝選手の教え方が上手だったので授業をする前にイメージしていたよりも高く跳べたし、難しい技も思った以上にできて嬉しかったです!」

女子児童「授業の前に棟朝選手の動画を見て、こんなすごい選手がトランポリンを教えてくれるんだ!とわくわくしました。実際に間近で演技を見たら、ジャンプが高くて空中で回転もして迫力がすごかったです!」

高橋先生 写真

高橋先生、本日はありがとうございました。子どもたちの様子は、普段と比べていかがでしたか?

高橋先生「運動が苦手な子もいるのですが、みんな熱中して楽しそうにしていたのが印象的でした。棟朝選手のお話から実際の体験まで、夢中になっている様子は普段の学校生活では見られない姿だったなと。いつも以上にイキイキとした表情が見られたので良かったです。」

トップアスリートから直接授業を受ける機会はなかなか無いと思いますが、そうした時間についてどのように感じていますか?

高橋先生「とても良い時間で、子どもたちにとって貴重な経験になったと思います。私たち教師陣や、普段の授業では教えられないようなこと、実際にトップアスリートだからこそ指導できることを子どもたちが少しでも感じ取ってくれていたら嬉しいです。」

失敗しても大丈夫。指導を通して伝えたい「諦めない心」

棟朝選手 写真

子どもたちへのトランポリンの直接指導を通して、「わくわく体験」を伝えてくれた棟朝選手。講師としての感想を聞きました。

棟朝選手、本日はお疲れ様でした。初めての「わくわくスポーツ教室」の講師を務めてみていかがでしたか?

「普段、子どもたちに授業を行う機会はないので上手くできるか心配で緊張しました。でも、私自身がトランポリンを始めたきっかけが『楽しいから』だったように、今日も子どもたちに楽しんでもらうことをもっとも意識していたので、そこは達成できたかなと思ってホッとしています。たくさんの笑顔と笑い声が溢れていましたし、競技のことを知ってもらうきっかけにもなりました。」

身振り手振りを交えたり、身体を低くして子どもたちの目線に合わせたりと、終始、子どもたちに寄り添って指導している姿が印象的でした。

「何でもそうですが、スポーツはいきなり上手くできるものではないので、初めてのトランポリンで運動が嫌いにならないようにしたいという思いは強くありました。失敗して当然だし、上手くできなくても大丈夫だからという気持ちが行動に現れたのかなと思います。」

子供たちと棟朝選手の集合写真

「わくわくスポーツ教室」は、トップアスリートが次世代を担う子どもたちに向けて授業を行います。こうした取り組みの意義について、どのように感じていますか?

「選手として優秀であることと、コーチとして優秀であることは別物だという前提ではありますが、トップアスリートには大舞台で実践を積んできた経験があります。そういった意味では説得力を持って伝えられる部分があると思いますし、生の体験から来る指導のパワーはありますよね。子どもたちにとっては本物のアスリートから直接指導を受けられる貴重な機会であり、社会的にはスポーツの楽しさをより深く知ってもらえる、素敵な取り組みだと思います。」

お話ありがとうございました。最後に、この記事を読んでくれている子どもたちにメッセージをお願いします。

「失敗したり、上手くいかないことがあったりすると、ついめげそうになると思いますが、目先のことだけを見ずに、『最終的に自分が何をしたいか』を見つめて、長い目で頑張ってほしいです。私自身、2016年にリオで行われた世界の大舞台の代表を決める前の世界選手権で、4人いる代表の中で圧倒的に4番手でした。

周りからも『お前は代表になれないから楽しんでこい』と言われるくらい期待されていなかったのですが、しっかりゴール地点を見定め、やることを積み重ねたおかげで世界の大舞台出場という目標を叶えられた経験があります。だから、スポーツでも何でも、興味を持ったことは諦めずにやり抜くことが大事。粘り強くチャレンジしてみてほしいです!」

棟朝選手 写真
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棟朝銀河 写真

トランポリン選手
棟朝銀河

2016年リオデジャネイロ五輪 男子個人で日本選手最高タイとなる第4位入賞。日本人として初の難度点18点台をマークし、第34回世界トランポリン競技選手権大会男子シンクロナイズドでは金メダルを獲得した日本トランポリン界を引っ張るベテラン。心躍る、躍動感のある演技をモットーに今日も未踏の高みを目指し、飛躍し続ける。

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